日本百景は象の鼻!?山口県の天橋立「周防橋立」

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日本百景は象の鼻!?山口県の天橋立「周防橋立」

日本百景は象の鼻!?山口県の天橋立「周防橋立」

更新日:2017/05/27 20:00

春野 公比呂のプロフィール写真 春野 公比呂 学芸員資格

長州、山口県は周防国と長門国の二国から成りますが、双方の国にはご当地天橋立があります。東側の周防国の「周防橋立」は光市の室積半島、峨嵋山の先、象鼻ヶ岬にありますが、周辺は昭和2年、「日本百景」に選出されたほどの景勝地で、瀬戸内国立公園と象鼻ヶ岬県立室積公園に含まれます。峨嵋山から岬を巡る自然研究路も整備されており、国定天然記念物の樹林や幕末砲台、空海関連地等を巡るハイキングを楽しめます。

ミニ霊山と超細い橋立

ミニ霊山と超細い橋立

写真:春野 公比呂

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七つの峰からなる峨嵋山(がびさん・116.9m)は、古生代の領家変成岩で構成されており、近世には普賢山と呼ばれていましたが、近代、中国四川省にある霊山に因み、現在の山名に改称されました。

そんな山だけに荒々しい海食崖もあり、随所に展望所が設けられています。そこからは周防灘の海原が広がっていて、時にはヨットレースやヨットのイベントを遠望することもあります。その光景は大海原に舞うモンシロチョウのよう。

ミニ霊山と超細い橋立

写真:春野 公比呂

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展望所の一つからは周防橋立の全景を望むことができます。周防橋立の先端「象鼻ヶ岬(ぞうびがはな)」は元々島でした。それが沿岸流によって堆積した砂洲(周防橋立)で繋がり、陸繫島となったのです。その形状が象の鼻のように見えることから、その名が付けられました。

ミニ霊山と超細い橋立

写真:春野 公比呂

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峨嵋山尾根の各展望所からは周防灘や瀬戸内海の展望が広がっており、牛島、長島、祝島等の島群を始め、九州の国東半島や四国の佐田岬まで遠望できます。

昭和天皇の弟君も感動した景色から女台場へ

昭和天皇の弟君も感動した景色から女台場へ

写真:春野 公比呂

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日本百景でもある山口県屈指の景勝地だけに過去、昭和天皇の弟君・秩父宮雍仁親王(ちちぶのみややすひとしんのう)も峨嵋山に登られ、この大海原の眺望を愛でられました。山や岬に秩父宮来訪の記念碑も建立されています。

昭和天皇の弟君も感動した景色から女台場へ

写真:春野 公比呂

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峨嵋山の尾根にはアカマツが目立ちますが、山にはシイやカシ等約380種の樹木が茂り、これらの原生林「峨嵋山樹林」は国指定の特別天然記念物になっています。

昭和天皇の弟君も感動した景色から女台場へ

写真:春野 公比呂

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峨嵋山の支尾根、藩主・毛利敬親公記念碑のある日和山から周防橋立の袂に下り、東側の道を北上して行くと、幕末砲台である室積台場跡が保存されています。「室積女台場」とも呼ばれますが、それは萩市菊ヶ浜の女台場同様、台場の築造に婦女子も奉仕したため。

弘化3年(1846)以前に三基の砲台が築造され、峨嵋山山上に異国船を監視する遠見番所、後述の象眼水井戸前に煙硝蔵(火薬庫)が設けられていました。尚、現地の解説板では、台場は二基のみ残る旨の記述があるため、この上に二門の大砲が設置されていたものと誤解する方が少なくないのですが、この二つの石塁は艦砲射撃を防御する一対の胸墻(きょうしょう)で、この間に一門の大砲を据えていたのです。

海水浴場のような橋立沿いの御手洗湾

海水浴場のような橋立沿いの御手洗湾

写真:春野 公比呂

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周防橋立は御手洗湾(室積湾)を抱くように架けられています。その湾の砂浜は美しく、湾は遠浅のように見え、まるで海水浴場のよう。

海水浴場のような橋立沿いの御手洗湾

写真:春野 公比呂

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大同元年(806)、唐から帰朝途次の弘法大師が象鼻ヶ岬に立ち寄り、七日七夜に及ぶ護摩祈祷を修し、自らの像を彫って安置したことから、岬には大師堂が建立されています。側には市制35周年を記念して昭和53年、弘法大師立像が建てられました。

海水浴場のような橋立沿いの御手洗湾

写真:春野 公比呂

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大師堂東にはスマートな室積港灯台が。地上高9m、海面からの高さ12m、山口県初の洋式灯台です。

象の鼻から目へ

象の鼻から目へ

写真:春野 公比呂

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岬からの帰路は西側の道を南下します。こちら側から望む周防橋立はまた違った趣があります。

象の鼻から目へ

写真:春野 公比呂

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橋立袂まで引き返すと、そこの平地を南に入ってみましょう。明和年間(1764〜72)に湧き出た象眼水井戸が残されています。ここは半島を象に見立てた場合、丁度目の位置にあたることから、このような名称が付けられました。この井戸水が湧き出たのは弘法大師の霊験とされ、「御水」とも呼ばれています。

象の鼻から目へ

写真:春野 公比呂

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遊歩道に戻り、西進すると朱塗りの太鼓橋「ときわ橋」が架けられていますが、これはかつてこの近くに瑜伽神社があったため。橋の袂には岬方向に歩み出そうとする「修行大師像」がいます。

自然ファンも歴史ファンも満足

室積半島が象の形をしており、周防橋立が鼻で、象眼水井戸が目の部分にあたるということは、地図を見ても一目瞭然。特に周防橋立は天橋立より細長く見え、砂浜や松林、湾の景観は現在でも山口県屈指と言えるでしょう。
地形図(光) には峨嵋山の七つの峰を縦走する尾根道や麓からの登山道が記載されていますが、現地の案内板には各コースが色分けして描かれており、各コースタイムも記されています。それを見て自分のレベルに応じたコースを選択できますが、標高が低いだけに全コース縦走も簡単。

峨嵋山東の尾根には「光峨嵋山護国神社」がありますが、これは明治3年、長州藩の元遊撃隊士によって創建された神社で、来島又兵衛他、80人の志士の墓標が建てられています。また、半島北寄りの住宅街はかつて北前船の経由地として賑わった所で、山口県最古の和式燈台「みたらい灯籠堂」や商家、雪舟作の庭園のある普賢寺、郷土館等があり、まち歩きを楽しむこともできます。

歴史的街並みを見て歩き、中国の霊山的峰を巡り、半島の郷土・文化に触れる旅をお楽しみ下さい。

掲載内容は執筆時点のものです。 2010/01/09 訪問

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