スイスに亡霊伝説の山が!ピラトゥス山頂からの絶景とハイキング

スイスに亡霊伝説の山が!ピラトゥス山頂からの絶景とハイキング

更新日:2017/06/09 15:24

Hiroko Ojiのプロフィール写真 Hiroko Oji ヨーロッパ一人旅愛好家
風光明媚な自然に包まれるスイスの中で、亡霊が彷い嵐を起こすという伝説のあるピラトゥス山は、中世まで登山自体を禁止されていた山です。現在では、その山頂から楽しめる絶景を求めて、世界各地からの観光客で賑わう一大観光地!眼下にルツェルン湖を見下ろす山頂には、ホテル・レストランもあり、ハイキングルートも整備されています。世界一の急勾配を誇る登山鉄道やロープウェイの乗り物自体も、楽しみの一つとなっています。

伝説のピラトゥス山頂へは世界一急勾配を誇る登山鉄道で

伝説のピラトゥス山頂へは世界一急勾配を誇る登山鉄道で

写真:Hiroko Oji

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スイスのほぼ中央に横たわる4つの森の州の湖という意味を持つルツェルン湖。正式にはフィーアヴァルトシュテッテゼー(Vierwaldstattersee)といい、湖を挟んでリギ山の西側に位置するピラトゥス山は、周囲に視界を遮る高い山がない独立峰です。

このゴツゴツとした岩肌の山には次のような伝説があるのです。それは、キリスト処刑を宣告した古代ローマの司令官ピラトの亡霊が各地を彷徨い、最終的にこの地に辿り着いたが、人々がこの山に登ろうとすると、嵐を起こして妨害をしたというもの。そのため、中世までは登山が禁止されていたピラトゥス山ですが、現在は山頂には二つの山岳ホテルが建ち、たくさんの観光客が押し寄せる一大観光地となっています。

伝説のピラトゥス山頂へは世界一急勾配を誇る登山鉄道で

写真:Hiroko Oji

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また別の伝説によると、この山には大昔に竜が住んでいたといいます。その竜がシンボルとなっているのが、麓のアルプナッハシュタット(Alpnachstad)駅からピラトゥス山頂のピラトゥス・クルム(Pilatus Kulm)駅まで私たちを運び上げてくれるピラトゥス登山鉄道。1889年に開通したという、リギ山の二つの鉄道に次いでスイスで3番目に古い登山鉄道です。

麓駅の岩壁にはシンボルマークの竜が張り付いており、お出迎えしてくれています。

伝説のピラトゥス山頂へは世界一急勾配を誇る登山鉄道で

写真:Hiroko Oji

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この登山鉄道は、傾斜度最大480パーミル(1000メートル進むと高度が480メートル上がる)という世界一の急勾配を誇るラックレール式(※)の登山鉄道です。ラックレールに世界唯一のロッヒャー式(ラックの歯が上部ではなく側面にあり、2枚の歯車がそれをはさむ形になる)を採用したもので、傾斜に合わせて、車両はケーブルカーのように平行四辺形状。全長4.6キロメートルで、標高差は1629メートル。当初は蒸気動車を用いていたようですが、1937年に電化され、現在に至っています。

※2本の普通のレールの中央に歯型(ラック)のレールを敷設し、車両の床下に取り付けられた歯車と噛み合わせることで、急勾配を登り下りする鉄道

山頂からは360度のパノラマ風景

山頂からは360度のパノラマ風景

写真:Hiroko Oji

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ピラトゥス山頂には、エーゼル峰(標高2119メートル)とトムリスホルン(標高2129メートル)という二つのピークが天に向かっています。ピラトゥス登山鉄道の山頂駅ピラトゥス・クルムがあるのは、エーゼル峰側で、隣り合うように円筒形の建物のホテル・ベルビューが建っています。

ホテルの背後にある岩山に設置された石段を上って行くと、10分ほどでエーゼル峰側の展望台に辿り着きます。

山頂からは360度のパノラマ風景

写真:Hiroko Oji

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展望台からの眺めは絶景そのもの!眼下には複雑な形をしたフィーアヴァルトシュテッテゼーが見渡せます。

山頂からは360度のパノラマ風景

写真:Hiroko Oji

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南側に目を移すと、雪を頂いた美しいアルプスの山並みが続きます。

山頂ハイキング

山頂ハイキング

写真:Hiroko Oji

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こちらはトリムスホルン側へ上り始めるハイキングコース。1890年に建設されたホテル・クルムの背後に続く、整備されたハイキングルートで、オーバーハウプト展望台(Oberhaupt)、さらにはトリムスホルンへと続きます。往復2.5キロメートルほどで、約1時間もあれば戻ってくることができます。上りはじめは、写真で見るように、道が整備されていて歩きやすいのですが、残り半分からは、尾根北側の岩壁伝いの剥き出しの岩の上を歩くところもあり、しっかりしたシューズがあったほうがいいかと思います。

山頂ハイキング

写真:Hiroko Oji

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また、ホテル・クルムの上にある岩山の周囲を歩いたり、洞窟探検のルートもあり、くねくねと曲がった通路に沿って岩の中を進んで行くことができます。 洞窟の途中にある、岩をくり抜いただけの小窓からも、美しい湖や山々の景色が楽しめるので、少々薄暗い所があっても心配はご無用。ただ、洞窟内は真夏でも寒い!一枚はおるものがあったらありがたいかと思います。

下りはロープウェイやハイキングで

下りはロープウェイやハイキングで

写真:Hiroko Oji

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帰りは、登山列車を利用してもよいのですが、せっかく来たからには違った風景を楽しみながら下れるロープウェイ利用をお薦めします。この場合は、登山鉄道で上ってきた斜面(写真の円筒形の建物の右側)とは反対側斜面(同じく左側)へ下りていくことになります。

このロープウェイを利用する場合、次の途中駅フレクミュンテック(Frakmuntegg)で大型の40人ほど乗れる新型ロープウェイから4人乗りのゴンドラに乗り継ぎます。ゴンドラに乗り換えてから途中駅のクリエンゼレック(Krienseregg)があるのですが、そのまま乗っていれば一番下のクリエンス(Kriens)まで景色をたっぷり楽しめるひとときです。もし時間と体力に余裕があれば、フレクミュンテックからクリエンゼレックまで歩くのもいいかもしれません。フレックミュンテックには、大人から子供まで楽しめるザイルパークやスライダーコースターなどもあります。

下りはロープウェイやハイキングで

写真:Hiroko Oji

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フレクミュンテックからクリエンゼレックまでのハイキングコースは、アルプスの雄大な眺めは楽しめません。林間コースをひたすら下ることになりますが、途中にはお花が咲き乱れる牧草地があったり、水の流れる音を聞きながら小川に沿って歩いたりで、スイスの自然をタップリ感じることができます。ハイキングで下りてきた場合は、クリエンゼレックから再びゴンドラに乗ることになります。

下りはロープウェイやハイキングで

写真:Hiroko Oji

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一番麓のクリエンス市街地へはピラトゥス山を見上げながらのんびり下りましょう。やがて、市街地が見えてきたらクリエンスです。

クリエンスでは、麓駅から5分ほど歩いてトラムかバスに乗り換え、ルツェルンの町へ出ることができます。

ルツェルンからグルリと周遊するコースがお薦め!

いかがでしたか?ピラトゥス山は、近くの美しい古都ルツェルンから日帰りで楽しむことができます。ルツェルンから山頂へは同じコースで往復することもできますが、せっかくなら、周遊するコースの方が、行きと帰りで違った風景が楽しめるので、お薦めです。

ここでは、アルプナハシュタット→(登山鉄道)→ピラトゥス山頂→(ロープウェイ&ゴンドラ、もしくはハイキング)→クリエンス→(トラムかバス)→ルツェルンという周り方をご紹介しました。ルツェルンとアルプナハシュタット間は、湖船か鉄道で移動ができます。また、この周り方と反対の周り方もできますので、どうぞお好きな方法で、ピラトゥス山を楽しんでくださいね。

掲載内容は執筆時点のものです。 2003/07/30 訪問

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