写真:風祭 哲哉
地図を見る通称「ベタ踏み坂」とは、鳥取と島根の県境を結ぶ「江島大橋」の島根県側の坂の部分のこと。そのため、ベタ踏み坂のある場所は正確には島根県なのですが、最寄りの町が鳥取県の境港市のため、通常は鳥取県の観光スポットとして紹介されることが多いようです。
鳥取県境港市といえば、あの水木しげるさんの出生地で、現在は鬼太郎のまちとして大人気の観光タウン。
この境港駅から5,6キロほどの場所に江島大橋、そしてベタ踏み坂があります。
写真:風祭 哲哉
地図を見るベタ踏み坂のある江島大橋は、境港と中海に浮かぶ江島(島根県松江市)を結ぶ全長1.7 kmの大きな橋で、PCラーメン構造の橋では日本一の長さ。
ラーメン橋といっても、もちろん味噌とかとんこつとかのラーメンではなく、橋台と橋桁が一体化して繋がっていること橋のことで、PCというのはプレストレスト・コンクリートという橋梁の素材のこと。土木専門用語なので難しいですが、このPCラーメン橋に限れば、江島大橋は世界で第3位に入る巨大な橋なのだそうです。
写真:風祭 哲哉
地図を見る江島大橋を鳥取県側の坂下から望むと、ゆるやかにカーブした比較的どこにでもありそうな普通の橋に見えます。さすがに巨大な橋だけあって頂上までの距離は長く、先を見通すことは困難なのですが、ベタ踏み坂、という名前からは想像がつかないほど穏やで優しい羊のような顔をしています。
写真:風祭 哲哉
地図を見る橋の途中で県境を越えると、その先は島根県松江市の一部。松江といっても市街地からは20キロ近く離れていますので、周囲はのんびりとした風景です。
江島大橋の最頂部の高さは44.7m、正面には対岸の江島と地続きになっている大根島が、天気がよければ南東に伯耆富士と呼ばれる秀峰大山もはっきりと望めます。
写真:風祭 哲哉
地図を見る江島大橋の頂上から島根県側に進むと、いよいよベタ踏み坂の激坂下り。ああ、下を見るだけでも怖そうだなあ、とお思いでしょうが、写真の通り、実際は意外なほど穏やか。怖さというより目の前の中海と島根半島の美しさしか感じません。
確かに多少は急な坂ではありますが、視覚角度45度の坂とは到底思えませんね。
写真:風祭 哲哉
地図を見る江島大橋を渡り終わり、島根県側の坂の下から眺める姿、これがまさに「ベタ踏み坂」になるはずなのですが、ここでもなんだか迫力不足。残念ながらこの場所から見るベタ踏み坂も羊のような優しい顔。いったいあの、オオカミが牙を剝くような恐ろしいベタ踏み坂はどこに行ってしまったのでしょう。
写真:風祭 哲哉
地図を見る実はこのベタ踏み坂が「ザ・ベタ踏み坂」という姿に見えるのには秘密があるのです。
同じ場所からベタ踏み坂をカメラのズーム機能を使って撮影してみたのが上の写真。どうでしょう、少しベタ踏みっぽくなってきていると思いませんか?
そうなんです、ベタ踏み坂はできるだけ遠く離れた場所からカメラのズーム機能を使って撮影することで、初めてあの視覚角度45度の激坂に見えるようになるのです。
ほとんどの人はこのあたりで「意外と大したことなかったな」と思いながら写真を撮って帰ってしまうのですが、実はせっかくここまで来たのにそれではとてももったいないのです。
ベタ踏み坂のある江島は小さな島ですので、そこから遠く離れようと思ってもすぐに道が突き当たってしまい、その先は中海。
この突き当りの角にファミリーマートがあり、観光客はみんなこのあたりからベタ踏み坂を眺めるのですが、ここからの望遠ではまだ迫力不足。ベタ踏み坂の本当の撮影スポットは、実は対岸の大根島にあるのです。
大根島は江島と陸路でつながっていますので、船を使わなくても簡単に行くことができます。中海の美しい海岸に沿って県道338号線を西へ進むと、途中で江島大橋の全貌が横から眺められる場所もあります。
写真:風祭 哲哉
地図を見る「ザ・ベタ踏み坂」の撮影スポットは、江島大橋のたもとから3キロほどの場所で大根島の西の端に近いところ。ベタ踏み坂から中海を挟んで直線距離で2キロほど離れたあたりに土手があり、そこが格好の撮影場所となります。
カメラの望遠(ズーム機能)を使うとあら不思議、まさに視覚角度45度のベタ踏み坂が目の前に現れてくるのです。実はこれは一種の撮影トリックで、カメラを望遠にすると距離がギュッと短縮される分、こうして実際よりも急な角度に見えるのです。
ちなみにデジタル一眼レフと望遠レンズをお持ちであれば全く問題はないと思いますが、スマホだとここまではっきりとは写らないかもしれません。コンパクトデジカメならズーム倍率の高いものを用意して行くことをおススメします。
写真:風祭 哲哉
地図を見るベタ踏み坂は実在する坂ですが、実は二つの顔を持っていて、その秘密を知らないと楽しみ方も半減してしまう――そんなことがお分かりいただけたでしょうか。
ベタ踏み坂は近くまで行って眺めても普通の坂。羊の顔した優しい顔をしていて、正直、刺激はありません。
でもちょっと離れて遠くから望遠で写真を写すと、突然オオカミが牙を剥くような恐ろしい激坂に変身するのです。
そういう意味では、単に見るよりも写真をSNSにアップして、イイネをたくさんもらいたい!という方のほうが楽しめる場所かもしれませんね。
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(2024/10/11更新)
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