江田島の旧海軍兵学校で歴史を学び、そして海軍カレーを楽しむ!

江田島の旧海軍兵学校で歴史を学び、そして海軍カレーを楽しむ!

更新日:2017/06/09 13:24

大竹 進のプロフィール写真 大竹 進 元旅行会社勤務、元旅行専門学校講師
広島の宇品から高速艇で25分、呉からフェリーで20分、高速船ではわずか10分でたどり着ける江田島(えたじま)は戦前、江田島といえば海軍兵学校を意味しました。
世界三大士官学校のひとつにも数えられ、総計1万2千余名の卒業生を送り出したこの学校は、旧海軍とは切っても切れない関係があり、現在では海上自衛隊幹部候補生学校として毎年多くの幹部候補生を輩出しています。今回はこの旧海軍兵学校をご紹介します。

見学の申し込みは正門入口で!

見学の申し込みは正門入口で!

写真:大竹 進

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広島の宇品や呉から船で江田島の小用(こよう)港に到着すると、船便に接続して路線バスが出ていますから、それに乗車すると5分程で「第一術科学校前」に着きますので、バス下車後100m程歩くと旧海軍兵学校のあった海上自衛隊第一術科学校の正門に到着します。

旧海軍兵学校の見学は無料ですが、見学時間は決められており、平日は10:30、13:00、15:00、土日祝日は10:00、11:00、13:00、15:00が開始時間で、所要時間はいずれも約1時間半です。
正門で受付の際、身分証明書等は不要で、個人(19名以下)で見学する場合は予約不要です。受付を済ませた後は、見学者控室となっている江田島クラブ1階で、海上自衛隊の広報ビデオをみながら待機しますが、見学は海上自衛隊OBの説明員と共に団体で行動しますから、別行動や途中で帰ることはできません。

見学の申し込みは正門入口で!

写真:大竹 進

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旧海軍兵学校(現海上自衛隊幹部候補生学校)は広大な敷地に多くの建物が点在していますが、見学箇所は大講堂、旧海軍兵学校生徒館(現海上自衛隊幹部候補生学校庁舎)、教育参考館などです。

100年前に建設された大講堂

100年前に建設された大講堂

写真:大竹 進

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1917年(大正6年)に建設された大講堂は、花崗岩で覆われた重厚感のある荘重な建物で、入学式や卒業式などの際に使用されていて、儀式等がなければ内部も見学できます。写真は正面入り口である貴族口ですが、ここは一般見学者は通ることはできません。

100年前に建設された大講堂

写真:大竹 進

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一般見学者が出入りできるのは大講堂の裏口である平民口ですが、イオニア式の柱が並ぶとても立派なもので、とても裏口とは思えません。大きな扉に近づき柱を見上げると、その大きさに圧倒されます。

100年前に建設された大講堂

写真:大竹 進

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2000人もが収容可能な大講堂内部に入ると、真っ赤な絨毯が敷かれた先に見事な演壇が置かれています。この様に立派な場所で行われる入学式や卒業式はさぞ感銘深いものと思いますが、ここはNHKのドラマ「坂の上の雲」のロケにも使用されました。

軍港があり戦艦大和を建造した海軍工廠のあった呉は何度も空襲を受けているのに対し、江田島の海軍兵学校にはこの様な100年位前からの立派な建物が幾つも残っているのを不思議に思われる方がいらっしゃるかも知れませんが、これは戦後に連合軍の施設として使用する予定があったため、敢えて爆撃対象から除外されていたということで、連合軍がそこまで考えて爆撃していたことに驚かされます。

赤レンガの美しい旧海軍兵学校生徒館

赤レンガの美しい旧海軍兵学校生徒館

写真:大竹 進

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旧海軍兵学校のシンボルともいえるこの建物は、旧海軍兵学校生徒館(現海上自衛隊幹部候補生学校庁舎)で、1893年(明治26年)にイギリスから運ばれた高価なレンガを使って建設されました。
幅140mにも及ぶシンメトリーの建物は、120年以上前に建てられたとは思えない美しさです。通称赤レンガと呼ばれるこの建物の前に来ると誰もがカメラを構える絵になる場所で、映画「連合艦隊司令長官山本五十六」のロケでも使われました。見学は外観のみです。

赤レンガの美しい旧海軍兵学校生徒館

写真:大竹 進

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校舎の上部には桜と錨のマークが金色に輝いています。世界の海軍のマークで錨は多く使われていますが、それに組み合わせているものは鷲やライオンなど強さを表す猛禽類や猛獣が一般的で、植物の桜はとても珍しいそうです。

赤レンガの美しい旧海軍兵学校生徒館

写真:大竹 進

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旧海軍兵学校生徒館の長い回廊は建物正面と並んで誰もがシャッターを切りたくなる場所で、NHKの大河ドラマ「坂の上の雲」でも大講堂などと共にロケに使われました。

旧海軍の資料や特攻隊員の遺書が納められている教育参考館

旧海軍の資料や特攻隊員の遺書が納められている教育参考館

写真:大竹 進

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ドーリス式の円柱が並ぶギリシャ神殿風の正面を持つ教育参考館には、日露戦争を始めとする旧海軍の歴史資料が展示されていて、東郷平八郎の遺髪が納められた廟や、勝海舟の書、特攻隊員の遺書などがあり、内部見学に当たっては脱帽、撮影禁止です。

東京の靖国神社や鹿児島の知覧特攻平和会館にも特攻隊員の遺書が展示されていますが、どれも達筆で、悲壮感溢れる書面には感動を覚えざるを得ません。この様なものを再び書かせてはいけないという強い思いを感じさせてくれます。
旧海軍兵学校の見学時間1時間半の内、50分程がこの教育参考館の資料見学に充てられています。

旧海軍の資料や特攻隊員の遺書が納められている教育参考館

写真:大竹 進

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教育参考館の横には戦艦大和の主砲砲弾が展示されています。大和の主砲は46cm45口径で、最大射程は約42kmにも達する世界最大の主砲でした。

旧海軍の資料や特攻隊員の遺書が納められている教育参考館

写真:大竹 進

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教育参考館の横には特殊潜航艇も展示されています。これは1941年(昭和16年)真珠湾攻撃に参加した5隻の内の1隻で、戦後米海軍により発見されて引き上げられ、1961年(昭和36年)日本に持ち帰られたものです。

本場の海軍カレーとは?

本場の海軍カレーとは?

写真:大竹 進

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見学者控室のある江田島クラブ1階のレストラン江田島で食べられる海軍カレー。将に本場の味です。
午前の回の見学に参加した場合、丁度お昼頃に見学が終わりますから、タイミングも良いですね。見学を終えた旧海軍兵学校の余韻を楽しみながら、本場の海軍カレーを堪能して下さい。

本場の海軍カレーとは?

写真:大竹 進

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江田島クラブの2階には「海上自衛隊歴史ゾーン」が設けられ、1952年(昭和27年)に発足した海上自衛隊の歴史や現在の状況などを展示しています。旧海軍の歴史資料を展示した教育参考館と合わせて見ると、海上自衛隊の歴史と考え方に対し理解が深まると思います。

歴史の証人、旧海軍兵学校

ここは1876年(明治9年)に海軍兵学校として大日本帝国海軍の将校たる士官の養成を目的として創設され、現在も海上自衛隊幹部候補生学校として存続していますが、敷地内はチリ一つなく、きびきびとした動作で行動する自衛官や学生は見ていても気持ちの良いものです。
日本を取り巻く国際情勢が緊張する中、日本海軍そして海上自衛隊に至る歴史を知ることは非常に意義のあるものと思います。
広島や呉から直ぐに来れる歴史の証人、旧海軍兵学校を訪れることを皆様にお薦めします。

掲載内容は執筆時点のものです。 2017/05/25 訪問

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