瀬戸内海を見下ろす絶景と赤穂雲火焼を楽しむ「桃井ミュージアム」

瀬戸内海を見下ろす絶景と赤穂雲火焼を楽しむ「桃井ミュージアム」

更新日:2017/06/13 10:13

磯本 歌見のプロフィール写真 磯本 歌見 フリーライター、ご朱印ガール、仏像マニア
兵庫県・赤穂御崎の高台にある「桃井ミュージアム」は、赤穂の文化遺産「雲火焼(うんかやき)」の展示館です。雲火焼を観覧できるのはもちろん、テラスから見る瀬戸内海の風景、館内外に10数基ある水琴窟(すいきんくつ)、月に2日のみ提供する「よしえさんの手打ちそば」など、焼き物以外のお楽しみも満載で、赤穂観光の人気スポットになっています。

赤穂の文化遺産「雲火焼」を展示販売するミュージアム

赤穂の文化遺産「雲火焼」を展示販売するミュージアム

写真:磯本 歌見

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「雲火焼」は、江戸時代後期から明治時代初期にかけて、大嶋黄谷(こうこく)(1821〜1904)が、赤穂の地で生み出した独特の焼き物です。象牙色の陶膚に橙色、黒色の夕焼け空にも似た美しい窯変が現れているのが特徴で世に認められましたが、残念ながら黄谷は陶法を伝えることもなく亡くなりました。

赤穂の文化遺産「雲火焼」を展示販売するミュージアム

写真:磯本 歌見

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この幻の雲火焼を30年間の試行錯誤の末、「赤穂雲火焼」として復元したのが桃井香子(よしこ)さん。桃井さんは、桃井製網社長だった祖父の影響で、幼い頃から茶道に親しみ、黄谷の雲火焼にも接してきました。

復元に本格的に取り組んだのは、造園業を営む長棟州彦さんとの出会いがきっかけ。雲火焼の魅力に取り付かれた2人は、研究を重ね、10年ほど経った頃に、ようやく公募展などで入選する作品ができ始めました。黄谷の描いた夕焼け空の色が安定して出せるようになった平成5年には県の伝統工芸品に指定され、平成11年5月に「雲火焼展示館 桃井ミュージアム」をオープンしました。

赤穂の文化遺産「雲火焼」を展示販売するミュージアム

写真:磯本 歌見

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2階の展示室では大嶋黄谷の作品を、1階ギャラリースペースなどでは、桃井さんや長棟さんの作品を楽しめるほか、ミュージアムショップには、カップ&ソーサー、お香立て、アクセサリーなど、日常使いできる雲火焼を販売しているので、お土産にしてもいいですね。

抜群の眺望もミュージアムの自慢

抜群の眺望もミュージアムの自慢

写真:磯本 歌見

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雲火焼の美しさもさることながら、このミュージアムの自慢は眺望の美しさ。瀬戸内海を見下ろすオープンテラスからの、緑をクッションにした眺望が美しく、四季折々の景色を楽しむことができます。

家島諸島や小豆島はもちろん、天気がいい日には四国まで見渡すことができます。赤穂御崎からの瀬戸内海の風景のなかでも、一段高い桃井ミュージアムからの景色はピカイチの美しさです。

抜群の眺望もミュージアムの自慢

写真:磯本 歌見

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楽しいアトラクションもありますよ。子クジラの頭をたたくと、親クジラが怒って潮を吹きます。天気や時間、見る場所によっては、きれいな虹が映ることも…。記念撮影におすすめです。

抜群の眺望もミュージアムの自慢

写真:磯本 歌見

2階展示室の額縁型に切り抜かれた障子から眺める風景は、どんな名画もかすんでしまうほどの美しさを誇ります。こちら、額縁の高さに合わせた椅子も用意してくれています。ゆっくり座って、絵画のような景色を楽しんでください。

水琴窟の音色に耳を傾けて

水琴窟の音色に耳を傾けて

写真:磯本 歌見

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こちらの庭園の魅力は水琴窟です。館内外あわせて10数基が置かれています。水琴窟は、水滴の音をかめに共鳴させてその音を楽しむ、日本庭園文化の最高技法の一つ。約400年前小堀遠州が提案した排水装置を起源とするそうで、江戸時代から風流人の音遊びとして町家の坪庭などに設置されてきたものです。

このミュージアムでは、「ブランコに乗りながら音色を聴くことができる「瞑想の水琴窟」、赤穂御崎温泉からのお湯で足元をポカポカ温めながら音色を楽しむ「足湯の水琴窟」、カップルで一緒に音色を聴くことができる「プロポーズの丘」、赤穂義士をモチーフにしたものなど、それぞれが違った音色を奏でるのも一興です。ひとつずつゆっくり音を聞いて水琴窟めぐりをしてみるのも楽しいですよ。

水琴窟の音色に耳を傾けて

写真:磯本 歌見

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こちらが「足湯の水琴窟」です。テーブルの上に置かれた水差しで水を注ぎ、横に備えられたチューブの先を耳に当てると音が聞こえます。お茶を頼んで、美しい景色を見ながら、足元からポカポカに。心も体も温まりそうですね。足湯水琴窟は利用料300円(タオル付き)が必要となります。

水琴窟の音色に耳を傾けて

写真:磯本 歌見

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こちら赤穂にちなんだ「義士の水琴窟」。1701(元禄14)年、大石内蔵助が実に見事な采配で、赤穂城明け渡しを行ったのは有名な話ですが、大石はその6年前、備中高梁の松山城の明け渡しの労をとりました。備中高梁には、水琴窟を考案した小堀遠州が国奉行として滞在し、作庭した頼久寺庭園は今も残されています。大石も執務の傍ら、水琴窟の音に耳を傾けていたかもしれませんね。この水琴窟は、そのような思いで作られたものです。

せっかくなら「よしえさんの手打ちそばの日」に合わせて訪れたい

せっかくなら「よしえさんの手打ちそばの日」に合わせて訪れたい

写真:磯本 歌見

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ミュージアムでは、特にお食事メニューは用意されていませんが、不定期で月に2日、赤穂市内のそばうち名人による「よしえさんの手打ちそば」の日があります。厳選のそば粉を使った二八そばで出汁も絶妙。そばのおいしさはもちろん、骨董価値の高い器や雲火焼の器を使っているので、こちらもお楽しみにの一つ。

また冬季限定(11〜3月)で、坂越の牡蠣がたっぷり入った「坂越の釜ゆで手打ちそば」が登場します。こちらも人気です。写真は、並盛り1,100円と変わりご飯200円のセットです。一日20食限定。予約が優先です。そばの日はホームページにアップされますのでチェックしてくださいね。そばの日以外でもグループ利用の相談には応じています。

せっかくなら「よしえさんの手打ちそばの日」に合わせて訪れたい

写真:磯本 歌見

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カフェメニューで、一番のおすすめは抹茶。こちらの抹茶、京都の美好園の「慈光」という上等なお茶を使っています。一見1,000円(お菓子付き)と聞くと高く感じるかもしれませんが、飲んでみると納得のお味。雲火焼の口当たりが滑らかで抹茶のおいしさを引き立てます。添えられたお菓子も、赤穂市内の、伝統あるお菓子司「岩佐屋」で、雲火焼をイメージして作ってもらったオリジナルの逸品。NHKの人気番組【鶴瓶の家族で乾杯】のロケに訪れた笑福亭鶴瓶さんもおかわりした抹茶セットなのです。

その他、赤穂御崎の名店「さくらぐみ」のピッツアやその姉妹店「坂利太」のスイーツは、館内に持ち込んで食べることができます。ドリンクだけはミュージアムでオーダーしましょう。

赤穂緞通の展示やデモストレーションも

赤穂緞通の展示やデモストレーションも

写真:磯本 歌見

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佐賀の鍋島緞通、大阪の堺緞通と並ぶ、日本三大緞通のひとつ「赤穂緞通」。「赤穂雲火焼」と同じく赤穂を代表する文化遺産です。緞通とは、種々の模様を織り込んだ厚い敷物用織物で手織りのもの。この赤穂緞通も、エントランスホールの壁やお茶室に展示されています。

赤穂緞通の展示やデモストレーションも

写真:磯本 歌見

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ロビーには、ミニ織機が置かれ、週末には織り手の職人さんによるデモストレーションが行われています。

赤穂緞通の展示やデモストレーションも

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雲火焼の陶芸体験もできますよ。手びねりで1作品を作ります。(陶芸体験は2名〜)。せっかくなので記念に作って帰るといいいですね。
【体験陶芸】 1名 3,780円(税込・送料別)

赤穂観光のコースにぜひ入れて

桃井ミュージアムでは2階展示室で、定期的に企画展を行っています。お茶室を利用したお茶会や音楽イベントなども。赤穂の観光名所は数ありますが、こちらのミュージアムもそのルートに入れてほしいおすすめスポットです。一度来るとその魅力がわかるはず。必ずリピーターになるのにも納得しますよ。美しい雲火焼と絶景と安らぎの音色で至福の時が過ごせます。

※表示価格は2017年4月時点のものです。

この記事の関連MEMO

掲載内容は執筆時点のものです。 2017/04/28−2017/04/29 訪問

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