いけばな発祥地&京都の中心!六角堂は恋愛のパワースポット

いけばな発祥地&京都の中心!六角堂は恋愛のパワースポット

更新日:2017/06/27 15:43

旅人間のプロフィール写真 旅人間 はらぺこライター、旅ブロガー
“花の力”で秀吉を討つ!そんな痛快時代劇映画「花戦さ」の舞台となった京都の六角堂をご存知でしょうか?正式名は紫雲山頂法寺と言い、この正式名を知っていれば相当な京都通。ただ池坊と聞けば知らない人は少ないはず。この六角堂は「いけばな発祥の地」「京都の中心」「聖徳太子ゆかりの地」として、古くから京都の町衆との深い絆で結ばれた心の拠り所。また恋が叶う名所としても知られる六角堂の魅力を紹介しましょう。

映画「花戦さ」の舞台!聖徳太子が創建した六角堂

映画「花戦さ」の舞台として話題になっている「六角堂」の正式名称は紫雲山頂法寺。京都の中心と言われ、西国三十三所観音巡礼の十八番札所。祇園祭の山鉾巡行の順番を決めるくじ取り式は、江戸時代末まで六角堂でおこなわれ、戦国時代には京都に戦乱の危機が迫ると六角堂の鐘がつかれたと言う。また華道家元池坊が住職を務め、いけばな発祥の地としても知られ、多くの人に愛され親しまれています。

そんな六角堂の創建は聖徳太子が587年に四天王寺建立の材木を求め、この地にやって来た時まで遡ります。その当時、この辺りには泉が湧き出ており、太子が身を清めようと常に持ち歩いていた持仏の如意輪観音像を木の枝の間に置くと、観音像は重く動かなくなり「この地にとどまって人々を救いたい」と太子に告げました。そこで聖徳太子がお堂を建て安置したのがこの六角堂の始まりとなります。

映画「花戦さ」の舞台!聖徳太子が創建した六角堂

写真:旅人間

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現在のお堂は1877年に再建されたもので六角形をしています。しかし映画「花戦さ」の頃は六角形ではありませんでした。六角形でなくとも当時も今と変わらず「六角堂」と呼ばれていたのは、お堂の中に六角形の小さなお堂やお厨子があった可能性があるようです。ちなみに「六角」とは、六根(眼・耳・鼻・舌・身・意)によって生ずる六欲のことで、これらを捨て去って角を無くし、円満になるという祈りを込めた形と伝わっています。

この独特な形は周囲をぐるりと歩くだけでなく、せっかくなら上から見下ろしたいもの。そこで西国三十三所の第十八番札所から名付けられた隣接する10階建てのビル「WEST18」ではエレベーターの1台が展望タイプになっています。この施設に展望台は無く、エレベーターからの眺めだけとなりますが、六角堂の全景を見たい場合は間違いなくおすすめです。また1Fのスターバックスから大きな窓ガラスの向こうに大パノラマで見られる六角堂も見事です。
(この画像は特別に許可を得て、屋上から撮影したものです)

映画「花戦さ」の舞台!聖徳太子が創建した六角堂

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本堂の背後へと進んで行くと、鯉や白鳥が泳ぐ整備された池が見えて来ます。この付近こそ、聖徳太子が身を清めたと伝わる泉の湧き出る池があった場所。その池のほとりに小野妹子を始祖とする僧侶の住坊があった事から「池坊」と呼ばれるようになったそうです。

当時を偲ぶ池には朱色をした「太子堂」があり、ここには六角堂を創建した聖徳太子を祀っています。内部を見ると「南無仏」と唱え合掌する太子の二歳像、父である用明天皇の病気平癒を祈る十六歳像、そして物部守屋と戦った姿を表す太子騎馬像も見られます。この聖徳太子の騎馬像は他ではあまり見られず珍しいとされています。

映画「花戦さ」の舞台!聖徳太子が創建した六角堂

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京都の中心「へそ石」と恋愛のパワースポット

京都の六角堂と言えば、前述の通り本堂が六角形をしていることから名付けられたと言われていますが、もう一つ、ここに来て絶対に見逃してはいけないのが「へそ石」と呼ばれる中央に丸い穴のあいた平面六角形の平らな石です。一説には本堂古跡の石とも言われ、平安京造営時に堂が自ら現在地へ移動し、もとの位置に石が一つ残ったという伝説があります。

「へそ」と言う言葉は中心の比喩として使われることがあり「世界のへそ」「日本のへそ」などと言われる場所があるように、ここは「京都のへそ」と呼ばれている場所。ただ六角堂の場合は、単なる位置的な意味合いの「へそ」というだけではなく、京都に住む人々の心のよりどころとして京都の中心と呼ばれてきました。映画「花戦さ」でも町衆が六角堂に集うシーンが印象に残りますが、宗派を問わず多くの人を受け入れてきた懐の大きさ、京都の町衆との深い絆こそが「京都のへそ」たる由縁と言えるでしょう。

京都の中心「へそ石」と恋愛のパワースポット

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六角堂のへそ石の横に、枝が地面すれすれまで伸びる青々と茂った柳の姿があります。この柳には願いをかけると良縁に恵まれると言う古くからの噂があり「六角堂の地ずり柳」「縁結びの六角柳」と呼ばれる恋愛のパワースポット!

平安初期、六角堂の本尊を信仰していた嵯峨天皇が「われに美しい女人を妃として与え給え」と祈ると、夢枕に六角堂の如意輪観音が現れ「六角堂の柳の下を見てみなさい」と言うお告げから絶世の美女を妃に迎えたそうです。それ以来、六角堂の柳に願いをかけるとご利益があると評判になり、二本の柳をおみくじで結ぶと良縁に恵まれると言われています。

京都の中心「へそ石」と恋愛のパワースポット

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いけばな資料館で「池坊専好立花図」は必見!

代々六角堂の住職を務める池坊は、仏前に花を供えるという日々の務めの中でさまざまな工夫をするようになり、これが「いけばな」の始まりと伝わっています。境内には「いけばな発祥の地モニュメント」「専好立花復元モニュメント」も見ることが出来ます。

この‟仏前に花を供える”と言う風習は仏教伝来の頃からあったのでは?と不思議に感じる方もあると思いますので、少し具体的に説明しましょう。この六角堂では、室町時代の京都を取り巻く様々な状況の中で、ただ単に仏前に花を供えるのではなく、お客様を迎えるための花として飾られるようになりました。最近の言葉で言えば‟おもてなしの花”へと変化したことによって「いけばな」の文化が成立したのです。

いけばな資料館で「池坊専好立花図」は必見!

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専好立花復元モニュメントは本堂東側と、「池坊ビル」の池の中にあります。この復元モニュメントは池坊専好(二代)の立花を再現したもの。池坊ビルに入り「いけばな資料館」へ行くエレベーター前には‟いけばな”の作品が飾られている時もあります。興味のある方はチェックしてみましょう。

いけばな資料館で「池坊専好立花図」は必見!

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六角堂の境内に建つ池坊ビルの3階の「いけばな資料館」では、いけばなに関する歴史的資料を中心に花伝書、花器、いけばなの絵図、門弟から寄進された工芸品、六角堂の古文書、池坊ビル建設にともなう発掘調査の出土品などが展示されています。入館は無料ですが見学は原則として予約制。詳しくは下部「MEMO」にある公式サイトでご確認下さい。

ここでは、いけばな発祥の地モニュメントにもなっている「池坊専応口伝」、重要文化財指定の「池坊専好立花図」は必見。この立花図は約400年前のもので全部で93図あります。色鮮やかに描かれ、よく見ると植物の名前が小さい字で細かい説明もされています。京都御所や上皇の仙洞御所で飾られた作品などを記録として後世に残したものです。また映画「花戦さ」のクライマックスで登場した前田邸大砂物の「猿図」に似た絵なども見所ですよ。
(館内は撮影不可、展示品は2017年6月現在)

いけばな資料館で「池坊専好立花図」は必見!

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十六羅漢と餓鬼、そして一言願い地蔵

六角堂の境内には‟和顔愛語”を実践している「十六羅漢」があります。「羅漢」とは、仏の教えを護り伝えることのできる優れた僧侶に与えられた名前で、「十六」は方位の四方八方を倍にした数を表しています。「和顔愛語」とはいつも優しい顔つきで穏やかに話すことを心がけると必ず良い報いがあると言う教えのこと。

十六羅漢のにこやかな表情、そして横に座っている「邪気」の表情にも意識してみましょう。一般的に邪気とは、人に害を与えようとする心、ひねくれ仏教を理解しない衆生、物の怪を言いますが、この邪気の朗らかな表情の中には奥深い教えを感じさせてくれるはず。

十六羅漢と餓鬼、そして一言願い地蔵

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十六羅漢の近くには優しい表情で少し首を傾げられた姿の「一言願い地蔵」も見逃してはいけません。この姿は悩んでいるわけではなく、願いを叶えてあげようか、どうしようか考えている姿。ここは欲張らずに一つだけ願い事をしてみましょう。

池坊ビル入口付近には京都御所を守るために北を向いている「北向き地蔵尊」があり、この御所を守護すると言う事は人々の生活を守る意味にもつながっていました。また「わらべ地蔵」は小さな子供を守ってくれるお地蔵様です。

十六羅漢と餓鬼、そして一言願い地蔵

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六角堂のおすすめ名物!へそ石餅&抹茶のセット

六角堂は西国三十三所観音巡礼の第十八番札所、洛陽三十三所観音巡礼の第一番札所であり、日々多くの参拝者で賑わっています。納経帳への記帳(御朱印)の受付は8時から17時迄となっています。また境内の納経所に併設されたお茶所では、六角堂にちなんだお守りやグッズ、銘菓なども販売されているので、ここはぜひ立ち寄っておきたい!

六角堂のおすすめ名物!へそ石餅&抹茶のセット

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ここに来たら、ぜひ味わっておきたいのが「へそ石餅」。境内にある‟へそ石”の形をした名物。口当たりは柔らかく、身にまとったきな粉と中身のつぶあんの相性は抜群で、ほどよい甘さがクセになり、一つと言わず何個も食べたくなります。

抹茶(500円)を注文すると「へそ石餅」がセットで付いてきて、これが本当におすすめ!少し薄暗い納経所に併設されたお茶所には木のテーブルとイスがあり、独特な風情の中でゆっくりいただけます。へそ石餅は10個入り(750円)もお土産として人気ですよ。
※価格は2017年6月現在。

六角堂のおすすめ名物!へそ石餅&抹茶のセット

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最後に…。

いけばな発祥の地モニュメントにある「池坊専応口伝」には、“美しく咲いた花だけでなく、蕾にも、枯れた枝葉にも命がある”という池坊いけばなの哲学が説かれています。華道は公家や武家、そして次第に庶民の間にも広まり、日本文化の一つとして定着しました。

池坊は「華道家元」すなわち「いけばなの根源」。そんな池坊では室町時代より続く“技”と“心”を学べる「池坊 ビギナーズレッスン」もあります。興味のある方は下部MEMOよりご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2017/06/06 訪問

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