写真:竹内 あや
地図を見るセーシェルは、アフリカ東部から約1300km離れたインド洋に浮かぶ大小115の島々からなる国。緑豊かな大地と島沿いに広がる白い砂浜、そして真っ青な海が織りなす美しい景観は“インド洋の真珠”ともいわれ、常夏のリゾート地として世界中の人気を集めています。
首都ヴィクトリアのあるマヘ島から約40q北東に浮かぶのが、セーシェル第2の島プララン島。島の東部には、世界自然遺産にも登録されている神秘の森、ヴァレ・ド・メ自然保護区が広がっています。
巨大ヤシの木がうっそうと茂る森は、イギリスの有名な将軍チャールズ・ゴードンが立ち寄った際に、“エデンの園”と称したほど。イギリスの詩人アトール・トーマスも著書『忘れられた楽園』のなかで、その美しさを絶賛しています。
写真:竹内 あや
地図を見る■ヴァレ・ド・メ自然保護区
オープン時間:毎日8:30〜16:30
※無料ガイドツアーは毎日9:00、14:00〜実施
入場料:20ユーロ
写真:竹内 あや
地図を見る先史時代からの姿をとどめているといわれるヴァレ・ド・メ自然保護区には、地域特有のヤシの木6種類が生息。なかでも双子ヤシとして知られるココ・デ・メールは、プララン島とその北約1qに浮かぶ小さなキュリーズ島だけに自生する稀な種で、特殊な形をした実をつけることで知られています。
そのサイズは世界最大ともいわれ、大きなものは20sにも成長。約9カ月で最大サイズに達しますが、最初はゼリーのように軟らかく、その後6〜7年の歳月をかけて徐々に固くなっていくとのこと。成熟すると地面へ落下し、さらに約半年をかけて実をふたつくっつけたようなあの特殊な形になるのだそうです。
写真:竹内 あや
地図を見る“ココ・デ・メール”とは、フランス語で「海のココナッツ」を意味します。この不思議な形の実がインド洋を漂い、はるか先のモルディブの海岸で初めて発見されたとき、周囲に同じ実をつける木が一本も見当たらないことから、海底にヤシの森が広がっているのでは……と考えられたことが由来です。
その異様な姿かたちから、海底に潜む森林には、人間の胴体と炎の翼をもつ創造上の生き物“ガルーダ”が棲んでいるとも考えられていました。ときどき巨大ヤシの木と一緒に海面に浮きあがり、近くを通る船を乗客もろとも呑み込んでいたとも伝えられています。
写真:竹内 あや
地図を見るまた、ココ・デ・メールは、女性の下腹部に似たその妖艶で神秘的な形から、さまざまな伝説を生み出してきました。
写真:竹内 あや
地図を見るヤシの実をつけるのはメスの木。オスは尾のように長く垂れた花穂(かすい)をつけます。それらのエロティックな形状から、嵐の夜になるとオスの花穂は自身の身を引き抜き、メスの木のもとへやって来て情熱的な一夜を過ごすとも。ただし、それを見た者は死に陥るとの言い伝えもあるのだそうです。
フランスの探検家やイギリスの海賊たちが、長年“謎”であった巨大ヤシが生息する古代の林を見つけ出し、アダムとイブの物語と結びつけて、巨大ヤシの実を“禁断の果実”と称したのもうなずけます。
双子ヤシで有名な自然保護区ですが、セーシェルの国鳥であるブラック・パロット、セーシェル・ルリ・バト、セーシェル・ヒヨドリなどの固有種が生息するエリアとしても知られています。これらの珍種は巨大ヤシが成長するためには欠かせない存在で、ほかにもヤモリやカメレオン、カエルなど、このエリアならではの両生類が生息しています。
自然保護区を訪れたら、古代の森にすむこれらの住人たちの姿も要チェック。自然保護区に指定されている19.5ヘクタールの敷地には各1〜2kmの3つの散策ルートが設けられていて、周囲の動植物を観察しながらゆったりと巡ることができます。動植物の不思議により迫りたければ、毎日午前と午後に1回ずつ行われる無料ガイドツアーに参加するといいでしょう。
多くの伝説が語り継がれてきた古代の森で、その神秘な姿に触れてみませんか。
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(2024/3/19更新)
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