能勢町の南東部に位置する東郷地区。緑豊かな風景の中、大きく枝を広げ、心地よい木陰を作って野間の大けやきは立っています。その枝張りは、畳620畳敷に相当する広さ!ここはかつて蟻無宮(ありなしのみや)があり、この大けやきは御神木として愛されてきました。蟻無宮は明治45年に野間神社に合祀され、今は公園となっていますが、その公園全てを涼しい木陰で覆うように野間の大けやきは枝を広げています。
昔からこの大きな木の下で、きっと何人もの旅人が休息をし、人々は憩いの場としてきたことでしょう。鎧武者たちが馬で駆け抜けて行く姿を、木は見守ってきたかもしれません。この地の“ありなし”という言葉から、社庭の砂をいただいて畑や屋内に散布すると、アリがいなくなる御利益があるとされていたり、この木の芽吹きで毎年作物の豊凶を占ったこともあったなど、人々の暮らしと共にあった大けやき。国の天然記念物に指定されています。
野間の大けやきの木の下では、土日祝のみオープンする「ありなし珈琲」という屋台カフェがあります。野間の大けやきをイメージしてブレンドされた珈琲は、ハンドドリップでじっくり丁寧に淹れられたこだわりのもの。珈琲豆は最高品質の豆を地元で自家焙煎しています。宝塚にある「みさご珈琲」のコーヒーマイスター、向井さんから指導を受けた地元スタッフが一杯ずつ丁寧に、心をこめてハンドドリップしています。アイスは氷で薄まらないようにセパレートでの提供。豆の個性や風味が最大限に引き出された美味しい珈琲を飲みながら、ゆったりと過ごす贅沢な時間。時を忘れてしまいます。
遠方から多くの人が訪ね、感動や勇気を受けて帰る野間の大けやき。その大けやきを訪ねてくる来る人々に、能勢の魅力を知ってもらおうと、“おもてなし”として始められたありなし珈琲。スタンドの横では、お店で扱っている美味しい珈琲や紅茶、お手頃価格のドリップバッグ珈琲なども買うことができます。動物や昆虫のシルエットがデザインされたパッケージもかわいく、お土産にオススメです!
人々だけでなく、大けやきの下には動物や昆虫たちも集います。毎年3月下旬ごろ、フクロウがやってきて、巣を作り卵を産みます。4月には卵が孵り、5月初旬にはヒナが巣穴から顔をのぞかせます。フクロウの巣立ちを待つように、5月中旬にははるばる東南アジアから海を渡ってやってきたアオバズクが、大けやきに巣を持ち、卵を産みます。写真は、抱卵中の巣を見張るオスのアオバズク。7月頃までがこの鳥たちと出会える時期です。営巣や子育てに邪魔にならないように遠くからそっと眺めたり撮影しましょう。
この他、初夏の夜にはホタルも舞います。大けやきの下で色々な生き物が力を分けてもらい、元気に活動しています。
大けやきの樹の下から見ると、奥に見えるのが「能勢町けやき資料館」。入館無料で、大けやきに関する資料を中心に展示があり、フクロウとアオバズクのフォトブックなども販売しています。展示室の真ん中には重さ1.7トンもある剪定された大けやきの主幹部が展示されていて、樹の大きさが実感できます。
これは冬の大けやき。ケヤキは落葉樹のため、冬はまるで水墨画のように姿を変えます。大きく広げた枝の所々に丸くあるのがヤドリギ。ヤドリギは、鳥が好む粘りのある実をつけます。実を食べた鳥は排泄の際におしりを樹にこすりつけて粘りを取ろうとします。ヤドリギは、そうして種が樹に着生すると、枝の内部に侵食し樹から養分・水分を奪う寄生植物です。
野間の大けやきには、このヤドリギが無数に寄生しており、3〜4年毎に除去されています。けやき資料館には、このヤドリギについての展示や、切り取った枝の一部も展示されています。
のどかな田園風景が残る能勢の里山に立つ野間の大けやき。近くには温泉やおしゃれな古民家カフェ、レストランなどがあります。野間の大けやきから道を挟んで少し歩いたところにはあんぱんが人気の薪窯で作るパン屋さんもオープン。能勢町けやき資料館や道の駅ではレンタルで自転車を借りて、散策を楽しむこともできます。週末、ちょっと足を伸ばして能勢の里山を楽しんでみてはいかかでしょうか?
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(2024/4/19更新)
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