写真:八岳木 流泉
地図を見る大岩不動の湯と、同温泉が仰ぐ日石寺は、中新川郡の山奥にあります。市街地から県道をたどって山へと入る途中、道端に案内板は多くありませんが、施設に近づくと大きな看板が出ているため、迷うことはありません。
日石寺は神亀2(725)年に開かれたとされる真言密教のお寺です。本尊は不動明王ですが、仏像の形で安置されるのではありません。本尊は大岩を彫った磨崖仏で、3メートル以上の高さを誇っています。「大岩のお不動さん」との愛称も持つほどで、地域の住民から観光客まで幅広く参拝客が訪れます。本尊が岩の磨崖仏だけあって、日石寺の銘板などは岩にはまっています。境内の石や岩などを見て、大岩のお不動さんたる由縁を探すのも楽しいですね。
写真:八岳木 流泉
地図を見る日石寺からほど近いところにある大岩不動の湯は、平成20(2008)年に開湯したまだ新しい日帰り施設です。外観は黒い板で設えられて非常にシックに、地域に溶け込む様相です。
大岩不動の湯へ車でアクセスする場合は、北陸自動車道の「立山」インターや「滑川」インターが便利です。公共交通機関の場合は、富山地方鉄道「上市」駅から、町営バスに乗り「大岩」停留所で降りると近いです。
写真:八岳木 流泉
地図を見る大岩不動の湯は男女別の内湯と露天に分かれています。週ごとの交替制ですが、一方を「六本滝の湯」、他方を「不動明王の湯」とするのです。前者は日石寺の境内にある心身を清める滝、後者はもちろん日石寺の不動明王です。どちらにもそれらをモチーフにしたステンドグラスがはめられており、この土地ならではの情緒を感じることができます。
とりわけ不動明王のステンドグラスは迫力満点!睨みをきかせる不動明王に、思わず見とれてしまいます。不動明王のステンドグラスに限っては、施設駐車場からも眺めることができます。こちらの浴室に当たらなかった人は外から眺めてください。
写真:八岳木 流泉
地図を見る内湯の浴槽は杉など地元の木材を用いた木造りです。天井が高く開放的で、圧迫感やムンムンとした感覚はありません。ステンドグラスには六本の滝。電灯が控えめのなか、どこか幻想的に浮かんでいます。
写真:八岳木 流泉
地図を見る中規模サイズの露天風呂は、掛け流しになっています。泉質はナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物泉。透明ですが僅かに灰色を帯びた濃厚なお湯です。日によりお湯の色が変わると評判で、透明度が低い灰色のときから赤色まで、不思議な色の変化が楽しめるということです。
露天風呂からの眺望は期待できませんが、日石寺から続く鬱蒼とした山々が間近に迫り、まさに深山幽谷の世界です。場所柄か、あまり混み合うこともなく、秘湯感もたっぷり。山奥の日石寺で大岩の磨崖仏を拝み、隠れた名湯で体をほぐす。大岩不動の湯は魅力満載の静かな温泉場です。
曇天の日を選んで大岩不動の湯の露天に入っていると、時折、山に霧がかかってきます。その光景が実に幻想的で、あたかも水墨画の世界にいるようです。内湯に戻ればステンドグラス。他に類を見ない趣向で楽しませてくれるこちらの温泉。旅して損はさせません!
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この記事を書いたナビゲーター
八岳木 流泉
横浜生まれ、横浜育ち。それでも幼少期から山や渓流での遊びに傾注してきました。現在は、温泉に関する新聞連載やCATV出演を行っております。温泉をはじめ、登山に散歩、海外旅行など、幅広い旅程を紹介し、旅の…
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(2025/2/6更新)
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