日本一の燈籠流し「永平寺大燈籠ながし」で夏にさよなら

日本一の燈籠流し「永平寺大燈籠ながし」で夏にさよなら

更新日:2018/05/30 15:33

風祭 哲哉のプロフィール写真 風祭 哲哉 B級スポットライター、物語ツーリズムライター、青春18きっぷ伝道師
毎年8月、お盆送りも過ぎた頃、福井の夏の終わりを告げる一大風物詩が九頭竜川の河川敷で開催される「永平寺大燈籠ながし」。永平寺の雲水約130人による大迫力の読経が営まれた後、先祖への感謝と供養を込めた約1万基もの燈籠が川に流されます。

燈籠が九頭竜川を埋め尽くし、光の帯を作るさまは実に幻想的であると同時に、あれほど暑くて憎たらしかった夏も終わりかと思うと、ちょっとせつなさも感じてしまう催しです。

永平寺大燈籠ながしは「日本夜景遺産」

永平寺大燈籠ながしは「日本夜景遺産」

写真:風祭 哲哉

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「九頭竜フェスティバル 永平寺大燈籠ながし」は、毎年お盆過ぎの日曜日、福井県の永平寺町にある九頭竜川永平寺河川公園で行われます。燈籠(灯籠)流しは、死者の魂を弔って灯籠やお盆の供え物を海や川に流す日本の行事で、お盆に家に迎えた先祖を送り帰す行事として行われることが多いようです。

この永平寺の燈籠流しは、河川で行われる燈籠流しとしては日本一と言われ、約1万基もの燈籠がゆらゆらと揺れながら川面に光の帯を作り出す風景は、心に残る夜景として日本夜景遺産の「歴史文化遺産」にも認定されています。

永平寺大燈籠ながしは「日本夜景遺産」

写真:風祭 哲哉

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永平寺大燈籠ながしは福井の母なる大河、九頭竜川(くずりゅうがわ)のほとりで行われます。会場までのアクセスは、えちぜん鉄道の永平寺口駅から徒歩15分ほどですが、当日は無料のシャトルバスが運行され、会場まで約5分とたいへん便利です。また会場近くには駐車場もありますが、台数に限りがあり、周辺道路は時間帯により混雑も予想されますので、えちぜん鉄道のご利用をおすすめします。

永平寺大燈籠ながしは「日本夜景遺産」

写真:風祭 哲哉

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会場の一画には大きなステージが設営され、その上にはおびただしい数の燈籠が積み上げられていますが、これは、燈籠流しの前に行われる曹洞宗大本山永平寺の役寮・雲衲衆による大施食法要(だいせじきほうよう)と呼ばれる読経と戒名・法名の読み上げ供養のためのもの。またステージ前には大施食法要が間近に楽しめる桟敷席(有料)も用意されています。

燈籠ながしの前には、130名の雲水による大迫力の読経が

燈籠ながしの前には、130名の雲水による大迫力の読経が

写真:風祭 哲哉

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永平寺大燈籠ながしの会場では、日中もステージイベントやお子さま向けわんぱく広場、バザーや県内の物産市、グルメ屋台などで賑わっていますが、あたりが夕闇に包まれてからがこの催しの本番となります。

燈籠ながしの前には、130名の雲水による大迫力の読経が

提供元:永平寺町写真館

http://kankou.town.eiheiji.lg.jp/guide/index.php?p…地図を見る

オープニングセレモニーが終わると、曹洞宗梅花流詠賛歌をバックに会場の外から永平寺の役寮と修行僧が次々とステージに登壇します。その数130余名。そして最後に導師を努める永平寺の監院老師が登壇すると大施食法要がはじまります。

大施食法要とは、ご先祖様のご冥福を心より願うとともに、万物に対する思いやりの心と感謝の気持ちを捧げる供養のこと。
どこからか聞こえてくる夏の終わりの虫の声。鐘の音。そして130余名の雲水による大迫力の読経。今まで体験したこともないような厳かな時間と空間がいつまでも続きます。

燈籠ながしの前には、130名の雲水による大迫力の読経が

写真:風祭 哲哉

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この大施食法要のハイライトは終盤。会場内で焼香がはじまるとすべての役寮・修行僧が経本を手に読経しながらステージの上をぐるぐるとまわり始めるのです。

130余名の読経のユニゾン。何十台もの焼香台から立ち上る煙と香。それはまるで普段は見ることのできない永平寺の修行を目のあたりにしているかのようです。

永平寺大燈籠ながしは九頭竜川に幻想的な光の帯を描く

永平寺大燈籠ながしは九頭竜川に幻想的な光の帯を描く

写真:風祭 哲哉

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永平寺大燈籠流しでは、もちろんご自身の燈籠を流すこともできます。燈籠には先祖を供養するための「供養燈籠」と、自分の願いや叶えたいことを書いて流す「願い燈籠」の2種類があり、事前にネットで申込むこともできますし、当日会場でも受付しています。

供養燈籠は大施食法要の際、ステージ上の祭壇で供養が行われますのでご自身では流すことはできませんが、願い燈籠は、当日会場で申し込めばご自身の手で川に流すことができます。せっかくですから、ぜひ当日会場で願い燈籠を申し込んで、ご自身の手で燈籠流しを体験してみてください。

永平寺大燈籠ながしは九頭竜川に幻想的な光の帯を描く

提供元:ふくいドットコム

http://www.fuku-e.com/900_others/corporation.php

大施食法要が終わるといよいよ燈籠流し。供養を終えた燈籠が永平寺の僧侶や実行委員会により流されるのと同時に、参列した人々が次々と川面に燈籠を浮かべ、九頭竜川はあっという間に一面の光の帯で埋め尽くされます。

永平寺大燈籠ながしは九頭竜川に幻想的な光の帯を描く

写真:風祭 哲哉

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傾けすぎて周りの紙が燃えてしまわないよう、そっと川面に浮かべた燈籠は、おそるおそる岸辺を離れて、頼りなさそうに揺れながら流されていきます。
やがて上流からやってきた仲間の燈籠の中に遠慮がちに混ざりこむと、九頭竜川を彩る幻想的な光の帯のひとつとなるのです。

永平寺大燈籠流しフィナーレは花火と燈籠のコラボレーション

永平寺大燈籠流しフィナーレは花火と燈籠のコラボレーション

提供元:ふくいドットコム

http://www.fuku-e.com/900_others/corporation.php

永平寺大燈籠流しのフィナーレは色とりどりに打ち上げられる花火。規模的には1000発ですので15分から20分と短い時間ですが、次々と打ち上げられる花火の光に照らされて燈籠が流れてゆく情景は圧巻です。こんな花火と燈籠流しの絶妙なコラボレーションは他ではなかなか見ることができません。

永平寺大燈籠流しは、夏の終わりのちょっとせつないお祭り

永平寺大燈籠流しは、夏の終わりのちょっとせつないお祭り

写真:風祭 哲哉

お盆を過ぎても日中は残暑が厳しく、まだまだ夏の終わりを感じることは少ないのですが、福井の人々はこの燈籠流しと花火大会が終わると急に夏がどこかに去って行ってしまったような気持ちになるのだといいます。

子供たちにとっては夏休みも残りあとわずか。大人たちでさえ、あれほど暑くて憎たらしかった夏も終わりかと思うと、なんとなく寂しい気持ちになるのではないでしょうか。だからこの永平寺大燈籠流しは、ちょっぴりせつない夏の伝統行事、といえるかもしれません。

永平寺大燈籠ながし2018 基本情報

日時:2018年8月25日(土) 18:30〜
会場:福井県吉田郡永平寺町谷口1-203 九頭竜川永平寺河川公園
アクセス:えちぜん鉄道永平寺口駅下車、会場シャトルバス約5分
問い合わせ先:0776-61-3930(永平寺町商工観光課)

2018年5月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/08/21 訪問

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