ゾクッとするほど深山幽谷!徳島の秘境「奥祖谷二重かずら橋」は知る人ぞ知るもうひとつのかずら橋

ゾクッとするほど深山幽谷!徳島の秘境「奥祖谷二重かずら橋」は知る人ぞ知るもうひとつのかずら橋

更新日:2018/07/06 11:11

藤井 麻未のプロフィール写真 藤井 麻未 元秘境系海外旅行添乗員
徳島の秘境といえば「日本三大秘境」に数えられる祖谷渓谷。そして祖谷渓谷といえば蔦で編まれた奇橋「祖谷のかずら橋」が有名だ。そう、今回ご紹介するのもかずら橋なのだが、実は一般的な「祖谷のかずら橋」から更に深く入り込んだ奥祖谷という場所に、ひっそりともう一つのかずら橋がある。こちらは更に訪れる人も少なく、ゾクッとするほどの秘境感に満ちている。今回は、知る人ぞ知る「奥祖谷二重かずら橋」をご紹介しよう。

知られざる奥祖谷とは

知られざる奥祖谷とは

写真:藤井 麻未

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奥祖谷とはいったいどんな場所なのだろうか。祖谷渓谷は徳島の西、剣山をトップとした山間部に位置する深いV字の渓谷だ。その高低差は100mに及ぶ箇所もあり、降雨量が多いことから周囲は鬱蒼とした樹木が茂る。険しい山肌に張り付くように民家が点在する様子はまさに深山幽谷の風情だ。

知られざる奥祖谷とは

写真:藤井 麻未

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祖谷の観光ポイントは大きく分けて西祖谷と東祖谷に分かれ、西には「祖谷のかずら橋」や渓流下りができる風光明媚な大歩危小歩危が。そして東は「奥祖谷」とも言われ、より山奥の秘境といった印象が強い。車一台がやっと通れるほどの曲がりくねった山道をいくつも超える難度の高い運転が必要だからか、奥祖谷まで訪れる観光客はまばらだ。

奥祖谷二重かずら橋

奥祖谷二重かずら橋

写真:藤井 麻未

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そして、そんな奥祖谷の目玉が「奥祖谷二重かずら橋」である。西祖谷のかずら橋は比較的アクセスし易く、一般的に「祖谷のかずら橋」というと西祖谷の方を指す。しかしそれだけ観光客も多く、ハイシーズンは橋を渡るのに行列ができることも。温泉街や土産物屋、食事処も揃っているため便利ではあるが、思ったほど秘境感を感じないのが正直なところだ。その点、奥祖谷二重かずら橋は「深山幽谷にひっそりとかかる奇橋」というイメージ通りの風景を目の当たりにすることができる。

カーブの多い道をひた走り、いくつか峠を越え深い森に入り込むと、突如かずら橋への山道入口が見えてくる。車が数台停められるようになっているのでここで車を降りよう。お手洗いも済ませ、橋を渡るための料金もここで払う。

奥祖谷二重かずら橋

写真:藤井 麻未

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その後、脇にある入口から徒歩で長い山道を下ってゆく。山道自体は舗装され階段となっているため橋まで難なく降りることができる。しかし周囲は深い緑に囲まれすでに秘境感たっぷりだ。

奥祖谷二重かずら橋

写真:藤井 麻未

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山道をしばらく降りてゆくとじきに緑の間に茶色のつり橋の端が見え隠れし、やがてかずら橋が全貌を現す。鬱蒼とした緑の間に、大昔人の手で幾重にも編まれたこげ茶色の橋が横たわる風景はどことなく異様な雰囲気を漂わせ、初めて見た時には誰もが圧倒される。

二重の橋から眺める自然との驚異の融合

二重の橋から眺める自然との驚異の融合

写真:藤井 麻未

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ところで、「奥祖谷二重かずら橋」は文字通り二重(二本)の橋がかかっているのでこう呼ばれている。山道を降りて最初に目にするのが男橋だ。西祖谷よりもやや小ぶりではあるものの、向こうに渡ったらどこか別の世界へと続いているかのような神秘性を感じさせる。

二重の橋から眺める自然との驚異の融合

写真:藤井 麻未

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続いて山道を更に降りてゆくと、もう一つの女橋がかかっている。ぜひ女橋の真ん中ほどで男橋の方向を向いてみて欲しい。下には澄んだ渓流の流れ、そして緑の濃淡が幾重にも重なり、上方の木々の隙間からさきほどの男橋がちらりと覗く。はるか昔から人々の生活手段であったかずら橋と祖谷の自然との見事な融合に惚れ惚れすること間違いない。

二重の橋から眺める自然との驚異の融合

写真:藤井 麻未

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西祖谷のかずら橋は観光客も多いためワイヤーで厳重に補強されている。しかし奥祖谷二重かずら橋は、最低限の補強のみしかしていないため格段にスリリングだ。足元からは激しい渓流がしぶきを上げ、少しの動きでもゆさゆさと揺れる。出来る限り当時そのままの姿を留めているという点でも魅力的だ。

人力ロープウェー「野猿」

人力ロープウェー「野猿」

写真:藤井 麻未

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もうひとつ、女橋の先に面白いものがある。人力のロープウェーとでも言うべき「野猿」だ。こちらも川を渡る目的で設置されたもので川の両岸にロープを渡し、そこに屋形と呼ばれる木の籠が吊り下げてある。人はこの籠に乗り、人力でロープを手繰り寄せて対岸へ渡るのだ。古くは実際に使われた生活の足であった。今でもこの野猿に乗ることができるが、橋より更にスリル満点である。

人力ロープウェー「野猿」

写真:藤井 麻未

かずら橋の下に流れる川辺にも下りることができる。荒々しくも美しい渓流、そして夏でも冷やりとした空気は心身をリフレッシュするのにピッタリだ。しばし童心に戻って川辺を散策してみるのも良い。

おわりに

今回は知る人ぞ知る更なる秘境「奥祖谷二重かずら橋」をご紹介した。かつて祖谷の地に13ヶ所あったかずら橋も、現在残るのは2ヶ所だけとなっている。厳しい自然環境のなか外部から隔絶された祖谷の山奥に生きる人々の、古くからの生活手段であったかずら橋。奥祖谷二重かずら橋は約800年ほども前、平家一族の落人たちが軍馬の訓練や狩猟の際に使っていたという伝説も残る。日本三大秘境の祖谷の地、そして日本三奇橋とも謳われるかずら橋。その見事な風景を一度眺めに訪れてはいかがだろうか。

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掲載内容は執筆時点のものです。 2017/06/21−2017/07/21 訪問

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