今は、教会の正面入り口はサンタマリアノヴェッラ広場にあり、薬局の入り口は別の通りにあるので、教会内の回廊を通じて同じ敷地内にある事が想像し難いのですが、実際には繋がっています。右がサンタマリアノヴェッラ教会、そして薬局の現在の入り口は左側に伸びる、スカーラ通りの16番にあります。
その昔、イタリアの修道院では、修道士達の為に薬草の調合を行なっていました。サンタマリアノヴェッラ教会でも、1221年にドメニコ派の修道士達がフィレンツェに修道院を建て始めた当初から、独自の薬を作り始めます。
提供元:Officina Profumo Farmaceutica di Santa Maria Novella
http://www.smnovella.it/home.html1533年にフィレンツェからフランス王家にお嫁入りしたカテリーナ・デイ・メディチは、ベルガモットのベースにフレッシュなブーケの香りを加えた特注の香水、アックア・デッラ・レジーナ(王妃の水)を嫁入り道具として、フランスに持ち込みます。
この香水は、現在は、アックア・ディ・サンタマリアノヴェッラという名で同じものが売られています。約480年も前の商品を、今も当時の製法のままで作り続けている、この店の姿勢には驚かされます。
1612年に修道士アンジョロ・マルキッシにより、外部への薬の販売が始まると同時に、王侯貴族の間で評判が広まり、「トスカーナ大公御用達」の称号が与えられます。ここから、現存する世界最古の薬局としての長い歴史が本格的に始まります。
ヨーロッパ以外の諸国との貿易が盛んになった1700年代、取引はロシア、インド、更に中国にまで広がります。
ナポレオンのイタリア侵攻、その後のイタリア統一を経て、1866年にイタリア中の修道院と修道院付きの薬局が国に接収される中、この薬局だけは奇跡的に所有権が戻され、その時に薬局長だった最後の修道士の甥、チェーザレ・アウグスト・ステファーニが相続し、その後、現在まで、ステファーニ家が代々経営をしています。
映画『羊達の沈黙』の続編、『ハンニバル』(2001年)では、フィレンツェに潜伏中だったアンソニー・ホプキンス扮するハンニバル・レクターが、捜査官クラリス・スターリングに、ここの石鹸の詰め合わせを贈るというシーンが使われました。
豪華なフレスコ画を施した天井のある店内には、フレグランスコーナー、石鹸コーナー、コスメコーナーとそれぞれに分かれています。
買いたいものが決まったら、カードにチャージをしてもらい、中央奥のレジでお会計をして、商品を受け取ります。一定金額を超えた場合はタックスフリーの手続きもしてもらえるのでお得!
提供元:Officina Profumo Farmaceutica di Santa Maria Novella
http://www.smnovella.it/home.htmlペット好きの方へのお土産にお勧めなのが、サンタマリアノヴェッラ薬局オリジナルのペット用デリケートシャンプー。敏感肌のペットにも安心して使える、上質の材料を使ったナチュラルな優しい香りのシャンプーです。ラベルの紋章をもじった猫の絵がユニーク。
コスメコーナーでは、最新技術を活かして開発されたフェイスケアアイテムが、ずらりと揃い、伝統だけではない、新しいニーズに合わせた新商品を提案し続けています。
ここの薬局を代表する商品の1つが、ポプリ。
キャンティ地方で栽培されているアイリスを始め、様々な花を乾燥させ、更に、それらから抽出した自然のアロマオイルをふりかけ、テラコッタの壷でじっくり漬け込んだという贅沢なもの。
旅行鞄に入れておくだけで、開封前でもふわーっと、サンタマリアノヴェッラ薬局の香りが漂います。シルクの香り袋に入ったタイプの他に、自宅用の真空パックもあります。
ポプリのコーナーの右手の奥にはティールームがあります。
買い物をする人は多いのですが、ここはいつも空いていて、ゆったりとお茶が出来るのでお勧め。
沢山の種類のハーブティーがあり、選ぶのに迷ってしまいそう。素敵なリチャードジノリのヴェッキオホワイトのティーセットでサーブされるお茶を頂くと、とても優雅な気分になります。
オマケに付いてくる、ほんのりと薔薇の香りがするオリジナルのチョコレートは、ここで販売されています。
ティールームの反対側には、小さな礼拝堂があり、自由に見学する事ができます。その昔、健康の理由で、隣接する大聖堂のミサに参加出来なくなった修道士達の為の礼拝堂として使われていたそうです。
キリストの生涯を描いた1300年代のジョットー派のフレスコ画は、素晴らしい保存状態!
必見は、「円卓の最後の晩餐」。通常は長方形のテーブルが描かれる場合が多いのですが、珍しい円卓で描かれています。
コスメやサプリなどで自らをケアすること、石鹸やポプリ等の香りで気持ちを豊かにすること・・・400年間、フィレンツェで培われてきた美を常に提案し続け、今に伝えている、大変貴重なお店です。
ここでフィレンツェ土産を求めるのは勿論ですが、ショッピングだけでなく、この薬局の気の遠くなる様な長い歴史、大切にされて来た空間を楽しみ、独特の香りを胸の奥まで吸い込んでみてください。
きっと、サンタマリアノヴェッラ薬局フィレンツェ本店の魅力を満喫できるでしょう。
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