「天空の橋」の決定版!しまなみ海道「多々羅大橋」と愛媛最北端の岬

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「天空の橋」の決定版!しまなみ海道「多々羅大橋」と愛媛最北端の岬

「天空の橋」の決定版!しまなみ海道「多々羅大橋」と愛媛最北端の岬

更新日:2017/07/15 18:44

春野 公比呂のプロフィール写真 春野 公比呂 学芸員資格

瀬戸内海は、本州や四国本土に挟まれた盆地的海域という特徴から、「移流霧」という海霧が発生し易くます。これが雲海のような風景になるのが4〜7月頃で、しまなみ海道の各橋は早朝「天空の橋」と化します。中でも今治市大三島のマイナーな立石展望台から見る多々羅大橋は、高山を取り巻く雲の上に浮いているよう。大三島には愛媛最北端の鳥取岬や美しい砂浜もあり、絶景の橋と海を心ゆくまで堪能できます。

「天空の橋」に化ける前の「大海の橋」

「天空の橋」に化ける前の「大海の橋」

写真:春野 公比呂

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移流霧は、温帯低気圧に伴った温暖前線と寒冷前線に挟まれた暖域が瀬戸内海に流入し、海面で冷やされることによって発生します。夜間、放射冷却を受けた陸域の大気が海上の大気と交わって発生する放射性の霧とは発生メカニズムが異なるため、その霧や雲海とは発生時期も異なります。8月になると移流霧はあまり雲海状にはならず、普通の霧へと変わって行きます。

雲海状の風景は午前4時台から6時台がピークで、大体10時台に消滅します。海霧が発生する目安として、JB本四高(本州四国連絡高速道路)の霧による制限速度規制がある程度役に立ちます。

「天空の橋」の光景を見るのに多々羅大橋と立石展望台をお勧めする理由は、多々羅大橋は建設時、世界一の斜張橋であり、その規模が大きく、海霧が橋を乗り越えていく様も雄大であるということ。立石展望台は標高が270mと高いため、俯瞰景色となり、大三島対岸の生口島と海霧が高山を取り巻く雲海のように見えるところが決め手です。

この天空の風景を楽しむにあたっては、海霧が発生していない日と見比べてみるとよりその光景が印象的になります。

「天空の橋」に化ける前の「大海の橋」

写真:春野 公比呂

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車中泊をする場合も立石展望台は便利。観光客が訪れることが稀な所で、北東麓には複数の温泉施設やレストラン、コンビニ等があります。飲み水や料理用の水については、車にウォーターボトルを積んでおけば事足ります。

写真は展望台から南東方向を見た景色ですが、生口島、岩城島、伯方島に囲まれた海域がまるで巨大な湾のよう。真ん中のやや右に写る、三つの小島が繋がっているような島は古城島。南北朝時代から戦国時代にかけての河野・村上水軍の根拠地で、甘ヶ崎城跡があり、海底には石垣遺構も残っています。

「天空の橋」に化ける前の「大海の橋」

写真:春野 公比呂

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写真に大きく写る、細長い島のように見えるのは伯方島の開山(148.8m)。地図で見る分には円くなっているのですが、山の北東にある大長崎という岬が極端に突き出ているため、展望台から俯瞰するとかつお節のような形に見えるのです。

遂に現る「天空の橋」

遂に現る「天空の橋」

写真:春野 公比呂

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立石展望台で車中泊した場合、朝、目覚めるとそこには別世界が。海面と多々羅大橋の殆どが消え、まるでどこか山奥の高山に発生する雲海のような雲が、辺りを覆いつくしています。

遂に現る「天空の橋」

写真:春野 公比呂

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移流霧はその名の如く、全長1480mの多々羅大橋を包み込むように移ろい、流れていき、切れ間から時折高速道が顔を出します。

遂に現る「天空の橋」

写真:春野 公比呂

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伯方島の大長崎(真ん中右端)も古城島も岩城島も赤穂根島も津波島も、全てが海霧に覆われ、まるで広大な盆地を取り巻く高山群が雲海に覆われているかのよう。

陸軍の痕跡と愛媛県最北端

陸軍の痕跡と愛媛県最北端

写真:春野 公比呂

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伯方島の開山も前日とは全く違う表情。まるで「開山島」の如く、伯方島とは分離されて見え、背後の293m峰から249m峰へと続く尾根が千メートル級峰のように高く映ります。

陸軍の痕跡と愛媛県最北端

写真:春野 公比呂

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天空の絶景を堪能し終えると北麓に戻りますが、国道317号は二本松橋に至ると県道51号に変わります。橋を渡り終えてすぐの左の川を見ると、コンクリート橋脚のようなものが対岸に続いているのが見えます。これは昭和18年11月に完成した岩国陸軍燃料廠大三島出張所(旧大三島貯蔵所)の貯油タンクに至る送水管の脚部です。戦争末期は石油の輸入が困難だったため、松根油(しょうこんゆ)やアルコール原料を大三島出張所に貯蔵していたのです。

陸軍の痕跡と愛媛県最北端

写真:春野 公比呂

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県道51号北端の北側が愛媛県最北端・鳥取岬です。市販の地図によっては、この岬が四国最北端のように思えるかも知れませんが、実際は北緯34度18分であり、香川県の四国本土最北端よりやや南に位置しています。

美しい白浜と海岸

美しい白浜と海岸

写真:春野 公比呂

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鳥取岬の南西には美しい白浜が広がっており、盛海水浴場となっています。送電線が頭上を通って「うさぎ島」として有名な大久野島まで通じており、風光明媚な所です。

美しい白浜と海岸

写真:春野 公比呂

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鳥取岬の標高は18.7m。尾根道が県道から岬突端まで通っており、送電線のすぐ西に浮かぶ四十島を間近に望むことができます。島の中央には海食洞が開いているのが見えます。

美しい白浜と海岸

写真:春野 公比呂

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尾根道の突端からはロープが垂らされており、岬の先端に下りて行くことができます。そこには奇岩等、特徴のある磯があります。真正面には広島県本土の三原市、左手には大久野島が指呼の距離に見えます。

三原市としまなみ海道で「海霧ツーリズム」を

瀬戸内海の海霧展望スポットとしては、広島県本土の三原市にある筆影山が知られていますが、しまなみ海道の展望スポットはあまり知られていません。しかし、しまなみ海道の各島には展望所もあり、それらの島を繋ぐ様々な「天空の橋」を見ることができます。そのため、尾道市と今治市が共同で「海霧ツーリズム」を推進すると、観光客の増加に繋がります。

そんな「天空の橋展望スポット」の中でも立石展望台は穴場中の穴場なので、カップルで幻想的な風景を楽しむのに適しています。愛媛最北端が鳥取岬であるということもあまり知られていませんが、全国の「最端マニア」には喜ばれることでしょう。砂浜や海が美しいロケーションなら尚更です。

立石展望台と鳥取岬だけでは時間的に物足りないと思うので、それらを楽しんだ後、定期船で大久野島に渡り、うさぎと触れ合えば充実した旅行になるでしょう。

掲載内容は執筆時点のものです。 2008/06/14−2008/07/06 訪問

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