写真:肥後 球磨門
地図を見る熊本県宇城市の宇土半島の西端に位置する「三角西港」へのアクセスは九州自動車道 松橋(まつばせ)ICからで約50分、熊本市内からでは国道57号線を利用して約60分です。公共交通機関の場合は熊本駅からJR三角線を利用し終点の三角駅よりバスで「三角西港前」までおよそ15分で到着します。
写真:肥後 球磨門
地図を見る平成27年(2015年)「明治日本の産業革命遺産」の一つとして世界文化遺産に登録された三角西港は明治20年(1887年)に完成しました。宮城県野蒜(のびる)港および福井県三国港と並ぶ明治の三大築港の一つで、石積み埠頭が当時のまま残っているのは三角西港だけとなっています。
三角西港を設計したのは日本各地の治水や港湾建設の指導を行っていたオランダ人技術者のローエンホルスト・ムルドルです。長さ756mの埠頭建設にたずさわった石工や大工、人夫や潜水夫の数は合わせて20万人以上だったといい、当時の建設工事としてはかなり大掛かりなものだったことがうかがえます。
築港以来100年以上経た今でもその美しい石積みの姿をとどめる埠頭を歩きながら、当時の石組み技術の卓越さにも触れてみてはいかがでしょうか。
写真:肥後 球磨門
地図を見る三角西港は石造りの埠頭だけではなく当時の繁栄を物語る建物も残っています。
明治20年頃に建てられた「高田廻漕店」もそのひとつで、内部を自由に見学することができ、二階から眺める港の景色もまた当時の賑わいを想起させるおススメのポイントです。
写真:肥後 球磨門
地図を見る高田廻漕店の傍にあるのが、龍驤館(りゅうじょうかん)と名づけられた洋館です。「龍驤館」は大正7年(1918年)に明治天皇の即位50周年を記念して建てたられたもので国の登録有形文化財に指定されています。
「龍驤」という名称は明治時代にあった軍艦の名前に由来したもので、明治天皇がその軍艦を好んでいたことと、軍艦に乗船して鹿児島に向かう途中、三角で一泊したことから「龍驤館」と名前がつけられました。
写真:肥後 球磨門
地図を見るこれら歴史ある建物の近くに三角西港の設計を行った「ムルドル」の名をとって「ルムドルハウス」と名づけられた洋館風の物産館が建っています。
物産館では三角の伝統工芸品や海産物、洋菓子などが販売されているので立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
写真:肥後 球磨門
地図を見る三角西港のなかでひときわ目を引くのがコロニアル風建築の「浦島屋」です。
明治26年(1893)7月、三角西港を訪れた小泉八雲は旅館「浦島屋」の女将に心を奪われました。そのエピソードが短編「夏の日の夢」に記述されています。
小泉八雲が滞在した浦島屋は、鉄道の開通で三角西港が衰退したため廃業し、建物自体は明治38年(1905年)に解体されました。現在の建物は平成5年(1993年)に当時の写真を元に復元されたもので資料館として公開され、1階に軽食が楽しめる「カフェギャラリー・ラフカディオ」があります。
再現されたとはいえ当時の面影をそのまま伝える浦島屋でカフェを楽しみながら、この地を愛した文豪に思いをはせてみてはいかがでしょうか。
写真:肥後 球磨門
地図を見る三角西港が最も繁栄した時期、埠頭に面して数多くの倉庫が立ち並んでいました。それら倉庫の中で現在も残っているのが明治20年(1887年)に荷揚げ倉庫として建てられた土蔵造り2階建ての「旧三角海運倉庫」です。
写真:肥後 球磨門
地図を見る当時の繁栄を偲ばせる建物の内部が改装され、カフェ「和蘭館」としてオープンしています。
カウンター席に座って店内から海を眺めながらカフェを楽しむのもいいですが、外のテラス席で潮風に吹かれながら時間を忘れてのんびりすごすのがおススメです。
写真:肥後 球磨門
地図を見る和蘭館のテラス席に座り、まばゆい海の光を浴びながらランチやケーキセットをいただきませんか?
潮風を感じ、間近を航行する船を見ながらほっと一息つく場所としておススメです。
静かな海を眺めながら歴史ある建物でカフェを楽しみ明治時代の浪漫に触れてみるのは、非日常的で開放感を味わえる時間になるでしょう。
日が落ちる頃に凪いだ海が夕日に照らされるのを眺めながらのんびりすごす時間も、旅のいい思い出になるのではないでしょうか。
1887年に完成した三角西港は、128年後の2015年、世界文化遺産として登録されました。120年以上を経た今も当時の姿をそのままとどめた埠頭の石組みは明治時代の匠の技術の卓越さを物語っています。
異国情緒漂う、明治の面影が残る世界遺産「三角西港」で潮風に吹かれ、海を見ながら午後のひと時を過ごしてみてはいかがでしょうか。
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(2024/4/19更新)
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