写真:たぐち ひろみ
地図を見る岩手県西部の山あいにある西和賀町に、約900年前から続く温泉地・湯川温泉があります。豊富に湧き出る源泉を使用したかけ流し湯が近隣の人々に好まれ、永らく湯治場として続いてきました。
その湯川温泉の入口にある「山人-yamado-」は、古い温泉地としては異色の大人限定の高級リトリートです。オープンは2009年。山の達人「山人(やまど)」のように、山(自然)の美しさや恵み、温かさを存分に理解し味わってもらいたいとの願いから、宿の名前は付けられました。
写真:たぐち ひろみ
地図を見る季節ごとに趣を変える自然に包まれて癒しの時を過ごす。世界各地、日本各地から珍しい食材を集めるより、ここでしか味わえない土地の味覚を新鮮なうちに楽しむ。そうした宿のコンセプトがサービスや施設にしっかりと息づいている「山人」は、2017年にはプロによる「日本の小宿10選」にも選出され、改めてその品質にお墨付きが与えられました。
写真:たぐち ひろみ
地図を見る広い敷地を持つ「山人」ながら、客室数はわずか12室。「麓花坊(ろっかぼう)」「麓樹坊(ろくじゅぼう)」「靖山楼(せいざんろう)」の3つの棟に、それぞれ4室ずつが設けられています。北欧風、メゾネットなど、いくつかのタイプが用意されている客室の中から、写真は「麓花坊」の和モダンな一室「蕗の薹」。この宿で一番狭いタイプの客室ですが、それでも40.82平米という広さです。
写真:たぐち ひろみ
地図を見るまるで自宅にいるかようなくつろぎを感じるリビングには、大型テレビとBOSEオーディオ搭載のCD/DVDプレーヤーを装備。シモンズ社製のハリウッドツインベッド、源泉かけ流しの半露天風呂、渓流に面したテラス、無料のドリンクが用意された冷蔵庫、コーヒー&お茶のセット、館内着の山人衣(作務衣)、湯上り用のバスローブ、さらに女性には贅沢にもアメニティー8点セットが。
過不足なく整えられた設備や備品は、ずっと部屋に籠っても不便や便りなさを感じさせないための宿の心づくし。さすがです。
写真:たぐち ひろみ
地図を見る「山人」では、全客室に源泉かけ流しの半露天風呂を完備しています。しかも本当に流しっぱなし! いつでも気ままに純度100%の温泉に入ることができる、温泉好きのためのパラダイスです。
「蕗の薹」のお風呂はちょっと小ぶり、2人で入るとやや手狭な感じはありますが、窓を全開したときの解放感がとにかく魅力。浴室への入口は茶室のにじり口風になっていて、あえて頭を低くしないと入れません。浴室に足を踏み入れて初めてその眺望に感動してもらうという、心憎い演出です。
写真:たぐち ひろみ
地図を見る部屋露天だけでもことが足りてしまうこの宿では、客室以外にある浴場は大野天風呂1ヶ所だけ(写真)。あえて屋根を省いたこの露天風呂は、もちろん源泉かけ流しです。緑につつまれた渓流沿いという絶好のロケーションで、夜ともなれば、満天の星を仰ぎながらの風流風呂が楽しめます。
PH7.5の弱アルカリ性単純温泉で、美肌湯の目安といわれるメタケイ酸も98mgとかなりの量。浸かれば浸かるほど、お肌も髪もうるおってくるうれしい泉質です。
写真:たぐち ひろみ
地図を見るお食事処「福膳坊」でいただく自慢の料理は、地元や自家農園「山人ファーム」で採れた新鮮な食材を料理長が厳選して作り上げたオリジナル和食。きゃらぶき、山ウド、細竹、こごめなど、めずらしい山菜の名前がたくさん並び、岩手らしさ、西和賀町らしさが全面に出たメニューに仕上がっています。
特に目を引くのは、夜の前菜として出される「山人特製の季節のバーニャカウダ」。そのときどきの旬野菜が彩りよく盛り付けられた一皿は、食欲を大いに刺激してくれます。すべて生で供されるのも、それだけ味に自信がある証拠です。自家農園「山人ファーム」で育てている、元気はつらつな地鶏「南部かしわ」もおすすめのひとつ。地面を元気に駆け回っているせいか、弾力のある歯ごたえと深い味わいが印象的です。
写真:たぐち ひろみ
地図を見るところで、この宿の料理はとてつもなくボリューミー! 何でも料理を沢山ふるまうのがこの地方での最大のおもてなしだそうで、一品一品が想像をはるかに超える分量で出てきます。それなのに、部屋にお持ち帰り用のお夜食まで渡されて! 残すことに罪悪感を感じてしまいそうなら、あらかじめ少なめにと頼んでおきましょう。
写真はある朝の朝食メニュー。フレッシュフルーツのスムージー、前菜各種、鍋料理、温泉卵など、野菜と山菜中心の基本メニューに、お好みで魚やベーコン、パン、卵料理、サラダなどが追加できます。前の晩ちょっと食べ過ぎたかなと思ったら、この朝食でうまく調整しましょう。
写真:たぐち ひろみ
地図を見る湯川温泉の周辺には、これといったメジャーな観光スポットが見当たりません。でも、これは「山人」を訪れる人にとってはとてもラッキーなことです。なぜなら、お籠りのために存在するようなこの宿に、何の迷いもなくただただ篭れるから。
あなたの本棚に深く眠っている本があるなら、今がそれを読んでみる絶好のチャンスです。ロビー2階のライブラリーに行けば、この地方にまつわる書籍や小説など幅広い蔵書が並んでいるので、ここから選ぶのも一案です。ロビーにはまた、感度の高いスウェーデン・ジャズのCDコレクションも。目より耳で楽しみたいという方なら、気になる数枚を借り出してお部屋でじっくり音楽鑑賞といきましょう。
季節ごとにさまざまな顔を見せる「山人」。春には鮮やかな新緑や大山桜が、夏には蛍の舞姿が、秋には赤・黄・オレンジの衣をまとう山々が、冬には視界を埋めつくす銀世界が、あなたの目と心を楽しませてくれます。
なかでも宿の一番のおすすめは、意外なことに冬の「山人」なのだそうです。一冬で10m以上の雪が積もるという、ここ西和賀町。そんな豪雪地帯ならではの本当の冬を「山人」では体験できます。敷地内に登場する「かまくら」で食後のコーヒーをいただきながら、「ゆきんこ気分」を味わいましょう。貸切露天での贅沢な雪見風呂もはずせません!
さて、「山人」への行き方です。東京からならJRの東北新幹線「やまびこ」で北上へ。JR北上線に乗り換えて西へ40分、ほっとゆだ駅下車。ここからは湯川温泉行きの路線バスで10分ほど、「山人」の名前を告げれば、宿の前で降ろしてくれます。
ところで、この「山人」には「ふるさと納税プラン」でも滞在が可能です。西和賀町に一定金額の寄付をすると、お礼の品としてここ「山人」の宿泊券をもらうことができます。ペア用、1人用など、数種類のプランが用意されていて、初めての滞在におすすめです。
岩手の山奥のとっておき、大人のヒーリングリゾート「山人-yamado-」。ぜひ滞在して、豊かな自然と温泉に癒されてください。
2019年8月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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