県境は幅1メートルの登山道!福島「飯豊山」で不思議な県境を体感

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県境は幅1メートルの登山道!福島「飯豊山」で不思議な県境を体感

県境は幅1メートルの登山道!福島「飯豊山」で不思議な県境を体感

更新日:2017/08/24 17:52

なべ部 FGのプロフィール写真 なべ部 FG

地図で見ると、飯豊山は福島県の土地として、山頂付近まで細長い県境が強引に伸びています。実は、主峰の飯豊本山手前にある飯豊山神社への参道(登山道)が県境で、途中の約4キロメートルの幅は1メートル足らず。つまり新潟県・福島県・山形県を一跨ぎできるのです。古くから山岳信仰の対象として崇められ、かつて会津藩では男子成人の儀礼で成人登山が行われていた歴史を持つ飯豊山で、不思議な県境を体感してみましょう。

スタートは、福島県喜多方市山都町の川入口、標高差900メートルの急坂越えて稜線へ

スタートは、福島県喜多方市山都町の川入口、標高差900メートルの急坂越えて稜線へ

写真:なべ部 FG

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川入登山口は、喜多方市山都町一ノ木の川入集落の先約2キロメートルの御沢キャンプ場に車を駐車しスタートします。川沿いの細いダート道ですが、増水などで車両通行止めの場合もありますので、ご注意ください。登山用のバスは、夏場の金曜日から月曜日に磐越西線山都駅から川入集落まで2往復、乗り入れています。終点からは、徒歩約30分で御沢キャンプ場です。

スタートは、福島県喜多方市山都町の川入口、標高差900メートルの急坂越えて稜線へ

写真:なべ部 FG

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登山口には、須佐之男命が祀られる御沢神社、ご神木として、杉や栃の木が植えられ、ここから飯豊山の飯豊山神社までの登山道が参道になります。表参道と記された石の道標もあります。

スタートは、福島県喜多方市山都町の川入口、標高差900メートルの急坂越えて稜線へ

写真:なべ部 FG

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地蔵山までの登山道は、標高差約900メートルの急坂です。見事なブナ林の中を歩きます。登山道は深くえぐられた急な部分や倒木もありますので、注意が必要です。途中、下十五里、中十五里、上十五里という広場が、ほぼ500メートルの間隔で設けられ、休憩所として利用できます。それぞれ杉の大木が目印として植えられています。(写真では、一方が落雷か、雪の影響で折れています)

三国小屋までの変化のあるルート、水場や残雪、難所の「剣ヶ峰」も

三国小屋までの変化のあるルート、水場や残雪、難所の「剣ヶ峰」も

写真:なべ部 FG

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笹平、横峯を通過し、やや傾斜がゆるやかな登山道を進み、周囲の花も種類が増します。しばらくして、地蔵山の手前にあるのが、水場の峰秀水。登山スタートから約3時間で到着します。ありがたいことに、登山道沿いに、涌き水が大量に溢れ出ています。手前に休憩所として利用できる広場があります。

三国小屋までの変化のあるルート、水場や残雪、難所の「剣ヶ峰」も

写真:なべ部 FG

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この後、地蔵山の中腹から尾根道を進みます。6月下旬でも写真のように大量の残雪があるので、その上をゆっくりと踏みしめながら歩きましょう。樹木が減り、遠くには通過する山小屋の方向や峰が見えてきます。足元では、ショウジョウバカマやキンポウゲ、シラネアオイ、ハクサンチドリなど、雪解け後の花々が咲いています。

三国小屋までの変化のあるルート、水場や残雪、難所の「剣ヶ峰」も

写真:なべ部 FG

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最初に現れる難所が「剣ヶ峰」。三国小屋へ至る手前に位置する岩場です。くさりにつかまりながら登る岩場で、雪解け後のこの時期、所々に可憐なピンクのヒメサユリが岩の間に咲いています。最後に険しい登りを過ぎると、登山スタートから約4.5〜5時間で、避難小屋の三国小屋に到着します。

三国小屋の先が、幅約1メートルの危険な登山道。滑落注意の難所「駒返し」や切り立った崖、雪渓も注意!

三国小屋の先が、幅約1メートルの危険な登山道。滑落注意の難所「駒返し」や切り立った崖、雪渓も注意!

写真:なべ部 FG

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三国小屋を通過すると、ヤセ尾根の狭い登山道が続きます。飯豊山神社の手前、御前坂付近まで約4キロメートルが、幅3尺(約91センチメートル)の福島県領登山道。県境はその先飯豊山神社、飯豊本山を経て、御西岳まで約7.5キロメートル(途中から旧参道を含め幅約300メートル)も続きます。左側(新潟県)は緩やかな樹林帯ですが、右側(山形県)は、大雪渓が残り、雪解けで崖が削られ(雪食)、切り立っています。滑落に要注意な区間です。

写真にあるのは、三国小屋から種蒔山への通過点の難所「駒返し」。かつて、ここまで馬が登ってきたかは疑問ですが、急坂の岩場にハシゴとくさりが設置されています。

三国小屋の先が、幅約1メートルの危険な登山道。滑落注意の難所「駒返し」や切り立った崖、雪渓も注意!

写真:なべ部 FG

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七森という7カ所のアップダウンを繰り返すと、こんもりとした種蒔山です。表示は有りませんが、地図上の県境がはっきりわかる場所です。

不思議な県境ができたのは、明治時代の飯豊山領有権争いの結果です。明治維新後の廃藩置県で、旧会津藩領を含む福島県の県庁を福島市とした際に、元会津藩領の津川を含む北蒲原郡を新潟県に編入しました。飯豊山神社の麓宮がある福島県の一ノ木村(今の喜多方市山都町)が猛反対して、明治38年に、麓からの登山道を含む飯豊山頂付近や飯豊山神社の奥宮を福島県領として決着したという経緯があります。

三国小屋の先が、幅約1メートルの危険な登山道。滑落注意の難所「駒返し」や切り立った崖、雪渓も注意!

写真:なべ部 FG

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種蒔山から切合小屋にかけては、雪渓の中を歩きます。軽アイゼンを装着するなどして慎重に歩きましょう。登山道が雪に覆われ見えなくなっていますので、夏道コースから、大きく離れないように踏み跡を確認しながら進みます。視界が良ければ、目指す切合小屋が先に小さく見えるので、目標として進みましょう。三国小屋から切合小屋までの所要時間は約1.5時間です。御沢キャンプ場からだと休憩込で約7時間の長丁場です。

切合小屋で、荷物をデポし、飯豊本山へ。「御秘所」は最後のくさり場

切合小屋で、荷物をデポし、飯豊本山へ。「御秘所」は最後のくさり場

写真:なべ部 FG

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飯豊山登山は、日帰りは難しいので、避難小屋に1〜2泊するのが一般的です。福島県川入からは、三国小屋、切合小屋、本山小屋、さらに足を延ばして御西小屋を利用します。管理人さんが常駐するのは、ほぼ7〜9月で、切合小屋のように食事提供可能な小屋もありますが、基本的に食事と寝具(寝袋)を各自準備する必要があります。そのため、重装備となるので、宿泊する小屋に大きな荷物を預け、飯豊山神社や山頂にはサブザックに雨具水分など必要最低限な荷物だけ入れ、身軽になって移動するのがベターです。

切合小屋を出ると、再び雪渓を約300メートル登ります。写真は、かつて成人登山で、草履を履き替えて、身支度を整えたという「草履塚」から見た、最後の難所「御秘所(おひそ)」方面です。少し左には飯豊本山の山頂も見渡せます。御秘所の手前には、女人禁制だった時代に、禁を破って入山した女性が、山の祟りに遭って石にされたという伝説によるオンバさまが祀られている「姥(うば)権現」があります。

切合小屋で、荷物をデポし、飯豊本山へ。「御秘所」は最後のくさり場

写真:なべ部 FG

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御秘所の岩場。東側(写真の右側、くさりの無い山形県側)は、垂直に切り立って、非常に危険です。左から、くさり越しに慎重に登れば、大丈夫です。飯豊信仰においても最大の難所とされ、成人登山でもここを越えることで一人前の男として認められる場所でした。

切合小屋で、荷物をデポし、飯豊本山へ。「御秘所」は最後のくさり場

写真:なべ部 FG

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ミヤマキンバイが咲き誇る登山道。しつこいですが、ここも福島県領の県境で、登山道を境に、左が新潟県、右が山形県です。この辺りでは、ウスユキソウやオヤマノエンドウ、ハクサンイチゲ、アオノツガザクラなどの花々の群生も見られます。

飯豊山本山の頂上手前に飯豊山神社

飯豊山本山の頂上手前に飯豊山神社

写真:なべ部 FG

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御秘所を越えても、その先に御前坂のきついガレ場をジグザグに登ります。登り途中で、石組みが見えますが、本山小屋はその先に隠れて見えず、石組の辺りまで登ると、小屋の建物が見えます。数百メートル右に行くと水場ですが、雪に覆われていると使用できないことがあります。

飯豊山本山の頂上手前に飯豊山神社

写真:なべ部 FG

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本山小屋に到着すると、そのすぐ脇に構えるのが、飯豊山神社の奥宮。鳥居の先に、風雪に耐えられるように頑丈な造りの建物。夏には宮司さんが常駐、それ以外の季節は扉が閉まりますが参拝はできます。

飯豊山本山の頂上手前に飯豊山神社

写真:なべ部 FG

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本山小屋、飯豊山神社から、西へ700メートル、約15分平坦な登山道を進むと、標高2105メートルの山頂です。小さな祠、一等三角点、標柱があります。今回は行けなかったお花畑がある御西岳方面や、最高峰の大日岳。また北へ延びる険しいダイグラ尾根を眺めます。切合小屋からは約2時間、切合小屋への帰りは約1.5時間のコースです。

山頂手前には、飯豊山固有の貴重なイイデリンドウの紫の花が咲いていることもあります。

おわりに

飯豊山は、古くからの山岳信仰の対象として親しまれ、高山植物と残雪がシンボルの山です。本格的な装備が必要で、登山には、経験者やガイドさんと同行がお薦めです。危険な箇所も多く、滑落事故なども発生していますので、安易な計画での登山は危険です。

雪渓の上を歩いたり、高山植物に出会えたり、素敵な場所ですので、飯豊山神社の参道である県境登山道をぜひ、歩いてみませんか?

掲載内容は執筆時点のものです。 2017/06/24−2017/06/25 訪問

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