一生に一度は見たい名画「バベルの塔」が大阪国立国際美術館にやって来た!

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一生に一度は見たい名画「バベルの塔」が大阪国立国際美術館にやって来た!

一生に一度は見たい名画「バベルの塔」が大阪国立国際美術館にやって来た!

更新日:2017/07/23 19:57

旅人間のプロフィール写真 旅人間 トラベルライター、旅ブロガー

『ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル「バベルの塔」展』が大阪の国立国際美術館で開催されています。バベルの塔と言えば、人間が天まで届く塔を建てようとし、神の怒りに触れ、人々はお互いの言葉を理解できなくなって混乱し塔は完成しなかった。これは旧約聖書に登場する有名な物語です。そんなバベルの塔を圧倒的なスケールで描いたブリューゲルの名作が来日しています。これは絶対に見ておきたい!

国立国際美術館でボイマンス美術館所蔵「バベルの塔」展

今から約500年前に活躍し絵画の巨匠、ピーテル・ブリューゲル1世の代表作「バベルの塔」が24年ぶりに来日しました。関西では初公開!

今回はオランダを代表する美術館のひとつ、ボイマンス・ファン・ベーニンゲン美術館からブリューゲルのみならず、彼が手本とした先駆者ヒエロニムス・ボスの油彩2点、奇怪な怪物たちを描いた版画作品など一日中いても時間が足りない内容。場所は大阪の国立国際美術館。開催は2017年10月15日(日)まで!この機会を見逃さず、ぜひ足を運んでみましょう。

国立国際美術館でボイマンス美術館所蔵「バベルの塔」展

写真:旅人間

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呼吸を忘れるほど繊細!まさに一生に一度は見たい名画

稀代の名作「バベルの塔」の作者で知られるブリューゲルは、少なくとも3点のバベルの塔を描いたと言われています。そのうちの1点は象牙版に描かれ現存しておらず、残りの2点はウィーン美術館所蔵の1563年に描かれたもの、そして今回来日した1568年頃に描かれたボイマンス美術館所蔵ものになります。

前作の方が4倍ほど大きいが、現存するこの2点は単なる縮小形の複製ではありません。今回来日の「バベルの塔」は前作の5年後に描かれ、塔の建設はより完成に近づき、住居が始まっている様子なども見られます。つまり同じ画材を更に深められた作品と言えるでしょう。

呼吸を忘れるほど繊細!まさに一生に一度は見たい名画

写真:旅人間

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天まで届きそうな勢いのバベルの塔は、雲を突き抜くも未だ建設中。とても豪快な絵に見えますが、近くで見ると呼吸をするのを忘れてしまう程に繊細。目を凝らしてよく見ると、塔の周囲には多くの人々の姿も見え、一説によると約1400人もの人が描かれているそうです。

呼吸を忘れるほど繊細!まさに一生に一度は見たい名画

提供元:ピーテル・ブリューゲル1世「バベルの塔」1568年頃 油彩、板 Museum B…

バベルの塔の上層階が赤い色をしていますね。これは新しいレンガを使用している部分。下に行くほど土色に変化していることから、建設に長い年月を費やしていることが分かります。最下層では洗濯物を干している様子も見られ、既に住み着いている人達のようにも思えます。

赤い帯はレンガを運ぶ跡、白い帯は建築資材の漆喰の跡と言われています。よく見れば落ちた粉をかぶって真っ白になった人々の姿、巨大な車輪に入りハムスターの回し車のような人力のクレーン。また四層目の中央部に窓ガラスと彫像があり、人々が列をなす様子から塔には教会もあるようです。リアルに描かれた全てのシーンに息づかいとドラマを感じます。

呼吸を忘れるほど繊細!まさに一生に一度は見たい名画

写真:旅人間

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この絵は人間の高慢に対する教訓なのか?それとも…

かつて世界中の人々は同じ言葉を使って、同じように話していた。そして天まで届く塔を建て、町を有名にしようと試みます。しかしその様子を見た神は「人々が同じ言葉を話しているから、このようなことをし始めたのだ」「これでは彼らが何を企てても防ぎようがない」と人々の言葉を混乱させ、お互いの言葉を理解できないようにしてしまいます。意思の疎通が出来なくなった人々は散り散りとなり、ついに塔は完成しなかった。

これは旧約聖書「バベルの塔」の物語ですが、人間の高慢に対する教訓として、塔の崩壊、人々の離散する話として知られています。しかし、ブリューゲルの「バベルの塔」は、不可能と思えることに挑戦する人間の逞しさを描いているように見えます。迫力ある拡大された絵からも、活気ある人々の声が今にも聞こえてきそうです。

この絵は人間の高慢に対する教訓なのか?それとも…

写真:旅人間

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ブリューゲルの代表的な版画作品と奇想天外なモンスター

ネーデルラント(現在のオランダとベルギー)の生んだ最も有名な画家の一人ヒエロニムス・ボスは後に「モンスター」と呼ばれる奇怪な生き物を無数に表現した画風で知られ、その大胆な想像力は西洋美術史の中でも特に独創的なものと評されています。

そんなボスが亡くなった後、助手たちは作品の制作を続け、またボスの名声に模倣者も多く「ボスのような」作品が多く残っています。ここでは「聖アントニオの誘惑」「大きな魚は小さな魚を食う」「野ウサギ狩り」などブリューゲルの代表的な版画作品、また作者不詳のボス風の作品を数多く見ることが出来ます。

ブリューゲルの代表的な版画作品と奇想天外なモンスター

写真:旅人間

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1500年思想家エラスムスが編纂した格言集が出版されたことをキッカケに16世紀ヨーロッパでは格言やことわざが流行しました。それは日常生活に様々な忠告や教訓をもたらす一種の知恵と言っても良いでしょう。ここでは「聖アントニオの誘惑」「大きな魚は小さな魚を食う」「野ウサギ狩り」に注目したい。

例えば、ブリューゲルの代表的版画作品「大きな魚は小さな魚を食う」では、巨大な魚の腹を裂く男、腹の中からは小さな魚が溢れ出し、その口から更に小さな魚が…、これは強いものが弱いものを支配する弱肉強食を表したもの。ちなみに、この左上には今話題のキャラクターが見られますのでお見逃しなく!

ブリューゲルの代表的な版画作品と奇想天外なモンスター

写真:旅人間

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この話題のキャラクターとは「大きな魚は小さな魚を食う」の版画左上で見られるタラ夫と名付けられた足の生えた魚のこと。

音声ガイドを借りて聞いていると、突然「こんにちは、私…、タラ夫と申します」と登場し、思わずぷっと笑ってしまうはず。音声ガイド300番を押すと、なんとタラ夫が紹介する16世紀ネーデルランドのことわざコーナーも始まります。人気急上昇中のマスコットキャラクターのフィギアやモンスターグッズは売店にて販売されています。

ブリューゲルの代表的な版画作品と奇想天外なモンスター

写真:旅人間

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奇想の画家ヒエロニムス・ボスの作品

奇怪な怪物たちを描いたヒエロニムス・ボスの作品は、16世紀頃のヨーロッパで絶大な人気を集めました。基本的に彼の作品はこの地方の伝統に深く根差したもので、キリストの受難と聖人の姿を多く描いています。

その代表作の一つが「聖クリストフォロス」。これは世界でもっとも力ある人に仕えたいと願っていた巨人が小さな子供を背負って川を渡ると、子供はどんどん重くなり、その子供の正体はキリストだったと言う物語。

絵をよく見ると、巨人が持つ枯れた杖から新芽が出ているのは子供がキリストであることを示し、杖に吊るされた血を流す魚は磔に処せられるキリストを暗示していると言う。また対岸では裸で逃げる人物、廃墟の怪物、遠景の火事は迫り来る危機を表すなど、この絵の中には見るポイントが数多く、絵の横には写真付きで解説も用意されています。

奇想の画家ヒエロニムス・ボスの作品

写真:旅人間

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宗教画だけでなく、人々の日常を描いた画家の先駆けと言われるボスの「放浪者(行商人)」も必見です。屋根の上にある棒に刺さった花瓶、鳩小屋、白鳥の看板とくれば娼家なのは一目瞭然。この貧しい身なりの男はただの通りすがりか、既に立ち寄って浪費に後悔しているのか、それとも今から行くか考えているのか、それを知る術はありません。

迷いある男の表情、小屋から顔をのぞかせる女性の姿、これらは様々な妄想を駆り立てます。そして絵をジーっと見ていると、私たち人間の人生と言う旅の途上で遭遇する誘惑への迷いに重なり合い、更に円形の作品の縁は鏡を連想し、あたかも鏡に写る自分を見るかのようにも錯覚させられます。実に奥の深い作品です。

奇想の画家ヒエロニムス・ボスの作品

写真:旅人間

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最後に…。

大阪の国立国際美術館で開催されている「ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル『バベルの塔』展 16世紀ネーデルラントの至宝-ボスを超えて-」の最大の見所を紹介致しました。
展示は「16世紀のネーデルラントの彫刻」から始まり、「キリスト教の布教に使われた絵画」、そして次第に聖書や聖人の物語から画家たちは「人々の生活や風景」を描く変化がみられます。そうした背景の中でボスやブリューゲルは大きな存在感を感じさせてくれます。

館内では「音声ガイド」の利用は絶対におすすめ!ナビゲーターはキャスターの雨宮塔子さんと声優の森川智之さん。収録時間は30分で520円。最後に地下1階のパブリックスペースで「AKIRA」などで知られる漫画家の大友克洋さんがバベルの塔内部構造をテーマに「INSIDE BABEL」を製作し展示しています。これもまた必見ですよ。

掲載内容は執筆時点のものです。 2017/07/18 訪問

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