本に登場する料理が食べられる!東京・駒場「BUNDAN」で文学の世界にどっぷり浸ろう!

本に登場する料理が食べられる!東京・駒場「BUNDAN」で文学の世界にどっぷり浸ろう!

更新日:2017/07/21 17:57

竹内 あやのプロフィール写真 竹内 あや トラベルライター
小説や文学のなかに登場する料理が味わえる――そんな本好きにはたまらないカフェが東京・駒場にあります。日本近代文学館内にある「BUNDAN COFFEE & BEER」は、物語や作家にまつわる飲み物や料理をいただきながら、心行くまで読書を楽しめるカフェ。本のなかの世界を、“読んで”“食べて”体感してみませんか――。

店内には2万冊の本がずらり!

店内には2万冊の本がずらり!

写真:竹内 あや

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文学カフェがあるのは京王井の頭線駒場東大前駅から徒歩約7分、図書や雑誌、数々の名作の原稿など120万点もの資料を収蔵する日本近代文学館内。閑静な住宅街を抜け、緑あふれる駒場公園内をしばらく歩いて行くとたどり着きます。すぐ近くには国の重要文化財に指定されている旧前田侯爵邸もあり、とてもいい雰囲気。喧噪を逃れて、ゆったり読書に浸るのにも最高の環境です。

店内には2万冊の本がずらり!

写真:竹内 あや

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カフェをプロデュース・運営しているのは、クリエイティブカンパニー「東京ピストル」。感動するという不変の“こころ”を大切にし、新しい文学の道標となるような場所を作りたいと2012年にオープンさせました。

床から天井まで2万冊もの本が壁一面にぎっしりと並ぶ店内は、まるで図書館か古本屋といった雰囲気。店内に配された書斎机やテーブル、椅子なども一つひとつが個性的で、趣があります。ここにある本はすべて閲覧可能なので、お気に入りの1冊を手にゆったりとした時間を過ごすのもいいかもしれません。

“見る”だけで,楽しいメニュー

“見る”だけで,楽しいメニュー

写真:竹内 あや

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朝食、昼食、軽食、菓子と分類されたメニューには、気になる料理がずらり! 飲み物の種類も豊富で、コーヒー、紅茶からワイン、ウィスキー、シャンパンといったアルコール類まで揃っています。そして、その一つひとつが小説や作家に関連しているのですから、本好きにはたまりません。

メニューには、それぞれにまつわる歴史やエピソードがぎっしりと書かれていて、つい全項目に目を通してしまいたくなるほど。読んだことのない本であればすぐにでも読んでみたい気分に、すでに読んだことのある本であっても、もう一度じっくり読み返してみたい気分になってきます。

あの小説に登場した料理が目の前に!!

あの小説に登場した料理が目の前に!!

写真:竹内 あや

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「『ハードボイルド・ワンダーランド』の朝食セット」は、村上春樹の『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』のなかで主人公の“私”が“最後の晩餐”として食べた朝食を再現したもの。ストラスブルグソーセージのプリプリとした食感とともにトマトソースの甘酸っぱさが口のなかに広がり、“私”はこれをどんな思いで食べたのだろうか…と想像が膨らみます。

「シャーロック・ホームズのビールのスープとサーモンパイ」(写真)は、アーサー・コナン・ドイルの小説『シャーロック・ホームズ・シリーズ』のなかで、ワトソン夫人がホームズとワトソンのために作ったとされるレシピ。後にホームズの食卓の様子をまとめた、ファニー・クラドックの『ショーロック・ホームズ家の料理読本』内で紹介されているものです。

“二人の紳士のお気に入りだった”というビールのスープは、ビールにバター、ラム酒、シナモン、小麦粉、卵黄などを加えたもので、“ワトソン夫人”によれば、二人は常にこれとともにアンチョビ・トーストを要望したとのこと。ここでは、トーストの代わりにサーモンパイが添えられています。

作家や小説にまつわる料理も!

作家や小説にまつわる料理も!

写真:竹内 あや

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小説のなかに登場するもののほか、作家ゆかりの飲み物・料理もあります。たとえば「AKUTAGAWA」と名付けられたコーヒーは、日本におけるコーヒー文化発祥の地とされる銀座「カフェーパウリスタ」で提供されていたものを再現。芥川龍之介をはじめ、高村光太郎、菊池寛など多くの小説家が好んで飲んでいたようで、「銀座にブラジルコーヒーを飲みに行く」というのが「銀ブラ」の語源だともいわれています。

「ヨロン丼」(写真)は、森瑤子が別荘の沖縄周辺の離島・与論島に引っ越した際、食材が何もないなかで生み出された料理。たまたま見つけたオイルサーディン缶が、意外にも“バクバクいける”おいしい丼に変身! ここで、小説『アイランド』などが執筆されたとのことです。

作家や小説にまつわる料理も!

写真:竹内 あや

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また、小説のなかの世界をイメージして生み出されたオリジナルメニューもあります。レモンピールにジュレ、レモンオイルのさわやかな風味が特徴の「檸檬パフェ」は、同人誌『青空』で発表された梶井基次郎の『檸檬』をイメージしたもの。坂口安吾が伊豆大島の印象について表現した「特製生チョコレートケーキ」など、小説のなかの一節から誕生したメニューもあります。

さらには、小説に登場する料理からイメージを膨らませたメニューも。「レバーパテトーストサンドイッチ」(写真)は、谷崎潤一郎の『蓼喰う虫』のなかで主人公のひとりが、夫と子どもを置いて家を出る場面で作っていたという、キュウリの酢漬けとソーセージのサンドイッチをBUNDAN風にアレンジしたもの。豚肉と鶏レバーの深みのある味わいが、彼女の心境と重なり合います。

喧騒を逃れ、小説や文学の世界に浸れる場所へ

駒場公園内にたたずむ日本近代文学館内にあるBUNDANカフェは、日常の喧騒を逃れ、ゆったり読書を楽しみたい……という人にも最適の場所。店内は比較的広々としていますが、土曜の昼などは少々混み合うこともあるので、のんびり過ごしたいのであれば、ランチ時間を避けるか平日に訪れるのがおすすめです。

気候がよければ、テラス席もなかなかの居心地。穏やかな風を感じながら、気になる1冊を手にまったりと過ごすことができます。

お気に入りのコーヒーがあれば、店内で豆を購入することも! ほかにも人気作家が使っていたという原稿用紙や雑貨なども販売されています。

静かな時間が流れるカフェで、小説や文学の世界にどっぷりと浸ってみませんか――。

この記事の関連MEMO

掲載内容は執筆時点のものです。 2017/07/07−2017/07/08 訪問

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