米映画「パターソン」の舞台へ!偉大なる滝グレートフォールズ

米映画「パターソン」の舞台へ!偉大なる滝グレートフォールズ

更新日:2017/07/22 19:36

いしい ひいのプロフィール写真 いしい ひい 元旅行会社勤務、アメリカ旅行ライター、フードコーディネーター
2017年日本公開のアメリカ映画「パターソン」は、ニュージャージー州「パターソン」という実在の町が舞台で、主人公の名前も「パターソン」。優しさとユーモアに包まれ、じんわりと癒されるような映画です。そして映画に登場する滝「グレートフォールズ」は、アメリカの産業発展に貢献したことで国の史跡にも登録されている、文字通りグレートな滝。滝を見て、映画を見て、心から癒されてみませんか?

映画「パターソン」の主人公は滝を見ながら詩作する

映画「パターソン」の主人公は滝を見ながら詩作する

写真:いしい ひい

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2016年のアメリカ映画「パターソン(Paterson)」は、2017年8月26日に日本公開。ニュージャージー州パターソンという町に住むパターソンという名の男性と、その妻と犬の何気ない1週間を静かに描き出した映画です。

パターソン君は毎朝決まった時間に目を覚まし、朝ごはんにシリアルを食べ、ランチボックスを持ってバスの車庫まで歩いて行き、バスの運転手として1日働く。大好きな詩を秘密のノートに書き綴り、夜は愛犬を散歩させながらパブに行き、一杯のビールを飲む。
特に大きな事件は怒らず、パターソン君らの会話や詩を中心にストーリーが展開していくのですが、決して退屈な映画ではありません。優しさとユーモアに包まれ、見終わった後じわりじわりと心が癒されていくような、とってもステキな映画なのです。

主演のアダム・ドライバーは遠藤周作の名作を映画化した「沈黙−サイレンス」で神父の役、「スター・ウオーズ」シリーズでは悪役カイロ・レンを演じるなど、アメリカで最も注目されている若手俳優のひとり。
印象的なラストシーンに登場するのが、永瀬正敏。パターソン君に何気に話しかける背広姿の謎の日本人、といった役回りを飄々と演じています。

その二人が会う場所、そしてパターソン君が詩作をする場所としてこの映画に登場するのが、「グレートフォールズ」という滝のある公園。この町のシンボルとも言うべき存在で、パターソンの産業はかつてこの滝のエネルギーを利用して、大いに繁栄したのです。

米産業を支えたグレートフォールズの歴史

米産業を支えたグレートフォールズの歴史

写真:いしい ひい

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グレートフォールズは落差23メートル、米ミシシッピー川以東でナイアガラの滝に継ぐ豊かな水量を誇ります。

18世紀末、この滝を視察したアレクサンダー・ハミルトンは、この水力を産業に利用としようと考えました。ハミルトンと言えば、アメリカ合衆国建国の父の一人で、10ドル紙幣にも描かれている人。独立戦争後の1789年初代財務長官に就任した彼は、イギリスの製造業に依存することなく独立した強い経済をつくらなければならないと考えていたのです。

ハミルトンは1791年グレートフォールズ周辺を工業都市にする計画に着手。滝の水力を使った産業でパターソンは急成長を続け、繊維産業をはじめとする多くの工場が立ち並びました。中でも絹織物の一大産地となり、ニックネームは「絹の市」。
1832年には蒸気機関車の製造が始まり、リボルバー拳銃を普及させたサミュエル・コルトも滝のすぐ近くに工場を建て、武器の製造を行いました。

米産業を支えたグレートフォールズの歴史

写真:いしい ひい

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1914年頃まで、グレートフォールズはアメリカにおける産業革命の大切な役割を担ったのです。その歴史的価値により、2011年滝は国の史跡に指定され、「パターソン・グレートフォールズ国立歴史公園」として周辺の整備が進められています。
そして堂々たるアレクサンダー・ハミルトンの彫像が、滝を見晴らす場所に造られています。

グレートフォールズはここから見よう!

グレートフォールズはここから見よう!

写真:いしい ひい

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グレートフォールズ国立歴史公園の展望台からは、雄大な滝が流れるさまを見下ろすことができます。展望台から見て滝の左側には、かつての電力発電所の建物がそのまま残されています。
展望台から階段を下りていったところにある芝生からの眺めも、絵になります。映画のパターソン君は、この辺りで詩作をしていたと思われます。

グレートフォールズはここから見よう!

写真:いしい ひい

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迫力ある滝の流れを見るには、パセーイク川(Passaic River)にかかる橋を渡ってMary Ellen Kramer Parkまで歩いてみましょう。緑に囲まれたこの公園は市民の憩いの場所。ここからは、大量の水が集まって流れ落ちるさまをより間近に見ることができます。

滝が最も豪快な姿を見せるのは大雨のあと。水量を増した滝は、ひときわ勢いよく流れ落ちます。そして冬の寒い日には、真っ白に凍結することもあるそうです。
そんな神秘的な大自然の姿をじっと眺めていると、パターソン君のように詩を書いてみたくなるかもしれませんね!

ウエルカムセンターで町の歴史を知る

ウエルカムセンターで町の歴史を知る

写真:いしい ひい

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滝の展望台の前にあるウエルカムセンターにも是非立ち寄ってみてください。グレートフォールズのみならず、かつてニグロリーグという黒人の野球リーグ戦が行われていたことなど、パターソンの歴史に触れることができます。

現在のパターソンにかつての産業都市の面影はなく、滝の周辺には静かな市街地が広がっています。
映画「パターソン」もまた、この町の新たな歴史の1ページ。映画を見るときっと、グレートフォールズを訪れてみたくなるはず!

パターソンへの行き方

ニューヨークからパターソン・グレートフォールズ国立歴史公園へ公共交通機関で向かうには、直行便はありませんが、ジョージ・ワシントン・ブリッジ・バス・ターミナルから182番と712番のバスを乗り継ぐなど、約1時間半で行くことができます。
車があるならパターソンのランバート・キャッスルなども併せて訪れましょう。静かな高台から緑豊かなニュージャージー州の大地を見晴らすことができますよ。

掲載内容は執筆時点のものです。 2017/05/27 訪問

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