まるでシラサギ!愛媛のサギソウ大群落と古代城山の潮風ハイキング

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まるでシラサギ!愛媛のサギソウ大群落と古代城山の潮風ハイキング

まるでシラサギ!愛媛のサギソウ大群落と古代城山の潮風ハイキング

更新日:2017/08/04 13:47

春野 公比呂のプロフィール写真 春野 公比呂 学芸員資格

花の形が、シラサギが羽ばたく姿に酷似した8月に咲くサギソウは全国的にも貴重で、四国では徳島県の山奥の湿原が有名ですが、約80種の植物が自生する愛媛県今治市蛇越池の湿原部の群生地は主要国道沿いにあり、気軽に立ち寄ることができます。その南の西条市側には7世紀後期に築城された大規模な古代朝鮮式山城・永納山城跡や360度のパノラマ岩山・医王山があり、潮風を受けながら尾根道をハイキングすることができます。

今にも飛び立ちそうなサギソウ

今にも飛び立ちそうなサギソウ

写真:春野 公比呂

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西条市との境界沿いにある蛇越池は蛇池とも医王池とも言い、「休暇村・瀬戸内東予」の入口にあります。寛文2年(1662)、灌漑用溜池として完成し、元禄から昭和期にかけて改修されました。池の面積は約50haで、その東側の約50aが湿原化しており、サギソウやトキソウ等のラン科植物、ミミカキグサやモウセンゴケ等の食虫植物の他、キセルアザミやゴマクサ等多種の植物が自生しています。これだけ多種の湿地性植物が同一地に自生するのは植物学的にも珍しく貴重で、昭和25年には県の天然記念物に指定されました。

徳島県三好市の黒沢湿原のサギソウが一旦絶滅寸前までいき、それを培養して増やしたのに対し、こちらのサギソウはほぼ自然のままなので、蛇越池はもっと有名になってしかるべき。

今にも飛び立ちそうなサギソウ

写真:春野 公比呂

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池は有名観光地になってもおかしくないのですが、駐車場表示すらありません。池の北寄り、国道196号沿いの「蛇越池」バス停横に駐車スペースがある位。湿原の遊歩道入口は「休暇村入口」バス停から北に入った所。湿原内には複数の方向に木道が敷かれています。

今にも飛び立ちそうなサギソウ

写真:春野 公比呂

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まるで三羽の白鷺が会話しているかのようなサギソウ。花期は8月上旬から9月上旬ですが、お盆期間に訪れると間違いなく咲いています。約20cmの茎の先に直径約2cmの花をつけます。

サギソウ以外の花も忘れず

サギソウ以外の花も忘れず

写真:春野 公比呂

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6〜8月には遊歩道沿いの何ヶ所かに多年草のミソハギも咲きます。お盆に仏前に供えることから「盆花」という別称もあります。

サギソウ以外の花も忘れず

写真:春野 公比呂

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かなり多く見られる一年草のゴマクサ。花期は8〜9月。花は釣鐘型で先が五つに割れています。サギソウやムラサキミミカキグサと一緒に群生している場所もあります。

サギソウ以外の花も忘れず

写真:春野 公比呂

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湿地内の木道を歩き尽くすと、中央の遊歩道を直進して池北端の堤防へと進みますが、夏場はややヤブ化している箇所もあります。堤防からは池を一望できます。
堤防からは西のトイレへ出て、国道を少し南下し、三差路を右折して高速道下のトンネルを抜け、南東へ進む狭い道路を上がって行きます。

展望所だらけの永納山稜線

展望所だらけの永納山稜線

写真:春野 公比呂

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道路の終点は永納山(132.4m・地形図の独立標高点は128m)の北登山口になっています。古代朝鮮式山城とは唐・新羅連合軍の日本侵攻に備え、天智天皇が九州北部から瀬戸内海沿いにかけて築城を命じた山城のことで、唐・新羅に滅ぼされた百済官人の指導の元、築城されました。

朝鮮式山城の縄張は城壁によって区切られていますが、永納山を主峰とする馬蹄型尾根から医王山(130.1m・地形図の等高線高度は100m)にかけて約2.5kmの城壁が続いています。しかし視認できる城壁は一、二段ほどで、案内板が設置されているのは一ヶ所のみ。

展望所だらけの永納山稜線

写真:春野 公比呂

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中世の城跡のような堀切や竪堀、郭等は殆ど見られませんが、この城跡を訪れる意義は史跡鑑賞よりも「潮風ハイキング」にあります。尾根道はきれいに整備され、海に近いため、潮風がそよいでおり、夏場でも木陰にいるとあまり暑さを感じません。写真は永納山に向けての尾根道。

展望所だらけの永納山稜線

写真:春野 公比呂

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永納山山頂(写真)は言うに及ばず、各ピークは展望所となっており、西条市街地や休暇村周辺の山々、燧灘から瀬戸内海のパノラマが広がります。ただ、コースの道標は南登山口からの進路を示しているため、北登山口から登る場合は道標の矢印とは逆方向になります。

誰もが登りたくなるスーパー低山の岩山

誰もが登りたくなるスーパー低山の岩山

写真:春野 公比呂

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遊歩道が整備されているのは馬蹄型尾根の6割弱ほどで、JRの医王山トンネル東側で林道に下ります。林道はすぐ世田薬師前に出ますが、歩き足らなければ、薬師から好展望を誇る世田山(339m) と笠松山(357m)へ登ればいいでしょう。
それ以外の方は県道を北へと進みます。途中、峨峨たる岩山、医王山が聳え立っています。

誰もが登りたくなるスーパー低山の岩山

写真:春野 公比呂

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県道は蛇越池バス停へと向かっていますが、一般のハイカーの方はこれでハイキングを終えると物足らないはず。だから永納山を凌ぐ絶景を誇る医王山へ登ってみましょう。

医王山の登山道や古代城跡の城壁は未整備のため、登山口は不明瞭ですが、西条市と今治市との境界標識のやや手前から簡単に尾根に取付くことができます。後は一直線に尾根を登ればいいだけ。城壁はヤブに埋もれて確認できません。
山頂の岩場には森林管理署の図根点と旧東予市が設置した三角点があります。背後に見えるのは永納山。

誰もが登りたくなるスーパー低山の岩山

写真:春野 公比呂

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山頂一帯が岩場だけに視界を遮るものは何もありません。写真は蛇越池とその背後の遊歩道が整備された休暇村を取り巻く山、そして虎ヶ鼻西の82.6m峰。

シラサギは歴史の風にのって羽ばたく

蛇越池は自然植生で言えば四国一のサギソウ群生地。まるで湿原上をミニシラサギの大群が飛んでいるようです。まさにメルヘンの世界。本文で紹介した以外にも8月に開花するものとしては、ラン科のカキランやミズトンボ、サクラソウ科のヌマトラノオ、キク科のサワヒヨドリ、タデ科のミゾソバ等があります。湿原部は「伊予のミニ尾瀬」と言えるでしょう。

古代朝鮮式山城跡は四国では永納山を含めて三ヶ所確認されていますが、他の二ヶ所は香川県。その二ヶ所の内、ある程度全容が分かっているのは一ヶ所ですから、そういう意味でも永納山城跡は貴重。
城壁の案内板が設置されているのは一ヶ所だけですが、コース沿いを丹念に注視していくと何ヶ所か石積みを確認することができます。

大和朝廷が大国・唐と新羅と戦をすべく各地に城塞を築いていたという歴史や、古代の遺構が現存していることにはある種のロマンを感じます。因みに西日本最大級の古代朝鮮式山城跡は岡山県の鬼ノ城。
尾根を吹く潮風に歴史を感じながら展望ハイキングをお楽しみ下さい。

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/06/26−2016/08/16 訪問

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