写真:浅井 みら野
地図を見るフランクフルトの南エリア、15もの博物館、美術館が建ち並ぶ博物館通り(ムゼウムズーファー/Museumsufer)の始まりに「シュテーデル美術館」があります。1815年にオープンした、ドイツ国内で一番歴史が長い美術館です。
写真:浅井 みら野
地図を見る銀行家シュテーデル氏のコレクション展示が、美術館のはじまり。現在は絵画3,000点、彫像600点、写真4,000点、素描・版画100,000点という桁違いの作品数を所蔵しています。展示されている絵画は、そのうちのわずか600点。それでもじっくり鑑賞するなら1日では物足りないほどです。
美術館は地下1階、地上3階建て。1階には受付、ミュージアムショップ、クロークとカフェがあります。おすすめなのが、ミュージアムショップに隣接しているカフェ。贅沢な広さに落ち着いた色合いのインテリアが並び、居心地の良い雰囲気が感じられます。立ちっぱなしが多い美術館なので、鑑賞前のエネルギー補給、鑑賞後のひと休みにぴったりです。
写真:浅井 みら野
地図を見る2階は19世紀から20世紀前半までの作品が並ぶ、モダンアートのエリア。階段をのぼった先には、ティッシュバイン作“カンパーニャのゲーテ(Goethe in der Campagna)” が出迎えてくれます。
ゲーテはフランクフルト出身の文豪。街には彼の彫像や博物館があるほどフランクフルトにとっては欠かせない存在です。たびたびゲーテと共に旅行をしたティッシュバインだからこそ、彼の素朴さや自然な表情が描かれています。
印象派の作品がまとめて並べられているため、こちらのお部屋はより華やいだ雰囲気に。
ルノアール作“朝食の終わり(After the Luncheon)”、ドガ作“オーケストラ席の音楽家(Orchestermusiker)”などの名画があります。絵画だけでなく、その部屋に合った彫刻も設置されているという、面白い展示方法です。
写真:浅井 みら野
地図を見るつかの間の雨があがり、遠くで太陽の光が柔らかく草原を照らす…。19世紀に活躍したフランス人画家アントワーヌ・シャントルイユ(Antoine Chintreuil)の“レインシャワー(L’Ondée )”は、雨降り後のみずみずしさがこちらまで伝わってきそうです。ヨーロッパの風景画も2階に展示されています。
写真:浅井 みら野
地図を見るマックス ベックマン(Max Beckmann)という画家をご存知でしょうか。1884年ライプチヒに生まれ、1925年フランクフルトに美術学校の教授として訪れます。表現主義を代表する有名画家になりますが、ヒトラーがモダンアートを好まなかったため作品が没収されてしまう運命に。その後はドイツを離れ、オランダやアメリカへ渡り住みます。
シュテーデル美術館には時代に翻弄された画家の功績を忘れないよう、“フランクフルトのシナゴーグ(Die Synagoge in Frankfurt am Main)”などの関連作品を集めた彼だけの部屋があるんですよ。
写真:浅井 みら野
地図を見るこちらもベックマン作“フランクフルト中央駅(Frankfurter Hauptbahnhof)”。中央駅の建物は現在も健在なので、ベックマンが見た当時の景色と今の景色を見比べてみるのも面白そうですね。“フランクフルトのシナゴーグ”同様、さり気なくお座りしている猫が可愛らしいです。
写真:浅井 みら野
地図を見る3階は、14世紀から18世紀までのオールド・マスターが並ぶエリア。この階は、歴史ある作品の魅力を最大限に引き出そうとする美術館側の演出にもご注目です。各部屋の壁の色が、紺や黄緑、青など飾られる作品を考慮して配色されているのです。
写真:浅井 みら野
地図を見るボッティチェリ作の「女性理想像(Weibliches Idealbildnis)」。引き込まれるような清楚な女性像ですが、実際のモデルがフィレンツェで一番の美女だったということに納得です。ワインレッドの落ち着いた色合いの壁が彼女の表情をより生き生きと見せています。
写真:浅井 みら野
地図を見るこちらの美術館に訪れた際に見逃せない作品がもう一つ。フェルメール作「地理学者(Der Geograf)」は、数少ない彼の作品の貴重な一枚。今にも向こうで動き出そうな地理学者のガウンは日本の着物とも言われ、ブルーグレーの壁と綺麗に調和していますね。
写真:浅井 みら野
地図を見る地上階が14世紀から20世紀前半の美術史を辿る流れなら、地下は未来の始まりを予期させる場所です。地下1階は20世紀後半から現代までのコンテンポラリーアートのエリア。入って最初に目に引かれるのが、カラフルに彩られたアンディ・ウォーホル作「ヨハン ヴォルフガング フォン ゲーテ(Johann Wolfgang Von Goethe)」。この頃になるとシルクスクリーンという新た素材が芸術に登場してくるのも特徴です。
写真:浅井 みら野
地図を見る他の階と比べ、絵画以外の彫像や様々なアートが展示され、探検家のように作品を発見しながらまわります。天井には無数の穴があき、より近未来の雰囲気が感じられますよ。
写真:浅井 みら野
地図を見る実は美術館の中庭から、先ほどの無数の穴を上から見渡せます。美術館の脇道が中庭へ繋がっており、こちらは無料で入場可能。ベンチもありますので、この非日常な景色を存分に堪能してみてはいかがでしょうか。
数々の名画を保有する「シュテーデル美術館」。700年にわたり、それぞれの時代を代表する作品に出会える贅沢な体験ができます。本命の作品と感動の対面をしたり、知らなかった作品に目移りしてみたりと、美術館ならではの楽しみを満喫してください。ただ、美術館によっては他の場所に貸出中のものもありますので、絶対見たい作品は事前にホームページで確認されることをおすすめします。
1階のミュージアムショップは、シュテーデル美術館以外の芸術書やオシャレな雑貨などが販売されています。おみやげにぴったりな掘り出し物が見つかったりしますので、ぜひ訪れた際は、立ち寄ってみてくださいね。
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この記事を書いたナビゲーター
浅井 みら野
イタリア生まれ、ドイツ育ちの日本人です。まだまだ知られていないけど、魅力的な土地を世界、国内問わず紹介しています。ヨーロッパ、アメリカ方面が多いですが、呼ばれればどこへでも。冬はゲレンデに出没すること…
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