ギネスが認めた大スケール!埼玉県行田市の田んぼアート

ギネスが認めた大スケール!埼玉県行田市の田んぼアート

更新日:2017/08/29 10:45

やた 香歩里のプロフィール写真 やた 香歩里 鈍足の旅人、地域の魅力発掘人、花火鑑賞士
「田んぼアート」とは、田んぼをキャンバスに見立て、種類の違う稲を植えることでそこに模様を描き出すアート。近年は各地で作成されているので、耳にされた方、実際にご覧になられた方も多いと思います。各地個性的なアートを見せてくれますが、埼玉県行田(ぎょうだ)市の田んぼアートは、世界最大の田んぼアートとしてギネスにも公認されています。展望台から眺められるその壮大なスケールのアートをご紹介します。

古墳・忍城・古代蓮の行田の新たな名所

古墳・忍城・古代蓮の行田の新たな名所

写真:やた 香歩里

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行田市は、埼玉県の北部の中央寄りに位置しています。稲荷山古墳をはじめとする埼玉(さきたま)古墳群があり、ここが埼玉県の地名の由来になったといわれています。他にも、映画『のぼうの城』で一躍有名になった「忍城(おしじょう)」や、約12万株の蓮を育てる「古代蓮の里」など、いくつもの魅力的な観光スポットがあります。

そしてこの10年で新たに行田市の魅力として加わったのが、スケールの大きな「田んぼアート」。

古墳・忍城・古代蓮の行田の新たな名所

写真:やた 香歩里

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田んぼアートは、古代蓮の里内にある古代蓮会館の展望室から見ることができます。この展望室は地上50mにあり、360度の展望を楽しめます。古代蓮の里を眺められるのはもちろんのこと、さえぎるもののない関東平野に位置するため、天候によっては遠く東京スカイツリーや東京タワーを見ることもできるのです。

2008年から始まった田んぼアートは年々進化を遂げて

2008年から始まった田んぼアートは年々進化を遂げて

提供元:行田市役所

https://www.city.gyoda.lg.jp/

2008年、最初の年の田んぼアートは、行田市のシンボルである古代蓮を描いたもの。田んぼの1区画を利用した、幅50mにも満たない小ぶりなものでした。

大きな変化が訪れたのは、行田市の忍城を舞台とした小説で映画化もされた、和田竜氏作『のぼうの城』をモチーフにした2010年から。人の顔や城などの複雑な図柄を描く挑戦が始まり、その後は2012年まで、毎年進化を続けながら、『のぼうの城』モチーフの田んぼアートが続きました。

2008年から始まった田んぼアートは年々進化を遂げて

提供元:行田市役所

https://www.city.gyoda.lg.jp/

上の写真は2014年の図柄「古(いにしえ)の行田」です。2008年のシンプルな図柄を考えると、驚きの進化ですね。この進化の原動力には、「ギネス世界記録への挑戦」がありました。

年々図柄を進化させていくなか、そのスケールの大きさをギネスに認定してもらおうという動きが高まり、2011年より、ギネス認定を目指した田んぼアートづくりが始まったのです。

しかし、2012年は基準未達の判断で申請見送り、2013年は審査は受けられたものの、一部未完成とのことで、承認されず。2014年には、過去最高の8品種を使ってここまで壮大な田んぼアートを完成させたものの、残念ながら、一部に地面が見えるなど基準に達しないとの判断で、挑戦が見送られました。

2008年から始まった田んぼアートは年々進化を遂げて

提供元:行田市役所

https://www.city.gyoda.lg.jp/

そして2015年。「未来へつなぐ古(いにしえ)の軌跡」と題した、古代蓮や子供たち、宇宙から見た地球、そしてはやぶさ2までもを取り入れた複雑な図柄の田んぼアートを完成させ、ついに、世界最大の田んぼアートとして、ギネス世界記録の認定を受けることができました。

また、2016年にはドラゴンクエスト30周年とのコラボ企画として、第一作目のパッケージ図柄を田んぼに描き出し、その見事な再現がSNSでも話題となりました。

成長とともに変化する、田んぼアートは生きた芸術

成長とともに変化する、田んぼアートは生きた芸術

提供元:行田市役所

https://www.city.gyoda.lg.jp/

この田んぼアートは毎年、参加者を公募して田植えを行います。2017年には2日間でのべ約900人もの人が参加しました。すっかり地元の行事として定着したこの田んぼアートの田植え行事には、市内の中高生の学生ボランティアや、市外からの希望者も参加しています。

微細な図柄を描く田んぼアートは、もちろん、単純に稲を植えるだけでは作ることができません。多くの面積を占める緑の部分に使われている「彩のかがやき」は埼玉県で生まれた品種。白い部分には「ゆきあそび」。オレンジには「あかねあそび」、黒には「むらさき905」と、2017年の図柄では、計9種類もの稲を使い分けているのです。

成長とともに変化する、田んぼアートは生きた芸術

写真:やた 香歩里

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そうやって大勢で力を合わせて作る田んぼアート、2017年もしっかり稲が育ち、素晴らしいアートが田んぼに浮かび上がりました。

2017年のテーマは「イナダヒメノミコトとスサノオノミコト」。力強いスサノオと、美しいイナダヒメが見事に浮かび上がっていますね。稲や行田蓮、10周年を示すマークもしっかり見て取ることができます。

田んぼアートの面白いところは、植え始めてから刈り取るまで、変化し続けるところです。8月半ばには稲のそれぞれの色が際立っていき、秋に入ると少しずつ黄色味を帯びていきます。10月中旬には、背景部分の緑の「彩のかがやき」が刈り取られ、立体的なアートが登場することになります。そして11月下旬、全ての稲を刈り取り、約4か月の間楽しませてくれた田んぼアートは終了となります。

古代蓮会館で美しい蓮の世界を堪能しよう

古代蓮会館で美しい蓮の世界を堪能しよう

写真:やた 香歩里

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古代蓮会館の楽しみは、もちろん田んぼアートだけではありません。1階の展示室では、行田市の自然環境や蓮に関する展示を見ることができます。上の写真のように、地上の蓮の花や葉の様子、地下の根(いわゆる蓮根ですね)を再現したレプリカなど、立体的な展示もたくさん。

古代蓮会館で美しい蓮の世界を堪能しよう

写真:やた 香歩里

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42種類12万株の蓮を有しており、長い期間蓮の花を楽しめる古代蓮の里ですが、それでもやはり蓮の開花時期はおおむね6月下旬〜8月上旬まで。ですが、この古代蓮会館では、様々な蓮のレプリカが展示されており、季節を問わずその美しい姿を楽しむことができます。また、「古代蓮ふれあいシアター」では、120インチ3画面の大きなスクリーンで蓮の映像が上映されます。

7月末からが見ごろになる田んぼアートとは微妙に時期がずれてしまうのですが、蓮が終わってしまった後は、展示室やシアターで蓮の知識を深めておけば、次の年にじっくり蓮の花を楽しむための予習になります。きっと来年の蓮の開花が待ち遠しくなりますよ。

古代蓮会館で美しい蓮の世界を堪能しよう

写真:やた 香歩里

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古代蓮会館1階には、このような明るい休憩室もあります。食品の販売はありませんが、持ち込みもOKですし、ドリンクの自動販売機もあります。近くには売店もあるので、行田名物ゼリーフライをここで食べるのもいいですね。

夏から秋へ、変化も楽しめる「生きた芸術」田んぼアート

田んぼアートを見ていると、植物で図柄を描くという緻密な作業に驚くとともに、田植えの大変さや、稲を育てる苦労を思わずにはいられません。人が丁寧に設計し、力を合わせて植えた稲は、その思いに応えるように、成長して、日々新しい姿を見せてくれます。

上にあげた2017年の田んぼアートの写真は、7月下旬に撮影したものです。これが8月、9月、10月とどう変化していくか…ぜひあなたの目で確かめてみてください!

掲載内容は執筆時点のものです。 2017/07/28 訪問

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