写真:井伊 たびを
地図を見る東京都文京区湯島にある神社は?と問えば、たいていの人が、”超”有名な「湯島天満宮」と答えるだろう。しかし、その「湯島天満宮」から南西方向に、僅か5分歩くと特別な御利益がある「妻恋神社(つまこいじんじゃ)」があることは、あまり知られていない。
「夫婦神」が祀られていることから、”夫婦愛を深めるパワースポット”として人気があり、”縁結びのお守り”を求めて訪れる人が多数。仲のいいご夫婦はもちろんのこと、そろそろ黄色信号が点滅し始めたご夫婦や、もう少し夫や妻に”愛情”がほしいと、お連れ合いには内緒で訪れる”おひとりさま”にもお勧めです。そんな“ご夫婦”のための神社だ。
写真:井伊 たびを
地図を見るこちらの御祭神は、倉稲魂命(うかのみたまのみこと)・日本武尊(やまとたけるのみこと)・弟橘媛命(おとたちばなひめのみこと)の三柱だ。
倉稲魂命は、稲の神様(女神)であり、「うか」は、古語で「穀物」や「食物」の意味がある。日本武尊は、第12代景行天皇の第二皇子で、第14代仲哀天皇の父にあたる。神格は、「武神」、「軍神」、「国土神(農業神)」である。そして、弟橘媛命は、その日本武尊の御妃である。
写真:井伊 たびを
地図を見る「妻恋神社」の創建年は、諸説あり不明だが、起源については、おおかた似通った言い伝えがある。その昔、日本武尊が東国征伐のため走水の海(現在の三浦半島から房総半島の間)を航行しているとき、激しい暴風雨に遭遇した。これを海神の怒りであるとした弟橘媛が、自ら人身御供として海にわが身を投じ、その暴風雨を鎮めたそうだ。
日本武尊が「あづまはや(ああ、吾が妻よ)」と、弟橘媛を悲しみ偲んだことを知ったこの地の村民が、一行の野営地となったこの地に、日本武尊と弟橘媛の「夫婦神」を祀った。これが「妻恋神社」の始まりだと伝えられている。
また「五穀豊穣」の神さまである倉稲魂命を合祀しているのは、湯島が早くから稲作を作っていたからだとされている。
写真:井伊 たびを
地図を見る「妻恋神社」はかなり小さな神社だが、由緒は正しい神社。それは「稲荷の関東惣社」と伝えられること、神代創建ともされる「稲荷社」であることからもわかる。なお、元の社殿は第二次世界大戦の空襲で焼失し、こちらの社殿は戦後に木造で再建されたものだ。
写真:井伊 たびを
地図を見る「縁結びのお守り」が人気だが、近年「吉夢(よいゆめ)」も万人に求められている。初夢(その年に初めて見る夢)で、その年の吉凶を占うという古来からの風習があるが、「吉夢(よいゆめ)」とは、枕の下に敷いて縁起の良い夢を見ようという縁起物のひとつだ。
「吉夢(よいゆめ)」は、復興祈願の気運により、平成25年(2013年)に奉納された”日本画”を元に制作された「宝船」のおめでたい絵柄である。
写真:井伊 たびを
地図を見る「妻恋神社」は江戸時代には、「妻恋稲荷」と呼ばれて有名となり、「王子稲荷」と並んで多くの参詣者を集めた。
写真:井伊 たびを
地図を見る境内には、本殿左脇に「水子地蔵」が安置されている。お寺さんでもないのに、敢えてここに観音様や地蔵様が遷されているのは興味深い。でも神様でも仏様でも、お祈りするのは心の問題であろう。場所はあまり関係ないようにも…。
写真:井伊 たびを
地図を見る「妻恋神社」へ参詣するなら、緩やかな「妻恋坂」を、ゆっくりと時間をかけて、上って行きたいものだ。その坂は、蔵前橋通りと国道452号線との交点に位置する「妻恋坂交差点」から、蔵前橋通りを背にして歩くと、すぐ左手に現れる上り坂だ。
写真:井伊 たびを
地図を見る「妻恋坂」を坂下から歩いていくと、右手の路地を数えて5つめに、階段を備えた上り坂を見つける。こちらは、名前に「つま先を立てて上るほどの急坂」との意味が込められた立爪(たてづめ)坂だ。ここまで来れば、「妻恋神社」は、もうすぐ!
写真:井伊 たびを
地図を見る「妻恋坂」は江戸時代初期には、「大超(だいちょう)坂」と呼ばれていた。当時、坂の南側にあった霊山寺を開山した高僧、大超和尚の名前にちなんだものだ。
しかし、霊山寺は明暦3年(1657年)の大火に遭い浅草へ移転。その後、万治3年(1660年)に、旧湯島天神町から坂の上に、「妻恋神社(当時は妻恋稲荷)」が遷座されたため、その以降は「妻恋坂」と呼ばれるようになった。
「妻恋神社」へのアクセスは抜群だ!最寄りの駅がたくさんある。そんな中でも、JR中央線・東京メトロ丸ノ内線「御茶ノ水」駅より、訪れるのが徒歩8分でベストだ。
結婚記念日に互いの愛を確かめ合うご夫婦に、告白間近なカップルの「プロポーズ記念の場所」に、カップルの喧嘩の仲直りのきっかけに、訪れてみることをお勧めできる神社だ。
さあ〜!あなたは”どなた”と、訪れますか?あるいは、密かに愛するあの人が運命の人となる!”ご結婚”を願って、”おひとりさま”で参られますか?いづれにしても「妻恋坂」を、ゆっくりと上ってお参りください。
社名から連想され”夫婦”や”恋愛”にだけ纏わる神社とされがちだが、もちろん「出世開運」「商売繁盛」などの御神徳もある。
この記事を書いたナビゲーター
井伊 たびを
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