写真:麦吉 ぼに
地図を見る島根県、出雲大社。平安時代の貴族の教科書『口遊』には、「雲太、和二、京三。謂大屋根」という一文があります。出雲が一番、奈良が二番、京都が三番、これが日本の三大建築だというのです。
出雲はもちろん出雲大社。ちなみに奈良は東大寺大仏殿、京都は御所の大極殿を指しています。『口遊』にいう「大屋根」は建物の高さのことで昔の社殿はもっと高かったとか、いや「大屋根」は荘厳さの形容だとか研究者の意見も分かれていますが。
史実はともあれ、出雲大社の境内へ足を踏み入れると、特別の空気が流れている気がして、ここが神々の集まる場所だということがストンと胸に落ちる気がします。
写真:麦吉 ぼに
地図を見る出雲大社の境内から西へ門を出て神楽殿を通り抜け、お宮通りを南へ歩くと出雲蕎麦の名店「八雲」があります。写真の通り風情のあるたたずまい。甘めのつゆをぶっかけにしていただく三段割子蕎麦が美味しいお店ですので、散歩の前にここで腹ごしらえをしてから歩くのも良いかもしれません。
「八雲」の角を西へ折れたら、そこが「出雲阿国の道」です。
写真:麦吉 ぼに
地図を見る出雲大社から稲佐の浜に至る国道431号線は、「神迎えの道」とも呼ばれています。旧暦10月「神在月」になると全国から八百万の神々が稲佐の浜へお着きになるのですから、当然神々はこのルートで出雲大社へお越しになる訳です。
もちろんそこは神様ですから空など飛んで来られるのでしょうが、人たる者はテクテクと歩くことにしましょう。
写真:麦吉 ぼに
地図を見るお宮通りから西へ500mほど歩いた所に出雲阿国の墓があります。歌舞伎の始祖といわれる(諸説アリ)阿国の晩年は謎ですが、出雲へ戻って尼になったと地元には伝わっています。墓は丘の上にあるので、写真の石燈籠の横から階段を上って行きます。
写真:麦吉 ぼに
地図を見るこんもりと小さな丘の上に出雲阿国の墓は建っています。周囲には一般の方々のお墓もあるので、お墓参りは静かにしたいものです。
写真:麦吉 ぼに
地図を見る正面から見た出雲阿国の墓。墓石はなく、目印のように石が置かれています。墓の周囲には、出雲阿国の墓へ参った往年の大女優の石碑や、ミュージカル阿国の記念碑などもあります。出雲阿国の墓は、芸能の道をいく人にとって大事な聖地になっているのです。
写真:麦吉 ぼに
地図を見る阿国の墓から稲佐の浜まで、国道431号線「出雲阿国の道」を約700mほど歩きます。海へ向かう道らしく、道は平坦で歩きにくさはありません。突き当れば、そこが稲佐の浜。ガードレールの向こうに弁天島が見えます。
写真:麦吉 ぼに
地図を見る稲佐の浜を歩くと、砂浜が本当に美しいのに感動するでしょう。出雲の人々は、神々がやってくるこの浜をとても大事に守っているのだと感じられます。この浜を歩く者は心して、紙切れ1つ糸くず1本も落とさないように!神々の玄関ですから、ゴミを捨てたら間違いなくバチがあたります。
写真:麦吉 ぼに
地図を見る稲佐の浜でひときわ目を引く「弁天島」。かつては弁財天が祀られていたそうですが、神仏分離した明治以降は「豊玉毘古命(とよたまひこのみこと)」が祀られる社になっています。
グーグルマップで見る弁天島は、稲佐の浜の沖にある島として記載されています(2017年9月現在)。でも写真の通り陸続き、近年急激に浜が広がったのだそうです。
写真:麦吉 ぼに
地図を見る海岸の南側、稲佐の浜から出雲市長浜にかけて弓状に広がる海岸線は、出雲に伝わる「国引き」の神話の舞台。長く延びる砂浜は、八束水臣津野命(やつかみづおみつぬのみこと)が他国の土地を引っ張る際に使った綱というわけです。この神話にちなんで出雲市長浜神社では、毎年10月にジャンボ綱引大会をしています。
提供元:出雲観光協会
https://www.izumo-kankou.gr.jp/稲佐の浜は、日本の渚百選に選ばれた名勝。夕暮れともなれば美しい夕焼けが見られます。出雲大社で時を過ごし、夕暮れ時を狙って稲佐の浜を訪れて夕焼けを見るのも素敵な思い出になるでしょう。
旅行はどうしても時間が惜しいので、効率的にスポットをまわってしまいますが、歩くからこそ見える景色や感じられる風もあるものです。
出雲大社から稲佐の浜までの「出雲阿国の道」は、八百万の神々と信仰する人の想いが行き来する神迎えの道です。出雲を旅する時は、「出雲阿国の道」を歩いてみませんか?
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(2024/4/19更新)
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