福井県坂井市「千古の家」で懐かしい古民家の原風景を!

福井県坂井市「千古の家」で懐かしい古民家の原風景を!

更新日:2017/09/28 13:32

Ise Shinkurouのプロフィール写真 Ise Shinkurou
四季折々の自然に溶け込み、さらには数百年の時の流れをも感じさせてくれる茅葺き屋根の古民家。今回ご紹介する「千古の家」は、坂井市丸岡にある山村の片隅から、七百年もの悠久の時の流れを見つめてきたまさに歴史の証人のような古民家。そして今もなお息をのむような存在感でこの地にある、素晴らしい古民家をご紹介します。

自然に溶け込んでいる古民家

自然に溶け込んでいる古民家

写真:Ise Shinkurou

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千古の家の所有者「坪川家」は、平安時代に上皇の護衛を務めた北面の武士・源三位頼政が祖先であると伝わります。今から約700年前にこの地に定住し、集落を司る名士として、中心的な役割を果たしてきた家柄でもあります。

「千古の家」の建築年代を示す資料は見つかっていないのですが、格式の高い民家でありながら書院造りの座敷が欠けている事、股柱が三本使用されている事などから、中世末期に建てられたと考えられています。

中世末期の民家が現存するのは全国的にも珍しく「国指定重要文化財」に認定されています。そして坪川氏庭園とともに多くの古民家ファンを魅了してきました。

自然に溶け込んでいる古民家

写真:Ise Shinkurou

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茅葺き古民家の魅力は季節によって違う表情を見せてくれる事。まるで自然の一部であるかのように、四季の移ろいに溶け込んでいます。さらには長い年月風雨・豪雪にさらされ、その歴史の重みさえ感じられます。

訪れる人々を魅了し、心を癒やしてくれる、自然と一体となった人工物。古民家は本当に不思議なパワーを持つと思われませんか。

自然に溶け込んでいる古民家

写真:Ise Shinkurou

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茅葺き屋根の前後には「角屋(つのや)」と呼ばれる三角窓が二カ所あります。正面だけでなく裏屋根もじっくりと眺めてくださいね。

特にお勧めの景観は、換気や囲炉裏の煙を抜くための「破風」。流れるような美しい曲線を持ち、その厚みからは長い年月に耐えてきた迫力さえ感じる事が出来ます。

屋内に流れる静寂で澄み切った空気

屋内に流れる静寂で澄み切った空気

写真:Ise Shinkurou

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では屋敷の内部をご紹介しますね。土間に一歩足を踏み入れ最初に感じるのは、この家の年月の重みが醸し出す静けさ。まるで屋敷に包み込まれるような静けさなのです。是非体感していただきたい「千古の家」の魅力の一つです。

江戸時代初期の民家は土間と板張りが二間であるのが一般的。ですがここでは「仏壇の間」「なかのま」「なんど(屋内の物置部屋)」と畳の間が三室あります。これもこの時代の民家としては珍しく貴重だと言われる所以です。

屋内に流れる静寂で澄み切った空気

写真:Ise Shinkurou

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土間といろりの間の境にある太い柱は栗の木。よく見ると何と当時の斧の跡が!黒光りするほど煤けた柱はこの民家が歩んできた時代を感じさせてくれます。

こちらでは太い股柱を観察できますので、是非じっくりと味わってくださいね。

屋内に流れる静寂で澄み切った空気

写真:Ise Shinkurou

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正面から入ると右手、厩の隣に「にわ」と呼ばれる土間があります。古民家では良く目にする一般の台所ですが、こちらの仕組みは少し変わっています。

裏山にある水車小屋から谷水を引き込み、石をくりぬいた水槽に水がたまるように工夫されています。興味深い仕組みですのでこちらもじっくりご覧下さいね。

庭のテーマ「祈り」

庭のテーマ「祈り」

写真:Ise Shinkurou

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江戸初期の様子を色濃く残す「坪川氏庭園」は国登録記念物に指定されています。裏山からの水の流れを上手く利用した水車小屋、さらには庭全体に流れ込む水の音は、山里の静寂の中に快く響きます。

またこの頃の民家の庭は宗教的思想を表現する「祈りの場」。仏を中心とした「三尊」・仙人が住んでいたとされる「蓬莱」・「阿弥陀山」等の精神性の高い石組みを配置するいわゆる「心の庭」でした。

季節の彩りを目で楽しみ、ゆっくりと散策しながら、季節の香りをも楽しんでくださいね。日々の喧噪を忘れさせてくれる素敵な心の庭です。

庭のテーマ「祈り」

写真:Ise Shinkurou

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坪川氏庭園に見られるように、自然を崇拝し、共生してきた古代人の思想は、この山深く冬の厳しい地域だからこそ受け継がれてきたのでしょう。

「癒やしと祈り」を感じる素晴らしい散策。お勧めのパワースポットです。

また敷地内にある土蔵が一般公開されています。屏風・刀剣・打ち掛けなど「坪川氏」の足跡を探ることが出来る興味深い展示品ですので是非立ち寄って下さいね。

古民家で味わう「郷土料理」

古民家で味わう「郷土料理」

写真:Ise Shinkurou

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また予約制ですが「千古Cafe」で山菜料理などを食べることが出来ます。さらに希望すれば古民家内・囲炉裏端で食事を!国指定文化財の中で食べる郷土料理はまた格別のお味です。

古民家で味わう「郷土料理」

写真:Ise Shinkurou

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千古Cafeの「十割蕎麦」は、この地域ならではのそば粉で打った本格的な蕎麦。しかも辛めの味のダイコンおろしで頂く越前風の食べ方です。

コーヒー・お抹茶なども飲め、カップ・器もとても素敵。味だけでなく目でも楽しめる郷土料理ですね。

今回ご紹介した「千古の家」は秋の準備を始める前の晩夏の風情。春夏秋冬いつ訪れても、自然に溶け込んだ素敵な茅葺き屋根を見せてくれます。

真っ赤に紅葉する木々に囲まれた茅葺き屋根、純白の冠をかぶった冬の茅葺き屋根。四季の魅力を感じる素敵な旅を楽しんでいただけます。

千古の家の基本情報

住所:福井県坂井市丸岡町上竹田30-11
電話番号:0776-67-2111
アクセス:北陸自動車道丸岡ICから永平寺方面、さらに国道364号線から山中方面へ約25分・公共機関利用の場合、JR福井駅から京福バス「本丸岡」行き終点で下車後、丸岡バスに乗り換え「竹田」行き終点より徒歩1分(乗り換え時間を含まずに約50分)

2017年9月現在の情報となります。変更となる場合がありますので、公式サイトなどで最新情報を必ずご確認ください。

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掲載内容は執筆時点のものです。 2017/08/19 訪問

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