1611年(慶長16年)には完成したとされる島根県松江市にある「松江城」。1935年(昭和10年)に「松江城」の“天守”が国宝に指定され、1950年(昭和25年)に文化財保護法の制定により重要文化財と改称。その後、2015年(平成27年)に、国宝に再指定されました。
JR山陰本線の松江駅から、レイクラインバスで約10分、バス停“国宝松江城(大手前)”で下車して直ぐの立地。また一畑電鉄の松江しんじ湖温泉駅から北循環線内回りで約5分、バス停“県庁前”で下車して徒歩で約5分です。
“天守”のある本丸から南へ順に、二の丸、お堀を越えて、三の丸と配置。現在では、三の丸の場所に、島根県庁が建っています。
当初、政治の中心は本丸でしたが、時代を経るに従い、二の丸、三の丸と移り、その名残を現在も感じられます。
現在の愛知県・尾張国に生まれた堀尾吉晴(ほりお よしはる、1543年〜1611年)は、息子の忠氏(ただうじ、1577年〜1604年)の関ヶ原の戦いの武功により、出雲を与えられ、親子でこの地に移りました。
しかし、忠氏が急逝し、息子の長男、自分にとっては孫となる忠晴(ただはる、1599年〜1633年)を補佐しながら、「松江城」の築城と城下の造成に着手します。
「松江城」の大手木戸門跡と大手前駐車場の間には、その功績を称えて、堀尾吉晴の像が建立されています。
大手木戸門跡から入り、右手に進むと“観光案内所”、さらに奥には休憩にピッタリの“ちどり茶屋”があります。“観光案内所”では、手荷物の無料預かりや松江城ガイドの他、宿泊案内もあるので、ぜひ利用してみて下さい。
石段を登っていくと、徐々に「松江城」の“天守”が近づいてきます。ナンジャモンジャとも呼ばれるヒトツバタゴやクスノキ、モミジ、ツバキ、クロガネモチなどの木々が溢れ、四季折々の表情を味わえるのもポイントのひとつです。周りの景観を楽しみながら、“天守”へと向かってみましょう。
こちらが、国宝に指定された「松江城」の“天守”。「松江城」をガイドしてくれる“ちどり娘”、演武や案内など様々な活動をしている“まつえ若武者隊”といった皆さんが観光に訪れた人々を、楽しくお迎えしてくれることも。
各種のイベントや案内などは、下部関連MEMOにある公式サイトへのリンクよりご確認下さい。
※写真はイベント開催時
「松江城」の“天守”の内部は、地下1階を入れて、6つのフロアに分かれます。地下の部分には、深さ約24メートルの井戸があり、これは現存12天守でも唯一のもの。その他に、建物の完成を祝う“祈祷札”も再現されています。
これまで「松江城」の築城時期は“1611年”とされていましたが、2012年(平成25年)に2枚の“祈祷札”が見つかり、その文字の記載から“1611年の正月以前”に完成していたことが確実となりました。
さらには、迫り来る敵に対する様々な仕掛けも。鉄砲で攻撃するための“鉄砲狭間(ざま)”、石や排泄物を敵に目掛けて落とす、“石落とし”など、見所が満載。
階段部分は、丈夫で軽い木材・桐(きり)のもので、取り外しが可能。また水平の引き戸も設置され、階下とを隔てることも出来ます。敵の侵入や籠城対策のためのアイデアが各所に見受けられます。
その他、松江藩の主な出来事を描いた20枚の壁画や鎧、刀、軍配などの他に様々な展示も行なわれています。
そして、こちらの手前にあるのが、“天守”を支える柱。“天守”には総数308本があり、その内、130本には、板を張り、鎹(かすがい)や鉄輪で補強されています。これは“包板(つつみいた)”と呼ばれ、「松江城」に見られる独特の補強方法。
補強と共に、木材の割れなどを隠し、見栄えといった体裁を整える目的もあると考えられています。
こちらが、「松江城」の“天守”の最上階。ここから松江の町並みを存分に楽しむことが出来ます。
こちらは南側の景色。正面には、宍道湖(しんじこ)や嫁ヶ島も見渡せます。
各方角の上部には、写真と共に各スポットの紹介もあるので、照らし合わせて景観を楽しめるのもオススメのポイントです。
「松江城」の築城と一緒に造成されていった松江の城下町。「松江城」の周りの堀は、防御と水運のためにつくられましたが、町全体の排水や土地の乾燥も目的としていました。
そのような歴史的背景なども含めて、“天守”からの眺望を堪能してみてはいかがでしょうか。
明治の時代には、全国で多くの城が取り壊される中、地元の人々の協力により、現在もその姿を残す島根県にある「松江城」。
今回、ご紹介した以外にも、ハートの絵馬の“松江神社”や擬洋風建築の“興雲閣”などもあるので、併せて巡ってみるのもオススメです。その他、お得な各種の共通券もあるので、そちらもチェックしてみて下さい。
以上、約400年の歴史を誇り、国宝に指定された“天守”を有する「松江城」のご紹介でした。
【撮影協力】
堀尾忠氏公
島根県観光連盟:石田浩子様
まつえ若武者隊:隊長・本間亀二郎様
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