世界一有名な縄文がここに!「南アルプス市ふるさと文化伝承館」

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世界一有名な縄文がここに!「南アルプス市ふるさと文化伝承館」

世界一有名な縄文がここに!「南アルプス市ふるさと文化伝承館」

更新日:2017/09/22 11:07

松縄 正彦のプロフィール写真 松縄 正彦 ビジネスコンサルタント、眼・視覚・色ブロガー、歴史旅ブロガー

縄文文化を代表する世界で最も有名な出土品は何でしょうか?火焔土器、あるいは遮光器土偶などを思い浮かべるかもしれませんが、実は、縄文文化の顔として世界的に知られているのは、山梨県「南アルプス市ふるさと文化伝承館」に展示されている、鋳物師屋遺跡から出土した土器と土偶なのです。何と大英博物館にも展示されたという超有名な出土品です。縄文あるいは歴史好きの人が見逃せない土器・土偶、さあ行ってみましょう。

縄文王国、山梨県

縄文王国、山梨県

写真:松縄 正彦

縄文時代の出土品では、火焔土器や遮光器土偶などが良く知られていますが、面白い土器がたくさん出土しているのが山梨県です。水煙文土器、取手付土器などですが、中でも世界で最も有名な縄文時代の出土品を展示しているのが、写真の南アルプス市のふるさと伝承館です。二階にこれらの出土品が展示されています(一階では、近隣の遺跡から出土した弥生時代以降の出土品等が展示)。
まず玄関入り口で靴を脱いでから入りましょう。

縄文王国、山梨県

写真:松縄 正彦

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入り口正面の階段を上ると展示場入り口が見えて来ます。何やら人形のような物も見えてきますが、早速入ってみましょう。珍しい物がたくさん展示されていますよ。

土器に漫画?世界に縄文を知らしめた「鋳物師屋遺跡出土品」

土器に漫画?世界に縄文を知らしめた「鋳物師屋遺跡出土品」

写真:松縄 正彦

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ここの代表的な展示物は「鋳物師屋遺跡(いもじやいせき)」からの出土品です。その中で、世界で最も有名な縄文文化の”顔”として知られている2つの出土品があります(いずれも重要文化財に指定)。

最初に御紹介する縄文文化の顔は土器です。まず写真を見てください。土器の表面に人間が象られています。なんともカワイイ顔をしていますが、この土器は正式には「人体文様付有孔顎付土器」という厳めしい名前がついた5,000年前の土器です。
通常の土偶の顔の表情と比べて見てください。この土器の顔の文様は一段とリアルで現代アートやアニメの作品といっても通じます。

このような人体文様がついた土器はここ山梨県と長野県、東京都、神奈川県の”中部高地のみで出土”している、”非常に珍しい土器”です。ちなみに土偶のいろんな顔表現についてはMEMO欄のたびねす記事も参照してください。

土器に漫画?世界に縄文を知らしめた「鋳物師屋遺跡出土品」

写真:松縄 正彦

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次に御紹介するのは「円錐形土偶」です。この土偶、高さが25cmと大型で、大きくお腹が膨らみ、妊婦さんが左手でお腹をさすっているように見えます。この事から”子宝の女神 ラヴィ”という愛称がついています。前述の土器の人の手の指、またこの土偶の手の指の数にもご注目ください。3本指になっています。縄文の人々は奇数が好きだったといわれますが、こんな処にも反映されています。

ところで、面白い事にこの土偶、腹部が空洞になっており、この中に鳴子が入り土鈴のようになっています。安産のお守りとして土鈴を鳴らしてお腹の赤ちゃんに聞かせていたのかもしれません。ちなみにこの土偶は紀元前3,000年から2,000年に作られたものです。また、通常、土偶は壊されて出土するのが普通ですが、この土偶は珍しく、完全な形で出土しました。

土器に漫画?世界に縄文を知らしめた「鋳物師屋遺跡出土品」

写真:松縄 正彦

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この円錐形土偶から作られたのが、展示場入り口から見えた、写真のラヴィちゃんの人形です。
一見、何の変哲もない人形ですが、なんと2015年に”全国どぐキャラ総選挙”ファイナルで見事グランプリを獲得したという優れたキャラクターです。またインターナショナルミュージアム「ミュージアムキャラクターアワード2016」でも第二位に輝いています。さらに少子化対策の担当にも任命されました(実はラヴィはフランス語で”命”の意味)。

紹介したこれら2つの出土品は、平成7年に重要文化財に指定されて以来、国内はもとよりローマ市立博物館、マレーシア国立博物館、韓国国立中央博物館やモントリオール博物館に、また大英博物館には2回も貸し出されています。また図鑑や様々な本の表紙を飾るなど、まさに“日本の縄文文化の顔”として広く海外でも活躍している貴重な土器・土偶なのです。

まだまだ見所がたくさん!

まだまだ見所がたくさん!

写真:松縄 正彦

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ところで、この他にも面白い出土品が展示されています。

日本で出土している土偶の顔、特に“目”に注目してみると、前記の土器や土偶のように目の周囲の輪郭だけが表現されているものがほとんどです。ところが鋳物師屋遺跡から出土した土偶の中には、“目玉”が表現された珍しいものがあります。写真の顔を見てください。
なぜここからこのような珍しい顔の土偶が出てきたのか不明ですが、目玉は、単に目を表現するのではなく”視線”も感じさせますので、普通の土偶の様に農耕の豊穣を願っただけではなかった特殊な土偶であったのかもしれません。

まだまだ見所がたくさん!

写真:松縄 正彦

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さらに土器と土偶が一体となった、顔付きの土器も出土しています。
このような顔付きの土器は、“土器自体が顔の主の身体”、具体的には母胎などを表現しているといわれます。農耕と子宝を関連させて考えていたのでしょう。この土器の顔の主は食物の神だったのかもしれません。
ちなみに鋳物師屋遺跡に住んだ縄文人は大豆や小豆などの豆類やエゴマなどを栽培していた事が分かっています。縄文時代にここでは既に農耕をはじめていたのですね。

まだまだ見所がたくさん!

写真:松縄 正彦

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最後にご紹介するのは、カエルと蛇が表現された土器です。口縁部に4つある三角の尖った部分が、上を見ている蛙の頭で、カエルの上にとぐろを巻くように作られているのが蛇です。見方によっては蛇が蛙を食べている姿のようにも見えます。これは、これまでご紹介した鋳物師屋遺跡ではなく北原C遺跡からの出土品です。
ちなみに八ヶ岳山麓の縄文遺跡からはカエルや蛇を素材とした土器表現が多く見られ(MEMO欄のたびねす記事も参照)、両者とも命の再生(不死性)を意味すると言われます。

特にカエルは月や水そして女性と関係する存在、蛇も同じような意味合いをもつとの説もあるのですが、“蛇は太陽”を“蛙は月”を表しているという別の説もあります。この別説に従えば、蛇が蛙を飲み込むのは、太陽が月を飲み込む、つまり、”夜が明ける”という解釈が成り立つようです。縄文の人々にとって、暗い夜は恐れを抱く存在だったのかもしれません。シンボルの意味を知っておくと、土器1つを見るだけでも縄文人のいろんな考え方に触れる事ができます。

南アルプスの自然の恵みを受けた縄文の人々

さてご紹介してきました縄文土器の数々ですが、忘れてならないのはこの地方にある山々の自然の恵みでしょう。南アルプスの自然の恵みを受け、約7,000年前にこの地方に最初の村が誕生し、5,000年前には鋳物師屋遺跡で縄文の顔となる先進的な文化が栄えました。しかし調査の結果、実はこの文化、諏訪湖から東京湾にまで続く一大文化圏であった事が分かっています。山々の恵みに支えられた豊富な水がこの文化圏を支えたのは間違いないでしょう。
この先進文化圏の中心にあるのが山梨県の縄文遺跡の数々です。縄文王国山梨県でぜひ縄文文化を楽しんでください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2017/05/16 訪問

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