一度は見たい絶世の美女秘仏!「浄瑠璃寺」の『吉祥天女像』に恋しよう〜京都府木津川市加茂町〜

| 京都府

| 旅の専門家がお届けするオリジナル旅行ガイドメディア

一度は見たい絶世の美女秘仏!「浄瑠璃寺」の『吉祥天女像』に恋しよう〜京都府木津川市加茂町〜

一度は見たい絶世の美女秘仏!「浄瑠璃寺」の『吉祥天女像』に恋しよう〜京都府木津川市加茂町〜

更新日:2016/09/20 14:08

いずみ ゆかのプロフィール写真 いずみ ゆか ライター

京都府木津川市加茂町にある浄瑠璃寺は、「一度は見たい、日本の秘仏5選」に選ばれたほどの美しさで知られる秘仏『吉祥天女像』がいらっしゃる事で大変有名です。秘仏と言うからには、なかなかお目に掛かる事は出来ません。チャンスはたった年3回の期間しか無いのです。今回はそんな絶世の美女秘仏『吉祥天女像』の鑑賞ポイントを中心に謎に包まれた製作者の仏師の事にも触れてご案内します。

- PR -

極楽浄土への道

極楽浄土への道

写真:いずみ ゆか

地図を見る

浄瑠璃寺がある京都府木津川市加茂町はかつて山城(山代・山背)国と呼ばれた地域で、「地理的には京都、でも文化圏は奈良」という一風変わった地。アクセスは京都市内よりも奈良市内からの方が便利です。

実際に訪れてみると、浄瑠璃寺は山の中にひっそり佇むんでおり、山々の深緑に溶け込んで趣深い雰囲気。平安時代に流行した阿弥陀浄土信仰の形式を残す貴重なお寺としても有名で、「極楽浄土を再現したお寺」とも言われ、のどかな参道は、さながら極楽浄土への道といった穏やかな雰囲気を感じさせます。

寺名は創建時の御本尊で秘仏・薬師如来像の浄土である浄瑠璃世界から付けられました。浄瑠璃とは「澄みきった静寂と清浄の理想の世界」という意味。この澄んだ里山の空気と静寂はまさしく浄瑠璃浄土。寺名とピッタリです。
確かに秘仏がいらっしゃるに相応しいと感じさせる佇まいなので、期待に胸が高まります。

御本堂「九体阿弥陀堂」にいらっしゃる美女秘仏

御本堂「九体阿弥陀堂」にいらっしゃる美女秘仏

写真:いずみ ゆか

地図を見る

浄瑠璃寺の秘仏『吉祥天女像』は御本堂である九体阿弥陀堂の御本尊左横の小さなお厨子の中にいらっしゃいます。寄木造風(ヒノキの一本材を前後に割り剥ぎ、手や袖は別材)で像高は90cmと小ぶりな木造彩色像です。『浄瑠璃寺流記事』によると建暦二年(1212年)の鎌倉時代作とのこと。重要文化財に指定されています。

そして2014年『旅の手帖』1月号の「一度は見たい、日本の秘仏5選」に選ばれたほど非常に美しいお姿をしている事で有名です。その美しさは写真家の土門拳さんが「日本一の美人である」と評したほど。また「見仏記」で知られるみうらじゅんさんが「心の恋人」と表した様に、多くの方がこの美女秘仏を一目見て、恋に落ちています。

昔はお正月に行われる吉祥天を御本尊とした吉祥悔過会(きちじょうけかえ)の時だけ、年に1回しか御開帳されない秘仏でしたが、現在は年3回御開帳され、美女にお会いできるチャンスがあります。

〈御開帳日〉・1月1日〜1月15日・3月21日〜5月20日・10月1日〜11月30日

絶世の美女秘仏『吉祥天女像』に恋に落ちる《5つの鑑賞ポイント》

絶世の美女秘仏『吉祥天女像』に恋に落ちる《5つの鑑賞ポイント》

提供元:〈写真〉浄瑠璃寺 〈撮影〉中淳志氏

では、秘仏『吉祥天女像』に思わず恋に落ちてしまう《5つの鑑賞ポイント》をご紹介します。拝観時のご参考にしてみて下さい。

〈1〉秘仏ならでは!保存状態の良い鮮やかな色彩
美女は文字通り箱入り娘だったからこそ、その美貌を維持出来たのです。 仏像の彩色は顔料を膠(にかわ)で固着させるため、膠が劣化すると顔料が剥落します。膠は紫外線などの光でボロボロになり易いのですが、『吉祥天女像』は長い間秘仏としてお厨子の中に納められていたので、紫外線や光の影響をあまり受けていないと思われ、保存状態の良い驚くほど鮮やかな色彩を見る事が出来るのです。

〈2〉繧繝彩色(うんげんさいしき)の美
繧繝彩色(うんげんさいしき)とは、奈良・平安時代の装飾文様の彩色技法の一つで、同系統の色彩をぼかさずに色の淡濃を層をなすように繰り返す技法の事。一般的に外側が一番淡い色→内側に行くほど段々濃い色になります。(外側が濃い色→段々淡い色は逆繧繝彩色)『吉祥天女像』は驚くほど近付いて拝観することが可能。せっかくなので是非、お召し物や蓮華座に見る事が出来る鮮やかな繧繝彩色の美を間近でご覧になって下さい。

〈3〉写実美と左右対称の形式美!相反する二つの美のハーモニー
『吉祥天女像』のお姿は生身の女性かの様な写実的な肉感美が印象的です。しかし腰帯や蔽膝(へいしつ)という古代中国で高貴な方が腰から下に付けたエプロンの様な衣のリボンなどは左右対称末広がりの形式美を見る事ができ、この相反する二つの美のハーモニーが絶妙なのです。美女の腰の辺りがやけに艶めかしく感じるのはこのハーモニーがあるからでは!? 少し離れた位置から見ると分かりやすいのでお勧めです。

〈4〉新旧の珍しい特徴
鎌倉時代の吉祥天女像の多くは胸飾りなどの装飾品が本物そっくりに金属で作られている事が多いのですが、この『吉祥天女像』は装身具が木製で平安期の藤原時代の特徴が残されている事が珍しい点です。また衣袖と裳裾が雲型に巻き上がる文様でまとめられている所が当時としては新しい中国の宋の影響受けており珍しい特徴です。まさに当時の新旧の美の合わせ技ですね。

〈5〉当時の美人が分かるお顔立ち
写真家の土門拳さんはその著書で「厚化粧した丸ぽちゃの麗人」「しもぶくれの頬に刻まれた切れ長の目は一番の魅力」「小さな唇は見る者に忘れがたい魅力を与える」と『吉祥天女像』の美しさを表しており、三日月のような細い眉などと共に日本古来の美人の特徴が分かるお顔立ちです。個人的には横顔美人だと思うので、少し斜め横の位置からお顔を拝見する事がお勧めです。

実はこの秘仏『吉祥天女像』を作った仏師が誰であるかは判明していないのです。

美女秘仏『吉祥天女像』を制作した仏師は誰なのか?

美女秘仏『吉祥天女像』を制作した仏師は誰なのか?

写真:いずみ ゆか

地図を見る

あまりに美しいお姿を見て恐らく誰もが、こんなに美しい秘仏『吉祥天女像』を制作した仏師は誰なのかと思う事でしょう。

『吉祥天女像』の作者に関しては不明で説も色々あるようですが、中には鎌倉時代の仏師で阿弥陀仏や浄土宗を熱心に信仰したと言われる「快慶」ではないか?という説があります。運慶・快慶で有名なのでご存じの方も多いと思います。

同じ慶派と呼ばれる仏師集団の中でも運慶と快慶では作風が全く異なり、運慶は男性的で力強い肉感的作風ですが、快慶は「安阿弥様(あんなみよう)」と呼ばれ理知的・絵画的で繊細な作風で知られています。快慶説の中では、快慶が独自様式「安阿弥様」を確立した時期の作品と『吉祥天女像』を比較し、絵画的に規則正しく処理された衣文やくぼみを付ける口元、理知的な表情が近い点などを挙げています。

快慶自身が信仰する阿弥陀浄土信仰は「浄瑠璃寺」と関係が深い上、快慶作の仏様は秘仏になっている事も多いので、秘仏『吉祥天女像』ももしかしたら‥と考えるのは自然な事なのかもしれません。

女好きで有名な運慶と違い、快慶は生涯独身だったそうです。もし秘仏『吉祥天女像』の作者が本当に快慶なら、かつて恋した美しい女性を想って制作したのかもしれませんね。そう感じてしまうほど秘仏『吉祥天女像』には凛とした気品の中に制作した仏師の愛情の様な独特の柔らかさがあります。

真実は分かりませんが、そんな視点から美女を拝観したり、想像を膨らますとより一層楽しめるかもしれません。
参道の入り口近くのお土産屋さんでは、『吉祥天女』の土鈴や色絵付けが出来る吉祥天女像なども販売しています。仏師になった気分で色絵付けにチャレンジし理想の美女を作ってみてはいかがでしょうか?

おわりに

実物は息を飲むほどの美しさです。人生に一度、絶世の美女秘仏『吉祥天女像』に恋をしに浄瑠璃寺を訪れてみませんか?


〈参考文献〉
■著:海老原真紀「浄瑠璃寺吉祥天女像について」『奈良学研究』第十一号、二〇〇九 (下記MEMO欄参照)
■写真・著:土門拳「土門拳 古寺を訪ねて 斑鳩から奈良へ」小学館文庫
■監修:水野敬三郎(執筆多数)「日本仏像史」美術出版社
■監修:熊田由美子「仏像の見方・楽しみ方がよくわかる 仏像の辞典」
■著:見城敏子「にかわの劣化と顔料の変褪色」 東京文化財研究所

掲載内容は執筆時点のものです。 2013/10/06 訪問

- PR -

条件を指定して検索

トラベルjp<たびねす>

トップページへ戻る

トラベルjpで一緒に働きませんか? 旅行ガイド編集部では運用サポートスタッフを募集中です!

- PR -

旅行ナビゲーター(在宅ライター)募集中!
この記事に関するお問い合わせ