全国に名を轟かす讃岐名社の美しい建築たち〜金刀比羅宮〜

全国に名を轟かす讃岐名社の美しい建築たち〜金刀比羅宮〜

更新日:2017/10/13 10:31

金刀比羅宮は象頭山(ぞうずさん)の中腹に鎮座しています。古代、降水量の少ない四国最大の平野・讃岐平野を見下ろすきれいな台形をしたこの山が注目され、この山に水を制御する水神が祀られました。これに海神などの性格が加わり、社殿が建てられて現在の信仰に至っています。江戸期に入って知名度は全国区となり、多彩な美術品等が寄進されました。建築もまた然り。今回はそんな金刀比羅宮の美しい建築の数々をご紹介します。

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金刀比羅建築の序幕「灯明堂と大門」

金刀比羅建築の序幕「灯明堂と大門」
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金刀比羅宮名物の石段を100数十段登ると、左方に古い廊下のような建築があります。灯明堂と言います。薄暗い堂内では銅製の釣灯籠が吊るされており、これの覆堂と考えれば良さそうです。

屋根は桟瓦葺きの切妻造り。出組(一手先)が軒を支え、頭貫と木鼻には瑞雲らしい木彫が施されています。桁と頭貫の間の小壁には、特に精緻な木彫です。蕪懸魚と円束の妻も見応えがあります。船の竜骨状の下梁を用いた、島の大工が建てた珍しい構造。芸予諸島の人々が寄進したもので、建築は安政5(1858)年。金刀比羅宮建築めぐりの序幕になります。

金刀比羅建築の序幕「灯明堂と大門」
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灯明堂から200段ほど登ると神域の総門にあたる大門です。徳川光圀の兄で松平家讃岐高松藩初代藩主・松平頼重による寄進になります。本瓦葺きの二層入母屋造で、軒には細かな平行垂木が見られます。2層目には高欄。組物は灯明堂と同じく出組で、その奥には蛇腹支輪も見られます。頭貫には波らしい木彫、小壁いっぱいに波濤と瑞雲の中を泳ぐ龍の透かし彫りがあります。これは豪快です。

美術品を収蔵するのも美術品「金比羅宝物館と表書院」

美術品を収蔵するのも美術品「金比羅宝物館と表書院」
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大門を抜け、桜の植わる桜馬場の参道を越えると、金比羅宝物館への道が参道から延びています。金比羅宝物館は真壁造り風の帝冠様式です。玄関の上には銅板葺きの唐破風屋根が載り、本瓦葺きの入母屋屋根には千鳥破風が備わり、さながら巨大な櫓のような威厳を感じます。和魂洋才の意志の表れでしょうか。建築年は明治38(1905)年。香川県産の花崗岩を用いた石造であり、よくもこれほど加工したものだと感心します。

内部も外観との見劣りのしない豪奢な造りですが、展示内容も圧巻です。狩野探幽らの狩野派や森寛斎、富岡鉄斎。そして宮本武蔵の日本画が揃います。平安初期の天台宗の僧で延暦寺の座主も務めた円珍、平安前期の宮廷画家・巨勢金岡などの仏画も見逃せません。

美術品を収蔵するのも美術品「金比羅宝物館と表書院」
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金比羅宝物館から参道に戻ってしばらく進むと丁字路があり、右手、四脚門の先に書院があります。金刀比羅宮の書院は円山応挙の障壁画で知られる表書院と奥書院からなり、表書院は常時公開しています。

表書院は万治2(1659)年に建立された檜皮葺き入母屋造り。唐破風の玄関は木彫が尋常ではありません。木鼻の唐獅子、懸魚の空を舞う鶴も良いが、特筆すべきは小壁です。牡丹らしき花とアカンサスの葉のように渦を巻いた葉が、その上部の蟻壁には瑞雲と2匹の麒麟と思われる木彫が透かし彫りでびっしりと施されているのです。これは凄まじい。入ってすぐ。8室ある各部屋の襖に障壁画が描かれていますが、うち6部屋が応挙の作品です。表書院は応挙の作品が見られる貴重な場所の一つなのです。

金刀比羅建築の最高峰「旭社」

金刀比羅建築の最高峰「旭社」
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表書院を後にして、丁字路を左へ。再び石段を登り600段を超えれば大層立派な社殿建築がお目見えします。旭社です。この建築には圧倒されます。全国から宮大工を集め、世代交代しながら40年もの歳月を費やし、天保8(1837)年に竣工した総ケヤキ造りの二層入母屋造りで屋根は銅板葺きです。

金刀比羅宮が金毘羅大権現と称していた江戸期には金堂でした。ただし、慶応4(1868)年に明治政府によって神仏判然令が発布され、権現などの仏教に基づく神号が廃止されると、金堂はその性格を変えざるを得なくなりました。現在の旭社の祭神は、天地開闢の時代に現れた最初の神々にあたる造化三神と呼ばれる神々になります。

金刀比羅建築の最高峰「旭社」
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もう少し近づいてみましょう。2層目にある組物は多宝塔以外では珍しい四手先。向拝の頭貫や小壁、懸魚に木鼻などには多彩な木彫が施されており、軒下の手挟も圧巻です。瑞雲と思われるものが隙間なく彫られています。しかし、旭社の象徴的な木彫は他に譲ります。それは2層目の軒天です。

金刀比羅建築の最高峰「旭社」
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こちらが軒天です。巻雲が描かれているように見えますが、これも木彫。こういった彫刻は稀有と言えるでしょう。また、軒天隅木にはこちらも珍しいワニの木彫があります。金毘羅の言葉はガンジス河に生息するワニを神格化したヒンドゥー教の神・クンピーラの転訛であり、これを表現しています。

唯一無二の仕様「本宮」

唯一無二の仕様「本宮」
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旭社からさらに登り、最後の石段785段目を登りきると、やっとのことで本宮になります。この社殿の分かりやすい特徴は、三手先の組物が全て角ばっていることです。こちらも他に類をみない代物のようです。

唯一無二の仕様「本宮」
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拝殿は正面と左右の3方が入母屋破風に軒唐破風を重ねた仕様で、この拝殿は幣殿によって似た造りをした本殿と結ばれています。八幡造に似た造りですが、大社関棟造りという唯一の社殿形式になります。最初に社殿が造られたのは大化の改新以前ですが、長宗我部元親の再営、松平頼重の改築を経て、明治11(1878)年に現在の社殿ができました。屋根は厚みのある檜皮葺きですが、大棟や千木、堅魚木が銅製なことで独特な重厚感が生まれています。

金刀比羅宮で参拝、美しい日本画とともに名建築を楽しんでみてはいかがでしょうか。

金刀比羅宮の基本情報

住所:香川県仲多度郡琴平町892-1
電話番号:0877-75-2121(社務所)
アクセス:JR土讃本線琴平駅下車より徒歩20分
開館時間:8:30〜17:00(最終入館16:30)(宝物館・表書院等)

2017年10月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

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掲載内容は執筆時点のものです。 2017/08/21 訪問

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