写真:風祭 哲哉
地図を見る四万もの病に効く名湯として長い歴史を持つ四万温泉(しまおんせん)。「千と千尋の神隠し」のモデルのひとつとも言われる「積善館本館」や室町時代に創業し、五百年もの間愛され続けてきた「四万たむら」など老舗の旅館も多く、関東では最も湯治場の雰囲気を残している、と言われるほど情緒ある町並みが特徴です。
写真:風祭 哲哉
地図を見るそんな四万温泉の中心部、「積善館本館」と「四万たむら」への入口がわかれる新湯横丁広場の四つ角から東に細い路地が延びています。いくつかに分散している四万の温泉街の中で、もっともディープな雰囲気を醸し出しているのが、この「落合通り」。
写真:風祭 哲哉
地図を見るそんなディープな世界に足を踏み入れるとありますあります、昔よく見た温泉街のスナックや喫茶店、そして燦然と輝く「パチンコ・スマートボール」の看板が。
写真:風祭 哲哉
地図を見る柳屋遊技場は、50年の歴史を持つ昔ながらの遊技場。かつてはこの通りにも何軒かの遊技場があったのですが、今はこの柳屋が四万温泉で唯一の遊技場です。
全国的に見ても、こうしたお店はもう数少なくなったからなのでしょうか、物珍しさと、その独特のオーラに吸い込まれるように週末の夕方は浴衣姿の宿泊客や観光客で賑わっています。
現在は夜は営業していないので、賑やかな雰囲気を楽しむのであれば旅館の夕食前、ゆっくりと楽しみたいのであれば、翌日旅館をチェックアウトした後の午前中がおすすめです。
写真:風祭 哲哉
地図を見る懐かしいヒット曲が流れる店内にはスマートボールが所狭しとばかりに並び、ガラスの玉がジャラジャラぶつかりあう音が響いています。スマートボールが流行したのは昭和30年代で現在は絶滅の危機にあり、大阪の新世界や浅草などのごく一部と、こうした古い温泉街にわずかに残っているだけだと言われています。
写真:風祭 哲哉
地図を見る店内に並ぶパチンコ台、よくみるとすべて手打ち台(自分で玉をはじいて遊技するタイプ)です。これももう地方の温泉街でしか目にすることはできませんね。
写真:風祭 哲哉
地図を見るさて、このスマートボールですが、柳屋遊技場では1回500円で50個の玉が出てきます。出てくると言ってもスマートボールの台の中ではなく台の上にある出玉口からガラスの盤面の上に直接ジャラジャラと落ちてくるのでびっくり。この玉を発射レバーを引いて一つずつゆっくり弾き出すだけなので、遊び方は至って簡単です。
写真:風祭 哲哉
地図を見るもちろん遊び方がわからなくても大丈夫。女将のフジコさんが孫の手を使ってちゃんと教えてくれるからです。打ち出した玉が「5」の穴に入れば5つの玉が、「15」の穴に入れば15個の玉がジャラジャラとガラス盤の上に払い出されます。
「ひとつずつゆっくり打ってね」
「うちは長く遊べるようにサービスしてるからゆっくり楽しんでってね」
「あんまり狙いすぎちゃダメよ、入れようとしない方が意外といいんだからね」
もちろん打った分以上に賞球があり、玉がたくさん貯まればレトロでディープな(?)景品と交換することもできますよ。
動画:風祭 哲哉
地図を見るこの時間の流れ、なんとゆるやかなことでしょう。遠い昔にタイムスリップした気分になれること、間違いなしです。
写真:風祭 哲哉
地図を見るこの柳屋遊技場の女将の名前は「二二子(ふじこ)」さんですが、その気さくな人柄から、親しみを込めて「フジコちゃん」と呼ばれることも。
さっきまでスマートボールの遊び方を教えていたかと思うと、いつの間にかおかしとお茶を持ってお客さんのまわりを行ったり来たり。
写真:風祭 哲哉
地図を見る柳屋遊技場はテレビや雑誌、ウェブなどの多くのメディアで取り上げられていますが、それはこのお店の希少性はもちろんのこと、このフジコちゃんのキャラクターのよさも大きく関係しているに違いありません。
店内にはそうした取材でやってきた沢山の著名人の写真やサインが残っていますが、すぐにフジコちゃんのファンになってしまう人も多いとか。
とにかく気さくで話しやすいので、スマートボールが終わってもお茶を飲みながらついつい長居をしてしまいます。そう、なんだか四万温泉に親戚の叔母さんがいる、といった感じでしょうか。
写真:風祭 哲哉
地図を見るそう、このお店がこれほど愛されるのは、この伝説の女将、フジコちゃんがいるからなのです。
10代の頃にこのお店にやって来て、今はオーナーとして一人で切り盛りするフジコちゃん。このお店がなくなってしまうと、四万温泉の灯が消えてしまうのでいつまでも頑張ってほしい、とまわりの旅館の女将からも懇願されているとか。本当に元気でいつまでも続けてほしいですね。
住所:群馬県吾妻郡中之条町四万4145
電話番号:0279-64-2520
アクセス:関越道渋川伊香保ICより四万温泉方面へ50分/四万温泉バス停から徒歩3分
営業時間:10:00-18:00
定休日:木曜日(ただし、祝日の場合は営業)
※一部旅行ガイドでは営業時間10:00〜21:00と表記されていますが、現在は18:00までで、夜は営業していません。
2017年10月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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この記事を書いたナビゲーター
風祭 哲哉
北海道大学文学部国語国文学科卒「日本に恋する伝道師」として、ブログ、SNS、旅行ガイド、雑誌などのメディアを通じて日本の素晴らしさを伝えている。また日本の旅先を題材として「ちょっと悲しくて、ちょっと妖…
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