写真:沢原 馨
地図を見る檜原村の町役場近くの「橘橋」交差点から県道205号を北へ辿り、さらに途中から県道を逸れて北秋川の支流である神戸川に沿って遡っていけば、左右に分かれて聳える一対の断崖が出迎えてくれます。これが東京都指定天然記念物の「神戸岩(かのといわ)」。「神戸」の名は大嶽神社の入口という意味があるとのことですが、高みへそそり立つ断崖を目の当たりにすると、昔の人はその姿そのものに“神”を感じたのかもしれないと思ったりします。
写真:沢原 馨
地図を見る一対の断崖に挟まれた谷底には岩盤を抉って神戸川が流れています。流れはいくつもの小さな滝を形作り、川床には甌穴も見られます。規模は小さいながらも、その景観はまさに“峡谷”、長い年月をかけて水の流れが刻んでできた景観に興味は尽きません。谷底から上を見上げれば断崖がそそり立ち、その景観には畏怖を覚えるほど。こんな場所が東京都内に存在していたことに驚くばかりです。
写真:沢原 馨
地図を見る峡谷は長さ60mほど。その谷底には崖に刻むように通路が設けられ、歩いて通り抜けることもできます。しかし、その“通路”は場所によってはようやく足が乗せられるほどの幅しかなく、山岳用語で言うところの“鎖場”になっていて、崖に打ち込まれたアンカーに繋がれたチェーンにつかまって歩かなくてはなりません。なかなかスリリング(つまり、危険!)なのです。ここを歩いてみたい人は、動きやすい服装、滑りにくく足にフィットした靴で挑戦することを強くお勧めします。
写真:沢原 馨
地図を見る峡谷の通路を辿っていると、途中で写真を撮りたくなるのですが、その時は足場を確かめ、体重を崖に預けて体勢を整え、バランスを崩さないように注意深くカメラを構えなくてはいけません。足を滑らせて転落したら“一巻の終わり”というほどの高さではありませんが、場合によっては大怪我につながってしまいます。くれぐれもご注意を。
写真:沢原 馨
地図を見る峡谷の下流側、橋の袂から峡谷の通路を歩こうと思うといきなりアドベンチャー感覚ですが、トンネルを抜けて上流側へと回れば、比較的気軽に峡谷の景観を楽しむこともできます。急流が岩盤を抉って造られた景観や、小さな滝が重なる様子など、間近に見ることができますよ。
写真:沢原 馨
地図を見る上流側からなら、峡谷の中ほどまで比較的足場の広い通路が続いていますから、女性や子どもさん、お年寄り、サンダル履きの方などは上流側から峡谷の景観を楽しむことをお勧めします。
写真:沢原 馨
地図を見る神戸岩下流側で川を跨ぐ橋は「戸岩橋」、昭和32年(1957年)11月に竣工したもの。南側(下流側から見て右側)の断崖を穿って抜けるトンネルは「神戸隧道」、これも橋と同じ昭和32年(1957年)11月に竣工しています。その時期に橋とトンネルを設けて新しい道路を通す工事が行われたのでしょう。
写真:沢原 馨
地図を見る橋もトンネルも竣工からすでに60年、美しいアーチの橋も真っ暗なトンネルも、今ではすっかり風景になじんで風趣に富んだ姿を見せています。その風景も見所のひとつと言っていいでしょう。特にマニアの方々にはお勧めの橋とトンネルです。
写真:沢原 馨
地図を見るこうした峡谷は夏に涼を求めて訪れるのがお勧めですが、山々が紅葉に染まる季節もいいものです。特に橋の袂からは河岸のモミジが紅葉に染まって美しい景色を楽しむことができます。この辺りの紅葉は例年11月の中頃が見頃、紅葉の中で渓谷美を楽しむのもお勧めですよ。
神戸岩の辺りはすっかり人里から離れて深山幽谷の雰囲気。深い山々に包まれて、町の喧噪とは無縁の世界です。聞こえるのは水の流れの音と木々のそよぎ、そして野鳥の声だけ。ひととき日常を忘れた時間を過ごすことができますよ。
最寄りのバス停からも少し距離があり、車やバイクなどを利用しなくては行きにくいところですが、それに見合う感動が得られる場所であることは確かです。東京の奥部に存在する驚異の景観、神戸岩。さあ、次の休日に出かけてみましょう。
<基本情報>
住所:東京都西多摩郡檜原村神戸
電話番号:042-598-0069(檜原村観光協会)
アクセス:JR武蔵五日市駅からバス「藤倉」行き「神戸岩入口」下車、徒歩約40分(約3km)
※2017年10月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2024/3/19更新)
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