岐阜県中津川市は、今も昔も木曽路の玄関口として多くの旅人が往来する東濃地方の拠点の一つ。かつては、江戸から45番目の宿場町として賑わいました。近隣には江戸時代の風情が色濃く残る馬籠宿があり、名物の栗きんとんは全国的にも有名ですね。
そんな中津川で今一番注目を集めているが、2017年9月19日に“岐阜の宝もの”に認定された国指定史跡「苗木城跡」。険阻な地形を活かして築かれた山城は、全国的に見ても非常に珍しい、巨岩を利用して石垣が構築された天然の要塞跡です。
写真:旅人間
地図を見る苗木城跡に到着すると、まずは駐車場近くにある「足軽長屋跡」から、正面に位置する天守展望台を見上げてみましょう。遠くから見ても明らかな頂上付近の巨岩、山裾から渦巻くように見える石垣、まるで龍の住む城のようにも見える迫力には圧倒されます。
実際に、この城には興味深い‟龍伝説”が残っています。それは赤土の壁を白くすると龍が現れ白壁を削り取るといったもの。これはこの城が別名「赤壁城」と呼ばれるようになった由縁ですが、まさしく龍が住んでいた城のように感じますね。ただ、壁を白くする資金が無く、面目を保つために龍伝説を作り上げたと言う話もあるんだとか…。いずれにせよ面白い!
写真:旅人間
地図を見る足軽長屋跡のあった場所から5分も歩けば、大矢倉跡に到着します。ここでは巨岩と石垣のコラボが見られ、巨岩の上に石垣のある姿は実に珍しい。
ちなみに大矢倉跡付近には風吹門跡(大手門)があり、「苗木遠山資料館」では唯一の建物遺構とされる風吹門の柱と門扉が保管されています。また苗木城を復元させた模型の展示もあります。この苗木城跡を散策する時は、最初に資料館を見学し、パンフレットを片手に持って、当時の姿をイメージしながら散策するのが絶対におすすめ!
写真:旅人間
地図を見るこの大矢倉跡は石段を登って見ることも出来ますし、天守展望台へ向かう途中から見える姿は圧巻。城跡と言うよりも、まるで山の中に隠された遺跡のようにも見えます。
戦国時代の1520年代に遠山氏によって築かれた苗木城は、武田家と織田家の双方と縁戚関係を結び時代の波を上手に渡り歩きますが、本能寺の変の後、豊臣家に城を追われます。そして関ヶ原の戦い前に家康の指示で城を奪還し、その後は1万石の大名として遠山氏は明治に至るまでこの地を治めました。苗木城跡の石垣は6タイプあり、積み方によって随所に時代の背景が垣間見えます。これも城の楽しみ方の一つと言えるでしょう。
写真:旅人間
地図を見るこの苗木城跡は数年前まで多くの木々に覆われ、大きな山のような景観だったそうですが、城内の整備が進むと評価は一変しました。山の上で巨岩と石垣が交り合う景観は話題になり、岐阜のマチュピチュ、天空の城と噂されるようになり「全国で今一番行ってみたい城」と言う人が続出し始めたのです。
確かに苗木城跡は中津川市内を東西に流れる木曽川の右岸にあり、山頂の天守跡までは標高170メートル。急峻な地形を活かした見事な城だったことでしょう。想像すればするほどワクワクしてきますね。
天守展望台までの道は歩きやすく、大矢倉跡からゆっくり歩いて15分ほど。途中で大門跡・錦蔵門跡・菱櫓門跡を通り、二の丸跡・具足蔵跡・武器蔵跡・千石井戸などが見られます。
写真:旅人間
地図を見る天守展望台のある山頂まで来ると、あっと驚く光景が見られます。それは巨岩の上に天守が台が形成されている姿。現在あるのは展望台で、実際の穴を利用して当時の構造を再現したものですが、この巧みな技術は見ごたえ抜群です。
岩に穴をあけ、柱を立て、そこに本丸を築いた建築方法は、京都の清水寺や鳥取の三仏寺投入堂と同じ懸造り。巨岩に残された柱穴の跡に歴史のロマンを感じずにはいられません。
写真:旅人間
地図を見る中津川市街を一望する山頂からの眺めは、恵那山の堂々たる姿、木曽川の流れ、そして古城の風景が重なります。まさに絶景!この城跡の風貌や風情、そしてこの山頂からの景色は旅の目的地として誰かと一緒にシェアしたくなる。もちろん自分自身を見つめ直したい時の一人旅などにも最適です。
尚、天守展望台では素晴らしい景色がSNSで瞬時にアップ出来るようにWi−Fiも完備され、外国人観光客からも大好評。この苗木城跡の風景が国内外から話題を集める日も近そうです。大混雑する前に足を運んでおく事をおすすめします。本当に素敵な場所ですよ。
写真:旅人間
地図を見る今回紹介致しました「苗木城跡」へのアクセスは車の場合、中津川ICから約10分。駐車場は無料です。電車&バスを利用する場合は中津川駅から北恵那交通バスで「苗木」で下車し徒歩で30分となります。尚、隣接する「中津川市苗木遠山史料館」は以下の通りです。
<中津川市苗木遠山史料館の基本情報>
住所:岐阜県中津川市苗木2897-2
電話番号:0573-66-8181
開館時間:午前9時30分から午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日:月曜日
入館料:320円(小・中学生および幼児は無料)
2017年11月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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