朱い清水寺?長野「鼻顔稲荷神社」は謎めく空中楼閣

朱い清水寺?長野「鼻顔稲荷神社」は謎めく空中楼閣

更新日:2017/11/11 19:32

やた 香歩里のプロフィール写真 やた 香歩里 鈍足の旅人、地域の魅力発掘人、花火鑑賞士
佐久市岩村田の湯川沿いに建つ「鼻顔(はなづら)稲荷神社」は、名前も姿も強烈なインパクト。その境内には、御姿殿で参拝者を迎えるお狐様、朱色に染まる廊下、崖に埋まったご本殿などなど…なんともミステリアスなたたずまいに思わず背筋が伸びる!?

川辺の朱柱がインパクト大!

川辺の朱柱がインパクト大!

写真:やた 香歩里

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朱い柱が支える一連のご社殿。いわゆる懸崖造りという、崖側を長い柱で支える建築方法で建てられています。有名なのは清水寺の本堂、いわゆる清水の舞台ですね。この鼻顔稲荷神社も、緑の中に朱い柱が映えて、遠くからでも目を引きます。いったいどんな社殿になっているのでしょうか?

川辺の朱柱がインパクト大!

写真:やた 香歩里

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鼻顔稲荷神社の創建は江戸時代の永禄年間、約440年前にさかのぼります。京都の伏見稲荷大社より御分霊をいただいて祀られた神社で、五大稲荷の1つに数えられています。(その他の4つの稲荷は、伏見稲荷・豊川稲荷・笠間稲荷・祐徳稲荷)

川辺の朱柱がインパクト大!

写真:やた 香歩里

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崖の上のご社殿に至るには、坂を上らなければなりません。一の鳥居に近く少し急な男坂と、参道の奥にあり、緩やかな女坂があります。

女坂の鳥居の左手横にある、しめ縄の掛けられている木は“相生の木”。ケヤキと赤松という異なる樹種が寄り添って生えていることから、縁結びのご利益があるといわれています。

御姿殿に佇む、美しい一対の狛狐

御姿殿に佇む、美しい一対の狛狐

写真:やた 香歩里

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坂道を上がると、この御姿殿が見えてきます。中には一対の、美しい狐の像が。いわゆる「狛狐」ですね。…あれ? 狛犬にせよ狛狐にせよ、普通は参道や拝殿の前に、左右両側に並んでいませんでしたっけ?

御姿殿に佇む、美しい一対の狛狐

写真:やた 香歩里

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狛狐をお社の中にという変わった形式は、なんといってもこの神社の特殊な土地事情によるもの。崖に這うように作られているので、大きな狛狐を通常のように配置するのは難しく、このような形になったのだとか。

御姿殿に佇む、美しい一対の狛狐

写真:やた 香歩里

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左の狛狐の足元には可愛い子狐がいますね。巻物をくわえた狛狐は、子狐を守るためなのか、少し厳しい顔をしています。

大事に祀られた立派なお狐様、なにやら他にも由来があるように思え、想像力を掻き立てられます。

一続きの社殿は厳かさと緊張感が漂う

一続きの社殿は厳かさと緊張感が漂う

写真:やた 香歩里

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社殿はすべて一続きになっています。手前から、参籠殿・社務所・拝殿本殿が並んでいます。まるで学校の廊下のような木の床が奥まで続きます。

一歩入ると、閉じられた空間である分、神様のお住まいに足を踏み入れたという緊張感を感じます。音も響くので、自然に小さな声になり、静かに粛々と足を進めようという気持ちに。

一続きの社殿は厳かさと緊張感が漂う

写真:やた 香歩里

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朱い柱に朱い桟、朱い幟が、鳥居の連なりのように見え、圧倒されます。

こちらの社殿は2015年に竜巻被害にあい、その後大改修されたので、現在の建物に古さは感じられません。ただ、古い額がいくつもかけられており、400年以上に及んで広く東信濃の信仰を集めてきた歴史の深さが感じられます。

一続きの社殿は厳かさと緊張感が漂う

写真:やた 香歩里

この「奉納」と書かれた額は養蚕技師からのもので、中に並んでいるのは繭玉です。比較的新しく、綺麗な状態を保っていますが、それでも日付は昭和24年。昭和24年といえば1949年ですから…新しいとはいえ、もう70年近く前のものとなります。

他にも繭玉で文字を書いたかなり古い額もありました。かつて養蚕が盛んであったこの地域で、産業の発展をつかさどる神として篤く信仰されていたことがうかがえます。

拝殿の奥の本殿と、崖に穿たれた旧本殿

拝殿の奥の本殿と、崖に穿たれた旧本殿

写真:やた 香歩里

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一番奥が拝殿になっており、拝殿前は少し広くなっています。

この拝殿の中に、崖に埋め込むような形で本殿が祀られています。格子のこちら側からよーく目を凝らすと、本殿を見ることもできますが、ピンと張りつめたような空気は、興味本位でのぞき込むのは憚られるような威厳があります。

鼻顔稲荷神社は天下泰平、五穀豊穣、家内安全、商売繁盛、交通安全、進学成就の霊験があらたかであるといわれています。地域の平和や発展を願う人々が、願いをかけ、大切に守り続け、共に生きてきた神社なのです。

拝殿の奥の本殿と、崖に穿たれた旧本殿

写真:やた 香歩里

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拝殿でお参りを済ませたら、拝殿横に記された「順路」を進んでみます。すると、崖にすっぽり埋まった、ただならぬ雰囲気の小さなお社が。こちらは旧本殿ではないかと目されています。

なぜこのような形で、この場所にお社を作らなければならなかったのか…何か深い事情を思わせますが、なにしろ400年以上も前のこと。もはや伝承は廃れており、伝わっていないのだとか。何か特別な土地だったのではないか…と、想像が尽きない神社です。

拝殿の奥の本殿と、崖に穿たれた旧本殿

写真:やた 香歩里

拝殿手前の社務所では、お守りやお札をいただくことができます。こちらの社務所は開閉時間が短めで休日もあるので(下記「基本情報」参照)、ご注意ください。御朱印は書置きされたものをいただくことになります。

400年を超えて地域に愛されてきた鼻顔稲荷神社

400年を超えて地域に愛されてきた鼻顔稲荷神社

写真:やた 香歩里

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社殿からは、岩村田の集落を見渡せます。初詣やお祭り・行事のときはたくさんの参拝客でにぎわいますが、普段は静かに、少し高いところから、この地域を見守り続けています。

ちなみに、鼻顔(はなづら)とはとてもインパクトのある名前ですが、当時のこの地区の地名が「鼻顔」だったことに由来しており、特別な伝承があるわけではないようです。

400年を超えて地域に愛されてきた鼻顔稲荷神社

写真:やた 香歩里

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歴史は感じられるものの、あまり古いいわれが伝わっておらず、参拝者はそのご由緒を偲ぶのみですが、長く地元の方々に信仰されてきた神社であることは随所にうかがえます。個性的でミステリアスな空気が漂う鼻顔稲荷神社。東長野を訪れた際には、ぜひ参拝してはいかがでしょうか。
 
佐久市は、かつて中山道の宿場町として栄えたところ。鯉料理で有名なほか、“日本三大ケーキの町”の1つでスイーツのお店もたくさん。岩村田の商店街にもスイーツや鯉料理のお店、酒蔵など、地元に根ざした名店がたくさんあります。商店街までは神社から徒歩5分ほど。ぜひぶらぶらと散策してみてください。

鼻顔稲荷神社の基本情報

住所:長野県佐久市岩村田4261
電話番号:0267-68-8469
アクセス:〔車の場合〕上信越自動車道佐久ICより約2q
〔車以外の場合〕JR岩村田駅より徒歩約20分
社務所の開閉時間:10:00〜15:00
社務所の休日:月・金曜日

2017年11月現在の情報です。最新情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2017/09/21 訪問

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