サン・ベネデット市場は、ヴェネツィアの魚市場やローマのカンポ・ディ・フィオーリ、フィレンツェの中央市場などとは異なり、観光のついでに立ち寄れるような場所にはありません。市場を目的に行くしかないような立地です。しかも毎日地元の人でにぎわっているため、周辺の駐車場もいっぱいだったりします。
アクセスはタクシー利用か、もしくは国鉄カリアリ駅の近くから出ているバスのLinea M(M線)がおすすめ。乗り場はMatteotti(マテオッティ)、Bacaredda /Mercato Civico(バカレッダ/メルカート・チヴィコ=市民市場)で降りれば、市場は目の前。バスは15分間隔であり、所要時間は8-10分です。
アクセスはそれほど大変ではありませんし、半日時間がとれるなら行く価値は大いにあります。ただしなるべく午前中お早目にお出かけください。昼すぎには魚などほとんど売れてしまい、祭りの後のような寂しさになってしまいますので。
オープンは月曜から土曜日、午前7時から午後15時までです。
床面積は8,000平方メートル。東京国立競技場より少し大きいくらいでしょうか。二階建ての外観は地味ながら、一階部分のほとんどが魚、さすが海に囲まれたサルデーニャです。
カリアリ湾で取れる近海の目のパッチリとした魚たちや、うごめく生のタコやイカ、数々の甲殻類、初めてみるような貝などなど、お好きな方なら、きっとキッチン付のレジデンスに泊まって料理したくなるのではないでしょうか。
お腹を割られたウニや子持ちのカニに食欲をそそられながら歩いていると、季節によっては日本では見かけないものに遭遇するかもしれません。秋に出会えるのがカタツムリです。カタツムリはイタリアの北から南まで複数の地域で食べますが、サン・ベネデットで驚くのはその種類の多さでしょう。それぞれどんな味がするのか、ここには未知の世界が広がっています。
そそられるのは魚だけではありません。二階の売り場には、黒光りするナスや、強い日差しを浴びて育った真っ赤なトマト、つんつんと愕のとがったアーティチョーク、冬になると出回るラディッキオというほろ苦い紫の葉物、春には真っ白な極太のアスパラガス...と数えきれない種類の野菜が並びます。
吊り下げられた何種類ものハーブを見ても、新鮮さは一目瞭然です。果物も豊富なので、見事に熟れたラズベリーや、オレンジを何個か、おやつ代わりに買うのもいいですね。
野菜売り場にも未知の味がいくつかありますが、秋冬に目を惹くのは(野生の)キノコです。日本のマツタケと並び称されるポルチーニをはじめ、イタリア語の辞書にも名前がのっていない、大ぶりのキノコなどもあります。ホテル滞在の場合は香りをかぐだけで購入はあきらめなければなりません。残念を通り過ぎて悔しさがこみあげてくるかもしれませんが、現地のレストランで味わうことにしましょう。
サン・ベネデット市場には日本に持ち帰ることができるおすすめが二つあります。一つ目はボッタルガ、からすみです。ボッタルガというのは魚の卵巣の塩づけのこと、イタリアには二種類あって、大きくて割安なのはトンノ(まぐろ)。サン・ベネデットで売られている少し小さめのものがボラで、カリアリから少し北西の、カブラスという一大カラスミの産地のもの。これが抜群に美味しいのです。
フラミンゴもやってくる汽水湖の景観を愛でながら、カブラスを回る旅程を組める場合は現地で買うのがベターですが、サン・ベネデットで売られているものも全く遜色ありません。
イタリアではパルミジャーノチーズのように削って、パスタに振り掛けて食べるのが一般的です。エキストラバージンのオリーブオイルをからめたパスタに、カラスミだけをふんだんに振り掛ける贅沢な食べ方も良し、あさりのスパゲッティに振り掛ければ、とってもゴージャスな一品になります。
二つ目のおすすめはペコリーノ(羊)チーズ。ペコリーノはトスカーナのピエンツァやローマ近郊などイタリア各地で作られていますが、なかでもサルデーニャのペコリーノが味わいの深さで頭一つ抜けているような気するのは、サン・ベネデットのチーズ売り場がそれだけ厳選したものを扱っているからでしょう。
ペコリーノチーズは、ほっこりとした若いタイプから、芳醇な香りにピリッと舌をさす刺激のある超熟タイプまで、熟成タイプが色々です。全て試食させてくれますので、お好みの味を見つけてください。いずれも甲乙つけがたい美味しさでので、一種類だけ選ぶのは難しいかもしれませんが。
美味しいのは丸ごとの塊をその場でカットしてくれるからでもあります。頼めば真空パックしてくれますので、日本にも(ほぼ)そのままの味を持ち帰ることが出来ます。
どれだけ美味しいものを目で食べても、お腹は満足しません。歩き回った末の空腹感とは違う、別の種類の飢餓感に襲われているに違いありません。このあとは迷うことなく、サルデーニャ料理のレストランに行きましょう。
たとえばTrattoria Lillicu。駅前から伸びているローマ通りの少し北、レストランが点在する裏通りにあります。いつも地元の人たちで賑わっているので、大理石の大きなテーブルは相席になってしまうかもしれませんが(並ばないと入れないかもしれないので、できれば予約しましょう)。
Trattoria Lillicu:Via Sardegna, 78, 09124 Cagliari CA, Tel +39 070 652970
州都カリアリは空路でも海路でもサルデーニャの玄関口となる街ですが、できればオルビアかアルゲーロ空港から入り、北部の町から旅を始めるのがおすすめです。サン・ベネデット市場で買ったお土産も、たとえ真空パックになっていても生鮮食品にかわりありませんので、日中バスや車での移動が多いとちょっと心配です。
カリアリは、古代ローマの円形闘技場劇場やピサ様式の大聖堂、先史時代からの歴史資料が充実した国立考古学博物館など、見どころの多い街ですが、できれば数時間をねん出して、サン・ベネデット市場を歩いてみてください。旅の最後におすすめです。
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