写真:和山 光一
地図を見る加賀大聖寺藩の藩湯として歴代藩主が愛した山代温泉は、薬王院温泉寺に伝わる温泉縁起によれば、約1300年前、僧の行基が霊峰・白山へ向かう途中で、傷を癒すヤタガラスを見て発見したと伝わります。
2012年グッドデザイン賞を受賞した「山代温泉 古総湯」は外装に県産杉と古瓦、そして伝統手法の杮ぶき屋根を用いた外観や内装、入浴方法もすべて明治期の総湯を復元したものです。入浴料500円を払うと番台さんが、利用方法を教えてくれます。歴史と文化を味わいながら入浴を楽しめますよ。
写真:和山 光一
地図を見る浴室は脱衣場を兼ねた大名造りで、拭き漆塗りの壁や九谷焼でできた腰壁のタイル、窓には赤や緑の色ガラスをはめ込んだステンドグラスを施した芸術的な空間は、当時の趣が感じられるお洒落で贅沢な造りです。洗い場はなく湯船のみで源泉掛け流しの湯があふれています。立ち上る湯けむりに包まれてしばし陶然としてしまうほど透明で熱い湯は名残惜しく、半身浴でいつまでも入っていたい気分です。
写真:和山 光一
地図を見るそれぞれの浴室から2階の風通しのよい畳敷きの休憩処に上がれるようになっていて温泉街が一望できます。ここで男女が会えるようになっていますが、帰りは間違って男湯や女湯に下りないように気をつけましょう。
写真:和山 光一
地図を見る近年の街並み整備によって「湯の曲輪」の中心にあった総湯山代温泉浴殿は、新たに旧吉野屋旅館跡地に再建されました。地元住民が日々集う共同浴場「山代温泉総湯」は、旧吉野屋旅館の門を生かした入口をくぐれば、木をふんだんに使った綺麗で清潔な室内が迎えてくれます。
朝6時の開店と同時に朝風呂が日課という地元の常連の賑やかな声が響いていますよ。
写真:和山 光一
地図を見る天窓から明るい光がキラキラと射し込む気持ち良い広々とした浴室には、地元産石張りの床に浴槽が二つ並んでいます。二つの異なる深さの浴槽には、天然温泉がたっぷりと注がれています。
洗い場の壁面には地元作家制作の山代ならではの多彩な九谷焼装飾タイルが施され、アートにも注目の総湯です。脱衣場には写真のデザイン図が掲げられています。
写真:和山 光一
地図を見る総湯の隣に湧き出る温泉を利用した足湯&源泉公園もあります。屋根付きなので雨の日も安心して利用でき、足だけ温めても全身の血行が良くなります。足湯の注ぎ口からはミネラル豊富な温泉を飲むこともできます。
写真:和山 光一
地図を見る「加賀カニごはん」は、2015年4月1日にデビューした加賀市ならではの上品なOMOTENASHIカニごはん膳です。加賀市橋立港で水揚げされた貴重な香箱ガニ(雌のズワイガニ)を一杯使った加賀市内5店舗で楽しめるご当地グルメで、山代温泉にある「割烹 加賀」では、「ザ・ひつまぶし風石焼きカニめし」を限定10食・要予約で提供しています。
割烹 加賀の基本情報
住所:石川県加賀市山代温泉桔梗丘2-73
電話番号:0761-76-0469
アクセス:JR北陸本線加賀温泉駅からバス15分山代温泉西口下車、徒歩2分
写真:和山 光一
地図を見る先ずテーブルに運ばれた山中漆器のお盆に載せられた色鮮やかな品々に目を奪われます。真ん中に九谷焼の板皿の上に同じく九谷焼の小鉢5品。そしてその中央に温玉「なかむらくん」のかわいい笑顔が素敵です。小鉢には地場産の魚の西京焼、季節のキノコの和え物、メゴチの天ぷら、酢の物、季節の野菜サラダの5品、右手には九谷焼のグラス受けに丸八製茶場の献上加賀棒茶の芳ばしい香りが、そして山中漆器の吸い物椀に地場産の味噌を使った味噌汁が載っています。
ちなみに「なかむらくん」は店主の名です。
写真:和山 光一
地図を見るしばらくするとメインのカニごはんが運ばれてきます。石焼きの器の中のごはんの上には、カニの外子の醤油漬け、カニ身、カニの出汁ゼリーといったカニ尽くしに、アクセントで梅そうめん、カニせんべいが乗っています。これをしっかり混ぜ、温玉「なかむらくん」を割って入れてくずしながら食べます。1杯目はそのまま、2杯目に薬味(のり、大葉、ネギ、わさび)を入れていただくことでカニの風味がくっきりと引き立ちます。コクの深いカニ出汁はシメでお茶漬け風にしていただきます。
最後にデザートとしてカステラと季節のアイス、季節の果物をコーヒーと一緒にいただきます。これでお値段なんと1950円(税込)はお得ですよ。
写真:和山 光一
地図を見る「魯山人寓居跡いろは草庵」は、32歳の若き北大路魯山人が、大正4年(1915)10月から約半年間、篆刻看板を制作しながら居候した旧吉野家旅館の別荘です。看板を彫る傍ら、山代の旦那衆と語らい、親交を深めた囲炉裏や仕事場が当時のまま残されています。母屋は1870年代に建てられた木造二階建て、瓦葺。紅殻塗りの格子や壁は鉄分を含み、耐久性が強いことから加賀地方の建造物によく用いられます。2001年に国登録有形文化財になり、2002年10月より一般公開されています。
写真:和山 光一
地図を見る入口を入るとすぐに「囲炉裏の間」があります。魯山人はここで芸術に造詣が深い山代の旦那衆たちと酒を酌み交わしながら書や美術、骨董について語らい、また加賀の豊富な食材を使った料理を味わって、審美眼と舌を養ったのです。
左手には、魯山人が刻字看板を彫るために仕事場としていた庭を望む部屋があります。山代温泉に来た魯山人が最初に手掛けた『吉野家』の看板の制作途中の状態も展示されていて看板製作に励んでいた若き魯山人の姿が目に浮かびます。
写真:和山 光一
地図を見る樹齢百数十年のヒバの古木が残る庭を眺めながらロビーで入館料500円に付いているお茶とお茶受けがいただけます。山中漆器のお盆の上には、マカダミアナッツが香ばしさのアクセントになっている“地の香”というきな粉を水飴で練り上げ、上質の和三盆をまぶした干菓子と九谷焼の湯呑に注がれた丸八製茶場の献上加賀棒茶が載っています。和三盆のすっきりとした甘さと棒茶の芳ばしさを味わいながら穏やかな時を過ごせますよ。
隣には土蔵を改装した展示室があり、魯山人が彫った刻字看板や作品の他、ゆかりの方達の作品も企画展示されています。
写真:和山 光一
地図を見る古総湯前に立つのが紅殻格子の風情が懐かしい「はづちを楽堂」。その名は、温泉の鎮守「服部神社」にまつられる神様、アメノハヅチヲノカミからいただいています。ショップやギャラリーなどイベントスペースを備えた湯の曲輪の休憩スポットで、誰でも気軽に立ち寄ることができる情報スペースもあります。
ゆるキャラ“すぱクロ”は、神の化身といわれ、神話に登場する霊鳥「ヤタガラス」ですね。
写真:和山 光一
地図を見る通路を挟んで東側にあるのが、九谷焼の手頃な品や地元名物を集めた丹塗り屋。西側には地元食材を使った、古民家風の甘味処・はづちを茶店があります。散策の疲れやお風呂上がりに立ち寄ってみてください。
軒先にかかる「道番屋」のサインのあるお店は山代温泉の様々な案内をしてくれますよ。
写真:和山 光一
地図を見る○に“は”と書かれた白い暖簾が目印のクラシックなカフェ「はづちを茶店」では、加賀市のおもてなし喫茶メニューとして2016年3月12日デビューの「加賀パフェ」(市内6店舗・全店880円)がいただけます。
香ばしく甘い丸八製茶場の加賀献上棒茶をゼリーとチュイールにし、さらに創業文政2年(1820)創業、山代みやげの代名詞「れんの羊羹」の永昌堂のあずきを添えたパフェは如何ですか。加賀麩のラスクと塩&バジルを添えた自家製温泉玉子が味の広がりを演出しています。
加賀市が推進している観光戦略に「加賀市内の回遊性向上に向けた1泊2日3湯4食作戦」があります。加賀温泉郷(山代・山中・片山津)のどの温泉地に1泊2日で泊ろうとも3湯(3温泉にはそれぞれに日帰りの共同湯がある)に入浴してもらい、食事は宿の夕食・朝食に加えて市内でプラス2食を楽しんでもらうという作戦です。その作戦に基づいたのが、お昼の「加賀カニごはん」であり、3時のおやつの「加賀パフェ」なのです。
そして加賀の3っの温泉郷をめぐる便利な周遊バスが「キャン・バス」です。JR加賀温泉駅を起点に1日券1000円/2日券1200円で周遊でき、乗り降り自由なので好きな目的地を選んでオリジナルの旅が楽しめますよ。
2017年10月末現在の情報となります。変更となる場合がありますので、公式サイトなどで最新情報を必ずご確認ください。
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(2024/3/29更新)
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