写真:咲田 みつる
地図を見る養老渓谷は千葉県市原市と大多喜町にまたがる一大観光スポット。新緑や紅葉の時期の渓谷美はさることながら、黒湯で有名な温泉郷でもあります。そんな温泉郷のメインルートからわずかに分岐を入ったところに、その珍スポットが存在します。
「2階建てトンネルって、そもそもどういうこと?」まずはその素朴な疑問にお答えします。ざっくり言いますと、入口が1つなのに、出口を2つ作ってしまったトンネルです!全長115Mのトンネルは、東側を「向山トンネル」、西側を「共栄トンネル」と呼び分けています。
※以下、説明の都合上、本稿では東側を入口、西側を出口とします。
写真:咲田 みつる
地図を見る出口が2つ…と聞くと、普通は左右に分かれているのを想像されると思いますが、このトンネルでは何と上下に分かれているのです。
何故、こんなことになったのか、その理由を説明しましょう。この珍スポットも、かつては普通のトンネルでした。しかし、アクセス上の問題で「トンネルの出口がもっと下にあった方がよい」という理由から、昭和45年に新たにトンネル工事が施され、下側の出口ができました。この時、上にあった出口を埋め戻さずそのままにしたので、2階建てのトンネルという不思議な構造が出来上がったというわけなのです。
写真:咲田 みつる
地図を見る緑がかって見えるのはトンネル内の光源の影響によるものです。天窓の様に空いた上の出口から差し込む光が、更にその幻想的な雰囲気を演出しています。この光景は、天候に関わらず見られます。真っ暗ではないので、一般的なデジカメでも十分撮影可能です。ただし、トンネル内は車も通りますので、交通状況に充分に注意しましょう。
写真:咲田 みつる
地図を見る養老渓谷を車で訪れる際は、主に国道465号線と、それとクロスする県道81号線をメインで利用します。
2階建てトンネルの入口は、東側の向山トンネル。県道81号線からわずかに分岐した場所にあります。付近に「弘文洞跡」という名所がありますので、その周辺観光として紹介されることが多いです。(原稿執筆時点では「向山トンネルはこちら」などといった目だった看板は、設置されていません。)
写真:咲田 みつる
地図を見る上の写真でご紹介した看板から100M足らずの場所に、向山トンネルがぽっかりと口をあけて佇んでいます。
トンネル内は車のすれ違いが出来ない為、対向車の気配を感じ取って譲り合う必要があります。もし観光で訪れるだけで、車で通り抜ける必要がないようでしたら、付近の駐車場に停めて、徒歩で楽しむことをおすすめします。
※分岐付近には、複数の有料駐車場(1回500円が相場)があります。
写真:咲田 みつる
地図を見る養老渓谷や弘文洞跡を訪れても、2階建てトンネルを見逃すケースが2つあります!1つずつ解説しましょう。まずは「トンネルがハイキングマップに載ってないケース」。
向山トンネルの人気に火が付いたのは2016年8月に産経新聞で大きく取り上げられたのがきっかけ。まだまだ新しいスポットなのです。その為、マップによっては、向山トンネルの存在すら書かれていないこともあります。
その場合は「共栄橋」が目印になります。(または、当記事の「地図をみる」から、グーグルマップをご覧ください。)上の写真は共栄橋経由で、2階建てトンネルに至るルート。ちなみに現在使用不可の上側の出口は、この付近にあるはずなのですが、一般道からは見られません。現地の方によると、ただの山となっているそうです。
写真:咲田 みつる
地図を見るさて、もう1つの見逃しケースですが、「何も知らずに共栄トンネル側から入ってそのまま通りぬけてしまう場合」です。共栄トンネル側から入ると、上の写真の様な光景を目にすることになります。
緑がかった空間であるには変わりないのですが、特に2階建てを感じさせる要素はありません。実はこの時、頭上に2階建て部分の出口が存在しているのですが…。くれぐれもお見逃しなきよう、場所を把握してからお出かけください。
写真:咲田 みつる
地図を見る2階建てのトンネルとしか説明のしようのないこの光景。しかし実は第3の穴が存在しています。
写真:咲田 みつる
地図を見るその第3の穴とは、写真右上にある大きな穴のこと。これは防空壕なのです。トンネル内に複数存在しています。戦時中は、今の様に2階建てではなかった為、防空壕も旧トンネルの高さに応じて作られています。(もちろん、防空壕に入ることはできません)
トンネルを抜けたら、そこは前項でご紹介した赤い欄干の共栄橋。そして、遊歩道を10分も歩けば、弘文洞跡に至ります。戦争の歴史にひたった後、平和そのものの渓谷美が広がります。
<向山(共栄)トンネルの基本情報>
■住所:千葉県夷隅郡大多喜町葛藤
■アクセス
車の場合:県道81号線沿いの有料パーキングを利用
徒歩の場合:小湊鉄道「養老渓谷駅」より徒歩約30分
写真:咲田 みつる
地図を見る最後に、文中に何度か登場した弘文洞跡についてご紹介します。弘文洞はもともとは水利のために、山を人工的に掘って作った洞(トンネル状の穴)でした。しかし昭和54年、天井部分が崩れ落ちてしまったために、「跡」と改称されています。現在は両側の断崖と、渓谷美を楽しむことができます。
弘文洞跡には専用の駐車場や展望台は無く、対岸の中瀬遊歩道から眺める形になります。その最寄りの駐車場というのが、向山トンネルの最寄りの駐車場でもあるのです。
写真:咲田 みつる
地図を見る中瀬遊歩道は整備されており、雨でぬかるむ時以外は、普通の靴でも歩くことができます。
写真:咲田 みつる
地図を見る<弘文洞跡(対岸)の基本情報>
■住所:千葉県夷隅郡大多喜町葛藤
■アクセス
車の場合:県道81号線沿い有料駐車場に停め、向山トンネル経由で徒歩約10分
徒歩の場合:小湊鉄道「養老渓谷駅」より中瀬遊歩道経由で徒歩20〜30分
『2階建てトンネル』こと、向山(共栄)トンネルに行く際は、目印となる看板などがない為、弘文洞跡を目指しましょう。有料駐車場は向山トンネル付近に複数あります。
中には足湯や焼き芋販売を併設している駐車場もあり、ハイキング気分を盛り上げてくれます。トンネルだけでも写真好きには充分見ごたえがありますが、是非渓谷美とあわせてお楽しみください。
2017年11月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2024/3/19更新)
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