まるで教会のよう!現存する日本最古のビヤホール「ビヤホールライオン 銀座七丁目店」

まるで教会のよう!現存する日本最古のビヤホール「ビヤホールライオン 銀座七丁目店」

更新日:2017/11/30 17:00

すがた もえ子のプロフィール写真 すがた もえ子 妖怪伝承収集家、フリーライター
ビヤホールは全国に数多くありますが、現存する日本最古のビヤホールをご存知でしょうか?

創建は昭和9年。ビルの外装は改装されましたが、ビヤホールの内装は昭和初期の姿がそのまま残されています。戦火をくぐり抜け、GHQに接収され、今なお現役のビヤホールとして活躍するビヤホールライオン 銀座七丁目店をご紹介します。

昭和ロマン漂う空間がお出迎え

昭和ロマン漂う空間がお出迎え

写真:すがた もえ子

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賑やかな銀座中央通りに面したビルの入口をくぐると、創建当時のままの内装が今も現役の昭和ロマン漂う大空間が出迎えてくれます。

ビヤホールライオン 銀座七丁目店の創建は1934年(昭和9年)。モダンで重厚感が漂う建物は、新橋演舞場を手がけた菅原栄蔵氏によるもの。1階にはビヤホールがオープンし、2階から上はサッポロビール株式会社の前身となる大日本麦酒株式会社の本社社屋として利用されました。

赤レンガの壁と高い天井が作り出す雰囲気は、まさに歴史を積み重ねたからこそ出る重厚感です。「教会みたい」というお客さんもいるというのも納得です。

ビヤホールライオン 銀座七丁目店でいただくことのできるメニューは、おなじみの「ビヤホール ライオン」のもの。銀座だし、この雰囲気だし…と心配せず、安心して美味しいビールを飲むことができるのが嬉しいですね。

昭和ロマン漂う空間がお出迎え

写真:すがた もえ子

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黒ずんだ天井はもとは白系の色でした。2015年12月までは喫煙可で営業していたのと、GHQに接収されていた期間に室内で焚き木を燃やしたためという話も伝わっており、長い時間をかけて黒っぽい今の色になったんですね。

店内には創建当初の白い天井のビヤホールの写真が飾ってあるので、訪問の際は現在の天井と見比べてみるのも楽しいのではないでしょうか。

「豊穣と収穫」が内装のテーマ

「豊穣と収穫」が内装のテーマ

写真:すがた もえ子

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店内の内装は「豊穣と収穫」をテーマにしています。壁の赤レンガは大地、柱は麦の稲穂の部分を、照明の丸いランプはワインを作るぶどうとビールの泡をかたどっています。

「豊穣と収穫」が内装のテーマ

写真:すがた もえ子

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ふさになって吊り下げられている照明はワインを作るぶどうがイメージされています。よく見るとふさのなかには薄いブルーやピンクなど、色の違う照明がいくつか混ざっていているのを見つけることができます。

「豊穣と収穫」が内装のテーマ

写真:すがた もえ子

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天井から下がっている照明の中には、すりガラスの表面に水玉模様が描かれているものがあります。これはビールの泡を表現しているもので、昭和9年の創建当時からずっと大切に使い続けてきたものです。

この模様入りガラス照明を作ることができる職人さんは、今はもういなくなってしまいました。そのため割れてしまった場合は模様の入っていないものに交換されています。

昭和初期からずっとビヤホールを照らし続けてきているんだと思うと、照明ひとつにも物語がありそうな気がしてきます。

250色ガラスモザイク壁画がお出迎え

250色ガラスモザイク壁画がお出迎え

写真:すがた もえ子

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カウンターの上には縦2.75メートル、横5.75メートルのモザイク壁画が飾られています。このモザイク壁画は日本人だけで作られた初めての約250色ガラスモザイク壁画です。

壁画には麦を収穫する女性たちとアカンサスの花が描かれていて、彼女たちの後方に小さく見える建物の煙突は当時あった恵比寿ビール工場だといわれています。

モザイク画の手前のカウンターには、昔は噴水があって水が上がっていました。今は老朽化のため稼働していませんが、そのなごりがカウンターの左右に残されています。

250色ガラスモザイク壁画がお出迎え

写真:すがた もえ子

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店内左手には窓がありません。そのため5角形のモザイク画が大きく壁に描かれていて、圧迫感を緩和しています。店内にある5角形のモザイク画には、全て5角形の上部に必ず小さな虫が描かれているんです。この虫、何のために描かれて、どんな意味があるのかは謎だそうです。

250色ガラスモザイク壁画がお出迎え

写真:すがた もえ子

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入口を入って左手の壁には、四角形のモザイク画が描かれています。壁には窓があるため、こちらのモザイク画は五角形に比べて少し小さめ。モザイク画には虫がいない代わりに、上部二隅に小さな模様が描かれています。

ビールはこだわりの1度注ぎ!

ビールはこだわりの1度注ぎ!

写真:すがた もえ子

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モザイク壁画の前のカウンターには、ビールを注ぐためのスタッフが常駐しています。ここビヤホールライオン 銀座七丁目店には、全国の「ライオン」に数人しかいないビヤマイスターも在籍しています。遠方からわざわざマイスターの注いだビールを目当てに訪れる人もいるのだとか。

ビールはただ注ぐのではありません。ビヤホールライオンの伝統技術「こだわりの一度注ぎ」で、しっかりした泡を作り出し、スッキリした味わいに仕上げています。この一度注ぎも、創建当初から大切に使い続けているスウィングカラン(水平に180度ハンドルを回すタイプ)によるもの。

ビールはこだわりの1度注ぎ!

写真:すがた もえ子

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ビール工場から運ばれたビールは、ビルの地下にある1000リットルの巨大タンクで管理されます。そのタンクから直接ジョッキへ注がれるため、通常より高めの圧力をかけてグラスへ注がれます。

よくあるビールと泡を分けての2度注ぎではなく、圧力をかけて一気に注がれるビヤホールのビールは、ふわふわの泡が蓋となり、ビールが空気に触れるのを防いでくれるため鮮度が保たれるといいます。いつも飲んでいる銘柄でも、まるで別物のように感じさせる一杯です。

昭和初期の空間が残る6F『銀座クラシックホール』も

昭和初期の空間が残る6F『銀座クラシックホール』も

写真:すがた もえ子

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銀座ライオンビルの6Fにも、昭和9年の創建当時のレトロな昭和初期の雰囲気を残した『銀座クラシックホール』が。こちらのホールは講堂やダンスホールとして使われていた空間だということで、貸しホールや宴会場として利用することができます。

白いアーチ状の天井がとてもモダンで、窓や三角のステンドグラスから差し込む光が美しい空間です。

昭和初期の空間が残る6F『銀座クラシックホール』も

写真:すがた もえ子

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銀座クラシックホールのステンドグラスの中には、歪みを帯びているものも。これは戦時中の爆弾の熱で歪んでしまったものをそのまま残しているためです。劣化防止のため外側にガラスをはめ込んではいますが、戦前から現代まで変わらない姿を今に残しています。

時代を超えて愛され続けるビヤホールで、こだわりのビールを体験しよう

外装こそ耐震工事のためリニューアルされましたが、1Fビヤホールの内装は戦前から変わらぬ姿のまま。今も毎日お客さんを迎え続けています。現存する日本最古のビヤホールでモザイク画を眺めながら、1度注ぎのキレのあるビールを味わってみてはいかがでしょうか。

<ビヤホールライオン 銀座七丁目店の基本情報>
住所:東京都中央区銀座7-9-20
電話番号:03-3571-2590
アクセス:地下鉄銀座線 銀座駅 徒歩3分、JR有楽町駅 徒歩7分/新橋駅 徒歩7分
営業時間:月〜土11:30〜23:00、日・祝日11:30〜22:30
ランチ営業:月〜金11:30〜14:00

2017年11月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2017/11/16 訪問

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