滋賀県東近江市にある百済寺は「ひゃくさいじ」と呼び、聖徳太子の頃に創建された湖東三山の一つ。重厚な石垣に覆われ、最後の山城とも呼ばれる趣を今に残しています。ここは日本の紅葉百選にも選ばれ、秋になると多くの観光客で賑わう紅葉の人気スポット。
駐車場から歩き、受付を過ぎたすぐのところから色鮮やかな景色が現れます。ここは庭園の入口付近、つい素通りしがちですが、秋景色を撮影するベストポイントの一つ。家族や友人と一緒に散策するなら、ここで一緒に撮っておくのもおすすめ!
写真:旅人間
地図を見るこの百済寺には東の山を借景とし、大きな池と変化に富む巨岩を配した池泉廻遊式ならびに観賞式の庭園として名高い「喜見院の庭園」でも知られています。
特に紅葉の時期になると、木々は緑を背景に赤や黄と色鮮やかに彩って、池には鯉が悠々と泳ぐ。まるで現実から飛び出した絵画の世界。池泉を廻って歩を運んで先へと進む前に、まずはゆっくりこの景色を楽しむのがおすすめ。
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地図を見るこの喜見院の庭園は別名「天下遠望の名園」とも称されています。池泉を廻って、庭園から連なる高台の「遠望台」へと向かうまでの景色も見事。書院からの景色を堪能したら、次は庭園を眼下に見ながら、順路に従って先に進んでいきましょう。
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地図を見る美しい庭園は下から見ても、上から眺めても美しい。湖東の平野が眼下に展開する景色は琵琶湖をかすめ、西方55キロ先には比叡山、更に880キロ先には渡来人の母国「百済国」が偲ばれます。ところで、なぜ880キロも先の百済国を偲ぶのか?
それは、この百済寺は北緯35度線上に存在し、百済国(光州)も同じ35度線上になるからです。更に興味深いのは太郎坊(八日市)、比叡山、次郎坊(鞍馬山)もほぼ同一線上に並んでいること。最近の調査では、これは偶然ではなく、日本に暦・天文・地理・兵術・方術を伝えた百済僧・観勒によって意識的に行われた配置だと言われています。だから、ここに立つと880キロも先の大地を感じたくなるんです。面白いでしょ!
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地図を見るこの百済寺は、かつて織田信長によって焼討されました。信長の焼討と言えば比叡山が有名ですが、信長と敵対していた六角氏に食糧米を送るなどの行為が謀反と判断され、この百済寺も焼討となったのです。
石垣や石仏は安土城の築城に利用されるため運び出され、近江湖東文化の一大中心地と言われた百済寺は織田信長の手によって壊滅します。「百済寺は山城の最後の形、安土城は平城の最初の形」と言われ、まさに歴史の大きな変革期を通過した寺でもありました。
山城の最後の形と言われる百済寺は、けっこう歩きます。
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地図を見る長い参道を歩くと、仁王門と大草鞋が見えてきます。ここまで来ると、歩くのも残り僅か。この正面に吊り下げられた大草鞋(おおわらじ)に触れると身体健康・無病長寿のご利益があると古くから伝わっています。
また、入り口を入ってすぐの場所にあった美しい庭園の「喜見院」ですが、実はこの仁王門下の右方にありました。しかし、ここも信長の焼討により焼失し、昭和15年に現在の位置に移転されたのです。かつての場所は静かに遺構だけが残り、場所を変え華やかに復活した喜見院、400年以上の時の流れを感じますね。
写真:旅人間
地図を見る仁王門を過ぎると本堂に到着です。この本堂は1498年に火災、1503年に兵火をうけ、そして1573年には先ほどの喜見院と同様に信長の焼討によって焼失しました。その後、1650年に現在の本堂が建てられました。
この百済寺は、かつて聖徳太子が山中に光を放つ霊木の杉と出会い、根が付いた立ち木のまま刻んだ十一面観音(植木観音)を囲むようにお堂を建てたのが始まり。信長の焼討の前夜、この十一面観音は持ち出され、今も内部の厨子に秘仏として安置されています。
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地図を見る織田信長の兵火で多くを焼失してしまった百済寺ですが、山門から本堂までの参道は戦国時代のポルトガル人宣教師ルイス・フロイスが「地上の天国 一千坊」と絶賛した場所。その長さ、老杉が林立する様、そして苔むした石垣などは当時の名残もあって歴史的なロマンを感じさせてくれます。
この場所の紅葉は穏やかで優しい風情があります。拝観を終え、ゆったりと下り坂を歩き、百済寺における最後の紅葉景色を楽しむのに最適ですよ。
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地図を見る紅葉の名所として知られる百済寺ですが、この歴史ある寺は色鮮やかに染まった木々を楽しむ以上に、この地に刻まれた時代の流れを心に刻みたい。山城の最後の形と言われる百済寺は、何度も足を運びたくなる名刹です。
<基本情報>
住所:滋賀県東近江市百済寺町323
電話番号:0749-46-1036
アクセス:名神高速道路八日市ICから約15分
拝観料:大人600円、中学生300円、小学生200円
2017年11月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2024/3/19更新)
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