「風と共に去りぬ」はここで生まれた!「ミッチェルハウス」とアトランタの歴史

「風と共に去りぬ」はここで生まれた!「ミッチェルハウス」とアトランタの歴史

更新日:2017/11/29 09:42

いしい ひいのプロフィール写真 いしい ひい 元旅行会社勤務、アメリカ旅行ライター、フードコーディネーター
「風と共に去りぬ」はアトランタを舞台にしたマーガレット・ミッチェルによる小説。1936年に出版された後は世界中で売れ、「聖書の次に読まれている」と言われたほどの名作です。その小説が執筆されたアトランタのアパートが、現在「ミッチェルハウス」という記念館に!不朽の名作が生まれた部屋を見ようと、日々多くのファンが訪れます。アトランタの歴史を学べる場所も、あわせてご紹介しましょう。

マーガレット・ミッチェルが「ぼろ屋」と名付けたアパート

マーガレット・ミッチェルが「ぼろ屋」と名付けたアパート

写真:いしい ひい

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「風と共に去りぬ」は日本語にも翻訳され、小説のみならず映画も世界的に大ヒットしたので、日本にも多くのファンがいることでしょう。
その小説が書かれたのはアトランタのミッドタウン、アパートが集まる住宅街の一角。マーガレット・ミッチェルは夫とともに1925年から1932年までこのアパートの一室に暮らし、執筆活動を続けました。今ではこのアパート全体が「マーガレットミッチェルハウス」という名の記念館となり、彼女が暮らしていた当時の様子そのままに復元されています。

ミッチェル自身が皮肉と愛情をこめて「The Dump」(ぼろ屋)と名付けたアパートは、ごく普通の外観を持ち、お部屋も小さめで質素な感じ。ここで世界的名作が誕生したとは信じられないかもしれませんね。

書いては隠した?ミッチェルが執筆した部屋

書いては隠した?ミッチェルが執筆した部屋

写真:いしい ひい

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記念館の中を見学するには、30分おきに実施されるガイドツアーに参加する必要があり、その場で申し込むことができます。約30分程度のツアーではまず、アトランタで生まれたミッチェルの子供時代や、保守的な南部を離れリベラルな北部の大学に行った頃のエピソード、そしてアトランタジャーナルという新聞社の記者だった頃の様子が、写真と共に紹介されます。

そしてアパートの寝室を経て、「風と共に去りぬ」が生まれた部屋へ。ミッチェルはいつも同じ場所にデスクとタイプライターを置いて、執筆活動を続けました。
この場所を好んだのは、窓に面していて明るく、真上にヒーターがあって暖かかったから。たしかに日当たりがよく心地よさそうな空間です。

ミッチェルは夫の薦めで原稿を書き始めたと言われています。南北戦争についての詳しい知識と彼女自身の体験をもとに執筆を続けながらも、小説として出版する意思はなく、書き上げた原稿をベッドやソファーの下に隠したりしていました。
とある出版社の編集者に見出されなければ、あの名作もタンスの肥やしになっていたのかも知れませんね。

書いては隠した?ミッチェルが執筆した部屋

写真:いしい ひい

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1939年公開の映画のプレミア上映会は、アトランタで大々的に行われました。
記念館には、そのときの上映会のシートなどが保存され、出席した映画俳優やミッチェルらの様子も伝えています。華やかなニュースの一方で、プレミアには黒人俳優らが参加せず、当時まだ根強い差別意識が残っていたことがわかります。
また作品そのものが白人至上主義的で奴隷制度を正当化しているとの批判もあり、アメリカ南部の複雑な歴史を感じさせます。

館内にはギフトショップもあるので、ツアーの最後にお土産を探してみましょう。

<Margaret Mitchell Houseの基本情報>
住所:979 Crescent Ave. NE Atlanta, GA 30309
電話:+1-404-249-7015
営業時間:月曜〜土曜10:00〜17:30、日曜12:00〜17:30
アクセス:ダウンタウンから110番バスでPeachtree St & Peachtree Pl下車

風と共に去ったアトランタ

風と共に去ったアトランタ

写真:いしい ひい

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アトランタの歴史を知る上でもうひとつ必見の場所が、「アトランタ歴史センター」。ダウンタウンの北、高級住宅街であるバックヘッドに位置する、全米でも有数の規模の歴史博物館です。

風と共に去ったアトランタ

写真:いしい ひい

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博物館はアート、歴史などテーマごとに見学できるようになっています。なかでも南北戦争についての展示は非常に内容が濃く、歴史の転換点であったことが分かります。
「風と共に去りぬ」でも描かれたように、アトランタは南北戦争の戦場となりました。1864年のアトランタの戦いで補給庫は破壊され、市の全ての建物が焼き払われ、アトランタ陥落。南軍の犠牲者は8,500人。まさにアメリカ南部の白人たちの貴族社会は、風と共に消え去ったのです。

歴史センターでは他にも、この地の伝統工芸から商業都市として発展を続ける現在までの展示があり、アトランタと米南部の歴史を詳しく知ることができます。
ゴルフが好きな人なら、アトランタ生まれで全米を代表するゴルファーとなったボビー・ジョーンズのコーナーも興味深いことでしょう。

館内は非常に広々としていて、ゆっくりと鑑賞することができます。ショップやカフェも併設されています。

豪邸「スワンハウス」も必見!

豪邸「スワンハウス」も必見!

写真:いしい ひい

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博物館見学のあとは、隣接する広大な庭園を是非訪れましょう。緑豊かな庭園には羊たちが過ごすファームもあり、自由に散策することが出来ます。

必見なのはスワンハウス。綿花仲介会社を経営し莫大な富を得たエドワード・インマン氏が、愛妻と過ごすため1928年に建築した豪邸で、アメリカ映画「ハンガー・ゲーム」のロケ地としても知られています。

豪邸「スワンハウス」も必見!

写真:いしい ひい

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お城のようなお宅の中には、寝室、厨房、朝食ルーム、ダイニングルーム、図書館、子供部屋、厨房など、なんとも華麗な居住空間!自由に見学することができるので、順番にお部屋をのぞいてみましょう。

その近くにあるスワンコーチハウスは、ランチタイムのみ営業の優雅なレストラン。ギフトショップも併設しています。

<Atlanta History Centerの基本情報>
住所:130 West Paces Ferry Road NW Atlanta, GA 30305
電話:+1-404-814-4000
営業時間:月曜〜土曜10:00〜17:30、日曜12:00〜17:30
アクセス:ダウンタウンから110番バスでPeachtree Rd & E Paces Ferry Rd NE下車

まとめ

2018年には、南北戦争を臨場感いっぱいに描くシアター「アトランタ・サイクロラマ」がオープンするなど、これからもアトランタ歴史センターの発展は続きます。

おススメのチケットは、Atlanta History Center Tickets。ミッチェルハウス記念館とアトランタ歴史センターの両方を見学できる、お得なチケットです。

2017年11月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2017/11/11 訪問

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