写真:四宮 うらら
地図を見る「流氷と言えば、一般的に網走、ウトロが有名だけど、希少な鳥や動物と遭遇するネイチャーウォッチングなら羅臼をおいて他にありません。知床が世界遺産に登録されたのは、手つかずの山々から海へつながる一連の生態系や、流氷がもたらすプランクトンからクジラまでの食物連鎖があってのことですから」
こう語るのは知床ネイチャークルーズ、エバーグリーン号の船長、長谷川正人さん。
知床半島の東側、羅臼港から19トンのクルーザー、エバーグリーン号で出港し、沖合の流氷が浮かぶ地点めがけて海上を走る。すぐ目の前には北方領土の国後島(くなしりとう)が浮かび、振り向けば雪をかぶった知床連山がくっきり見える。流氷ウォッチングに最高の舞台が用意されているのだ。
この流氷クルーズのおすすめのポイントは、船が大型船ではないので、手を伸ばせば流氷に届きそうなほど間近に見えること。
また、世界中から集まるネイチャーカメラマンや研究者と乗り合わせることも多く、船内はアカデミックな雰囲気。シャッターを切るテンションも知らず知らずのうちにアップする。素人カメラマンだって、きっと渾身の1枚をものにできるだろう。
写真:四宮 うらら
地図を見る知床ネイチャークルーズのエバーグリーン号は流氷をかきわけ、極東ロシアから流氷とともに渡ってきたオジロワシ、オオワシの群れを探索する。
オオワシは巨大な黄色いくちばしと長めの白い尾が特長で、世界のワシの中でも屈指の大きさだ。翼を広げると2メートルもある大型の海鷲が、風切り羽根を翻し、紺碧と純白の流氷上を飛ぶ姿は、まるでイギリス国営放送、BBCが得意とするネイチャードキュメンタリーのよう。その光景がリアルに目の前で繰り広げられるのだから興奮し、シャッターを切る指にも力が入る。2〜3月はかなりの確率(90パーセントくらい)で見ることができる。
途中、イシイルカの群れが、船と伴走することもある。
ツチクジラの一群が潮を吹き上げながら、姿を現すこともある。
ゴマフアザラシが流氷の上にのっかっていることもある。
もちろん自然が相手だから、必ず見られるとは限らないが、そのドキドキ、ワクワク感も流氷クルーズの魅力だ。
予約の際は流氷の状態や天気を確認しておこう。
●知床ネイチャークルーズ
0153-87-4001
北海道目梨郡羅臼町本町27-1「道の駅知床・らうす」裏通り
写真:四宮 うらら
地図を見る網走では流氷観光砕氷船「おーろら」や遊覧ヘリコプターでダイナミックに流氷原を体感することができる。厚さ1メートルもの流氷を砕きながら進む大型船「おーろら」では、船底にあたる氷塊の砕ける音が、お腹に響く迫力だ。
網走の海鮮市場内にあるヘリポートからは、流氷を空から眺める遊覧飛行を実施している。
最大4人まで搭乗できるヘリコプターを使用。当日でも予約なしで乗れるので、流氷の接岸状態や視界を確認してからの搭乗がOK。ちょっと試したい人、じっくり見たい人向けの2つのコースが選べ、 貸切飛行も可能だ。
海を埋めつくす広大な流氷原、「おーろら」が航行する姿や航跡、沿岸沿いの街並みや美しい山々……。この壮大な景色を、ぜひカメラにおさめたい。
●網走流氷ヘリコプター遊覧飛行
網走海鮮市場遊覧案内所(運行管理は北清ヘリシス株式会社)
現地予約・問合せ:090-5813-0699
北海道網走市モコト海岸通り3-4 網走海鮮市場内
大人ひとり4800円〜、小人ひとり3800円〜
平成26年は2/1〜3/19まで(9:30〜16:30、毎日催行)
※天候不良などで欠航する場合あり。
写真:四宮 うらら
地図を見るオホーツク海に一番近い駅と言われているのが、JR釧網本線(せんもうほんせん)の北浜駅。流氷のシーズンには、石炭だるまストーブをのせて「流氷ノロッコ号」が知床斜里〜網走間を走り、この北浜駅にも停車する。
車窓から流氷を眺めるのもいいが、北浜駅からなら流氷、ノロッコ号を一枚の写真におさめることができる。撮り鉄(鉄道写真マニア)ならずとも、この旅情あふれる風景は、ぜひ撮影したいものだ。
駅舎の横には展望デッキがあるので、ここからのアングルもおすすめだ。
列車によっては北浜駅に10分余り停車し、シャッターチャンスに余裕がある場合も。ダイヤを調べておきたい。
●JR釧網本線北浜駅
北海道網走市字北浜365-1
無人駅(常時開放)
●流氷ノロッコ号
知床斜里〜網走 普通810円
2014年は2/1〜2/28、3月も運行予定
主な問合せ先
JR釧路駅:0154-24-3176 (受付時間5:30〜22:30)
JR知床斜里駅:0152-23-2634 (受付時間6:30〜18:00)
JR網走駅:0152-43-2362 (受付時間5:50〜22:30)
写真:四宮 うらら
地図を見る幻想的なアイスブルーの流氷に、より近づきたいなら、流氷の上を歩いてしまおう! いや、流氷の海に浸かることだってできるのが、ウトロで催行される流氷ウォークだ。
プログラムを催行するスタッフが全員、地元の現役漁師というのが「MEPS(マリンエンタープライズプロジェクト知床)」。
潮の流れや満ち引き、海底の状況などウトロの海を知りつくしているので、安全面でも心強い。
参加者は「MEPS」が用意する専用の防寒・防水型ドライスーツを服の上から着用。保温と浮力が考慮されていて、手袋も貸してもらえるので、寒さ対策は万全。凍結するウトロ港をベースに、歩いて流氷へアプローチする。
流氷を歩き進むうちに、足元がゆらりと揺れる。氷がきしみ、キュ―ン・キュ―ンとイルカが鳴くような音が聞こえる。ミシミシと亀裂が入る……。とにかくおっかなびっくりでスリル満点。
氷の上をドンドン飛び跳ねて氷の割れる瞬間を楽しんだり、ラッコのようにシャーベット状の海に浮かんだり、流氷とともにやってくる「氷の妖精」クリオネを探したり。防水機能のあるカメラがあれば、撮影も思いのまま。
自然の中で夢中になって遊べる流氷ウォークは、想像以上にエキサイティングだ。
●MEPS(マリンエンタープライズプロジェクト知床)
0152-22-5288
北海道斜里郡斜里町ウトロ東117番地 ウトロ漁業協同組合 旧漁協施設
営業時間:5:30〜17:00 / 定休日:期間中は無休(1月〜3月末)
参加料金:5000円(ドライスーツなどレンタル料込)
6:00/9:00/11:00/13:00/15:00の設定時間に随時プログラムスタート
※流氷の状況や天候によってフィールドは異なる。
もしも地球規模の温暖化がすすめば、日本では流氷が見られなくなってしまうかもしれない。そうなる前に、ぜひ流氷を見る旅に出かけよう。
接岸状態など情報収集には「流氷サイト」が参考になる。
ただし、流氷は気まぐれ。
沿岸をおおい尽くしていた流氷が、風が吹き、たった一晩で視界から姿を消すこともあるし、またその逆もある。
流氷に会えても会えなくても、きっと自然の偉大さを感じることができるだろう。
この記事の関連MEMO
- PR -
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
条件を指定して検索
(2024/9/17更新)
- 広告 -