写真:藤井 麻未
地図を見る北海道きっての豊かな自然が広がるニセコ。爽やかな雑木林が広がる中を車で走っていると、控えめな看板が現れる。坐忘林のコンセプトは「自然を感じて日常を忘れること」に他ならない。その通り、雄大な自然に溶け込むように佇むモノトーンな宿の姿は周囲の林と一体化し全体像が分からない。手付かずの森林は宿の建物を飲み込むようにどこまでも続いている。そんな佇まいからもここで非日常を過ごすことへの期待感が高まってくる。
写真:藤井 麻未
地図を見る宿へ足を踏み入れると、そこにはモノトーンに統一された世界が広がっている。まるで近代芸術を展示する美術館にでもやって来たかのようなデザインは、一見シンプルでモダンでありながらそこはかとなく漂う温もりが実に心地良い。
エントランスには焚火がチロチロと明かりを灯し、外からやって来たゲストを温かく歓迎する。静寂が漂う館内ではスタッフの動きさえも計算し尽くされている。過剰なサービスは無いが、決して不足の無い心遣いがゲストをごく自然にリラックスさせてくれるのだ。ゲストはまずウェスカムドリンクとして丁寧に点てられた抹茶と干菓子を振舞われる。心身共に静けさに包まれるそのひとときが嬉しい。
写真:藤井 麻未
地図を見る上述した通り坐忘林のコンセプトは「自然を感じて日常を忘れること」であるが、館内のあちらこちらにはガラス張りの大きな窓が配置されており自然との距離が極めて近い。広々としたリビングではゲストが思い思いに過ごすことができるようソファーやテーブルがゆったりと配置されている。ガラス張りの窓からは木々が茂る風景が眺められ、隣のバーカウンターから好みのドリンクを持って来ても良い。暖炉に灯った火は暖かく、何時間でも過ごしていられそうだ。
写真:藤井 麻未
地図を見る館内にはゆったりとした時を過ごすために様々な趣向が凝らされているが、中でもライブラリーは自分と向き合いながら、あるいは物思いに耽り、気に入った本を読みつつ時を過ごすのにピッタリなスペースだ。仄暗い照明やシックなインテリアが心を落ち着け、共有スペースでありながら何故かプライベートな書斎に籠っているような感覚にさせてくれる。
写真:藤井 麻未
地図を見る坐忘林の客室はわずか15室のみ。全て独立した部屋であり、いずれも70平米以上のゆったりとした広さがある。内装は至ってシンプルであるが、伝統とモダンが絶妙にマッチした空間は非常に気持ちが良い。
客室にいながらにしてニセコの大自然を体感できるようここにもガラス張りの窓が効果的に配されている。ガラス一枚を隔ててすぐ側には手付かずの自然が存在する。人間と自然との境界線が曖昧になり、朝陽を浴びて起き日没と共に休む。自然の中で繰り返されてきた当たり前の営みを改めて体感できる。
写真:藤井 麻未
地図を見る坐忘林での醍醐味のひとつに温泉がある。全客室には源泉かけ流しの内湯、露天風呂が備えられており上質な温泉を完全プライベートに使うことができるのだ。石をくり貫いて造られた野趣溢れる浴槽に浸かり、木々のそよぐ音に耳を傾けているだけで日常の様々なしがらみから解き放たれるような感覚に。
写真:藤井 麻未
地図を見る坐忘林では、宿泊料金に朝食と夕食が含まれている。外へ食べに出ることなく館内のレストランにて坐忘林ならではの美食を頂くことができるのだ。かつて設計を手掛けるエンジニアであったという異色の経歴を持つ料理長は北海道出身。地元の自然の恵みを使い、素材の形、色、味を極限まで生かし切った一皿一皿は実に滋味深く繊細だ。伝統とモダンが絶妙に融合したオリジナルの「キタカイセキ」はシェフ独特の感性が光る。
写真:藤井 麻未
地図を見る朝は伝統的な和朝食だが、旬の味覚をふんだんに取り入れた北海道産の食材にこだわっている。ここでもガラス張りの窓からは白樺の木々が爽やかな影を伸ばし、清々しい朝のひとときを過ごすことができる。
写真:藤井 麻未
地図を見る自然に溶け込むような佇まいの坐忘林は、外観だけでなく実際に自然に配慮した取り組みも行っている。湧き出る温泉は再生可能エネルギーとして館内の床暖房や融雪施設に使われ、建築時に出た半端な木材は無害な成分でコーティングされてデザインの一部として組み込まれている。湧水も館内の冷蔵設備に使われるなど環境に配慮したサステナブルな運営を実践している。
ニセコの大自然にポツンと佇む秘境宿「坐忘林」。慌ただしい生活の中ではなかなか心身共にゆったりと時間を過ごすのが難しい。しかしひとたび坐忘林に足を踏み入れると、林の中で静かに座るように自分と向き合い、そして日々の煩雑なことを全て忘れてしまうことができるのだ。
そこにあるのは豊かな自然と生身の自分自身のみ。快適に過ごしながらも自然との境界線を曖昧にする様々な仕掛けが隠れているからこそ、極上のリラックス効果が得られる。究極の贅沢とは、全てを忘れ大自然の一部になることなのかもしれない。
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(2024/3/28更新)
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