寺と神社まとめて初詣!お風呂やバラ園もある奈良「霊山寺」

寺と神社まとめて初詣!お風呂やバラ園もある奈良「霊山寺」

更新日:2023/11/22 19:29

乾口 達司のプロフィール写真 乾口 達司 著述業/日本近代文学会・昭和文学会・日本文学協会会員
奈良市の初詣先といえば、みなさん、どこを思い浮かべるでしょうか?春日大社?東大寺?今回、ご紹介する霊山寺は奈良時代創建の古刹。もちろん、お正月も初詣先としてたくさんの参拝者で賑わいます。しかも、お寺でありながら、境内には神社もあるので、お寺と神社を一緒に参拝することができるのです。今回はさまざまな魅力を有する奈良市・霊山寺のお正月風景をご紹介しましょう。

お寺なのに鳥居!?奈良時代創建の霊山寺

お寺なのに鳥居!?奈良時代創建の霊山寺

写真:乾口 達司

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地元で「れいざんじ」と呼ばれることもある「霊山寺(りょうぜんじ)」は奈良市の西部、富雄川沿いに位置する寺院。寺伝によると、小野妹子の子である小野富人が現在の霊山寺の地に隠棲し、鼻高仙人あるいは登美仙人と称したことにはじまります。霊山寺の山号「鼻高山」はそれにちなみます。

神亀5年(728)、聖武天皇の皇女で後の孝謙・称徳天皇が病に倒した折、聖武天皇の夢枕に鼻高仙人が現われ、当地にまつられている薬師如来の功徳を説いたため、行基菩薩が祈願したところ、病が平癒。その縁で、天平6年(734)、聖武天皇の命によって寺院が建立されました。「霊山寺」の名は、後に東大寺・大仏の開眼供養で導師を務めたインド僧・菩提僊那がみずからの故郷にある霊鷲山(りょうじゅせん)に似ていることから名付けたものです。

写真は境内の入口付近を撮影したものですが、お寺でありながら鳥居があることを不思議に思う方もいらっしゃるでしょう。これは境内に十六所神社と呼ばれる社殿があることにちなみます。つまり、霊山寺に初詣をすると、お寺と神社、両方を一挙にお参りすることになるのです。まさしく一挙両得ですよ。

国宝の本堂や重要文化財の十六所神社

国宝の本堂や重要文化財の十六所神社

写真:乾口 達司

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奈良時代創建の古刹だけあり、境内には貴重な文化財が点在しています。霊山寺に初詣をした際は、数々の文化財にも目を向けましょう。

写真は本堂。入母屋造・本瓦葺きで、弘安6年(1283)に建てられたもの。鎌倉時代に建てられた和様仏堂の貴重な例として、現在、国宝に指定されています。

国宝の本堂や重要文化財の十六所神社

写真:乾口 達司

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写真の画面左手、格子の向こう側が内陣。内陣に安置された厨子のなかには、国の重要文化財に指定されている秘仏の本尊・薬師三尊像や持国天、多聞天像、十二神将像がまつられており、お正月の三が日のあいだはご開帳されています。常時は拝観の叶わない仏さまゆえ、お正月に参拝することをお勧めします。

国宝の本堂や重要文化財の十六所神社

写真:乾口 達司

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こちらは先に触れた十六所神社。本堂裏手の小高い山の中腹にあり、南北朝時代に建立されたもの。やはり国の重要文化財に指定されています。

お正月ならではの嬉しい配慮!御神酒や入浴施設

お正月ならではの嬉しい配慮!御神酒や入浴施設

写真:乾口 達司

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お正月ならではの魅力といえば、境内に用意された写真の御神酒をはずすわけにはまいりません。御神酒は誰でもいただけますが、飲み過ぎには注意しましょう。もちろん、お車で参拝する方は飲んではいけませんよ。

お正月ならではの嬉しい配慮!御神酒や入浴施設

写真:乾口 達司

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御神酒だけではありません。「初福茶」と呼ばれるお茶の接待(有料)もあります。参道にご覧の案内板が出ているので、接待を受けようと思う方は案内板に従ってください。

お正月ならではの嬉しい配慮!御神酒や入浴施設

写真:乾口 達司

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とりわけ、霊山寺ならではの施設として紹介しておきたいのは、ご覧の入浴施設。「薬師湯殿」と呼ばれており、有料で誰でも利用することができるのです。

お寺に入浴施設とは意外な組み合わせのように思うかも知れませんが、これは霊山寺のもとを作った小野富人が、当地にて病人を癒すための薬湯を設けたという故事に由来するもの。霊山寺の由緒と深いかかわりのある薬師湯殿のお風呂につかり、お正月気分を満喫してみてはいかがでしょうか。

誰でも参列可能!参拝者が鐘をつく様子

誰でも参列可能!参拝者が鐘をつく様子

写真:乾口 達司

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お正月ゆえ、鐘もつきましょう。霊山寺では除夜の鐘もつかせていただけますが、お正月中も可能。それほど並ばずにつくことができますよ。

誰でも参列可能!参拝者が鐘をつく様子

写真:乾口 達司

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境内にはさまざまな仏像も見られます。こちらは干支の守り神を表したもの。ご自身の干支を示す仏さまにお参りください。

霊山寺のもう一つの名所!境内のバラ園

霊山寺のもう一つの名所!境内のバラ園

写真:乾口 達司

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霊山寺といえば、近郷近在では、バラの名所としても知られています。境内にはなんとバラ園まであるのです。しかし、真冬のバラ園なんか寒々しいだけではないか。そんな思いを持つ方もいらっしゃるでしょう。確かにバラといえば、5月から6月にかけて花が咲くというイメージがありますが、実は冬に咲くバラもあるのです。

写真は「ジュピレ・デュ・プリンス・ドゥ・モナコ」という品種。その名のとおり、モナコ王国の国旗を連想させる赤と白から成る花弁ですが、まさかお正月にバラを目にするとは、思いも寄らないでしょう。それだけにバラ園にも足を運び、冬バラの意外さをご堪能ください。

霊山寺のもう一つの名所!境内のバラ園

写真:乾口 達司

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こちらは「ジョン・ウォータラ―」という品種ですが、お正月の華やいだ雰囲気とバラの艶やかさ、絶妙にマッチしていると思えませんか?

初詣には霊山寺へ

霊山寺、いかに初詣向きのお寺か、おわかりいただけたでしょうか。奈良の初詣先といえば、春日大社や東大寺といった有名どころを思い浮かべるでしょうが、奈良には霊山寺のような古刹もあること、初詣によって認識していただければ幸いです。お正月は霊山寺で新たな魅力を発見してみてください。

2023年11月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2017/01/01 訪問

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