「め」のお薬師様!? 薬師信仰の総本山 出雲「一畑薬師」

「め」のお薬師様!? 薬師信仰の総本山 出雲「一畑薬師」

更新日:2017/12/27 11:08

ふるかわ かずみのプロフィール写真 ふるかわ かずみ 神社・パワスパ(温泉)巡りスト
出雲といえば出雲大社を思い浮かべる人が多いと思いますが、大社から東へ車で約40分、標高200メートルの山上に全国でも珍しい「目のお薬師様」として知られる薬師信仰の総本山、通称「一畑薬師」があります。目のご利益を求め全国から参拝者が訪れる一畑薬師とは一体どんなお寺なんでしょうか。

1100年の歴史を持つ薬師信仰の総本山

1100年の歴史を持つ薬師信仰の総本山

写真:ふるかわ かずみ

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薬師とは薬師如来の略で、病気を治す薬の仏様として知られています。ここ一畑薬師は中でも特に目のお薬師様として古くから信仰を集めてきました。なぜ目の薬師様なのか・・それは894年、漁師の与市(よいち)が日本海で薬師如来のご本尊をすくいあげてまつると母親の目が治ったことから、それ以来「目のお薬師さま」として祀られるようになりました。
ここ一畑薬師はその1100年という歴史からも、全国の一畑信仰の総本山として篤く信仰を集めています。

本堂で参拝される際には、薬師如来のご真言を3回唱えるといいでしょう。
「おん ころころ せんだり まとうぎ そわか」

1100年の歴史を持つ薬師信仰の総本山

写真:ふるかわ かずみ

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お寺のあちこちにはそんな目のご利益を求め、「め」と書かれた絵馬がずらりとかけられています。こちらでは寺務所の受付で祈祷(3000円〜)も受け付けてもらえますし、遠方の方でもインターネットからも申し込みが可能です。

祈祷は眼病に関することはもちろん、戦国時代幼児が助かったことから、こどもの無事成長のご利益にも篤いということで、主にこの2つに関することで祈祷する参拝者が多いようです。

1100年の歴史を持つ薬師信仰の総本山

写真:ふるかわ かずみ

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境内にはあちこちに目に関するオブジェも見られます。水木しげる先生作の「ゲゲゲの鬼太郎」に登場する「目玉おやじ」や「のんのんばあとオレ」などのオブジェにも出会えます。

実在したという「のんのんばあ」は熱心な一畑薬師の信者でもあり、その深い信仰心がその後の水木しげる先生の人格形成にも影響を及ぼしたとされています。すでによく漫画を知っている人も知らない方も、より興味を持つきっかけになるかもしれませんね。

リアルな十六羅漢の表情を間近でどうぞ

リアルな十六羅漢の表情を間近でどうぞ

写真:ふるかわ かずみ

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本堂の階段おりてすぐ脇にずらりと並ぶ十六羅漢。羅漢とは「阿羅漢」の略といわれ、サンスクリット語の「アルハット」が語源で、悟りをひらいた人とされています。十六羅漢とは、お釈迦様の弟子の中でも特に優れた代表的な16人を指し、その教えを護り伝えた高僧でもあります。

その十六羅漢を一体一体間近でみるとその顔の表情や仕草がリアルで、今にも動きだしそうです。おのおのどういう性格でどういう特徴があるのかも書かれていて、現代にも通ずる教訓など、どれも今一度己を振り返るいい機会にもなります。

リアルな十六羅漢の表情を間近でどうぞ

写真:ふるかわ かずみ

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中でもこちらの「注茶半諾迦(ちゅだはんたか)」、別名「周利槃特(しゅりはんとく)尊者」は、手に持った大きなはたきが目に留まります。それもそのはず、此の方は赤塚不二夫先生の漫画「天才バカボン」に出てくる「レレレのおじさん」のモデルになった僧だとか。

自分の名前を忘れるほど頭が悪かった・・ということで、お釈迦さまが1本のほうきを渡して「塵(ちり)を払え、垢を除け」と唱えて精舎の掃除を命じたそう。ひたすら掃除を続け、汚れが落ちにくいのは人の心も同じということを悟ったと伝えられています。

霊水で作られた香り高い御霊茶

霊水で作られた香り高い御霊茶

写真:ふるかわ かずみ

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一畑とは本来お茶畑で、一畑の「一」はそのお茶畑の番号だったと言われています。その畑でとれた茶葉は一定期間、薬師本堂にお供えをしご祈念をかけたご霊茶として一般にも販売されています。さきほどの「のんのんばあ」も昔から愛飲していたというお茶です。

ほうじ茶ですが、通常のほうじ茶とは香りが微妙に違い、飲むのはもちろん瞼につけたり、仏壇や神棚にお供えしたりと活用もいろいろです。

ティーパックタイプ(1袋20パック入り)と、茶葉タイプで煮出すタイプとあり、いずれも500円。自由に賽銭箱にお金を入れて持ち帰ることができます。

霊水で作られた香り高い御霊茶

写真:ふるかわ かずみ

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またそのすぐそばには「お茶湯(おちゃとう)」を無料でいただくこともできます。この「お茶湯」は薬師堂の井戸から汲んだお水でさきほどの御霊茶を沸かして毎朝祈念したもので、いただく際はきちんと作法がありますのでそれに準じていただいてください。

その場で飲むだけもいいですし、このお茶湯自体を専用の徳利に入れて持って帰ることもできます(徳利1本500円)。

霊水で作られた香り高い御霊茶

写真:ふるかわ かずみ

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本堂すぐ脇にまつられているのが薬師如来の石像。こちらの地下に井戸がありここからお水を汲み上げた御霊水は、如来像の左手の上の薬壺から昏々と湧き出ています。普段は止まっていますが、人が近づくと一定の時間お水が出てきます。先ほどのお茶湯はこちらの御霊水で沸かしたものです。

秋には見事な紅葉も

秋には見事な紅葉も

写真:ふるかわ かずみ

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秋には見事に色づいた紅葉も見事です。こちらの写真はコテージ横の駐車場から本堂に向かう道沿いの紅葉ですが、頭上を覆いかぶさるほどの紅葉は心を洗われるようです。
また、天気がいい日には標高200メートルのこの場所から宍道湖を眺めることもでき、世俗と切り離された空気を感じることができるでしょう。

一畑薬師の基本情報

住所:島根県出雲市小境町 803番地
電話番号:0853-67-0111
アクセス:◆車の場合:出雲空港から約20〜25分/出雲大社から約40〜50分/宍道ICから約25〜30分 ◆電車の場合:一畑口駅(一畑電車)よりバスもしくはタクシーで10分

2017年12月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

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掲載内容は執筆時点のものです。 2017/12/04 訪問

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