おもてなしのこころが凝縮!繊細な気遣いのある、京都「桂離宮」で癒される

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おもてなしのこころが凝縮!繊細な気遣いのある、京都「桂離宮」で癒される

おもてなしのこころが凝縮!繊細な気遣いのある、京都「桂離宮」で癒される

更新日:2014/02/04 14:24

巷ではどこもかしこも「おもてなし」流行りの昨今だが、千年の都である京都は誰もが知る筋金入りのおもてなしどころ。なかでも「桂離宮」は、そのこころがギュッと凝縮された世界に冠たる日本建築である。今回はその(細かい所の)ごく一端をご紹介する。

エントランスから、いきなり、さりげなく「おもてなし」

エントランスから、いきなり、さりげなく「おもてなし」
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桂離宮の原型は1615年ごろ起工された「下桂の茶屋」または「瓜畑のかろき茶屋」と呼ばれる簡素なものであった。これは後陽成天皇の弟である八条宮初代智仁(としひと)親王が宮家の別荘として建てられたものである。その後、息子の智忠(としただ)親王によりリニューアルされ、1662年ごろにはほぼ現在の様な回遊式庭園を備えた山荘の姿になったという。

また「桂離宮」の名は1883年に宮内省所管となってからのものだとか。名は変わっても、火災に見舞われることもなく、創建からの姿を伝えている桂離宮は、まさに日本の至宝と言えよう。

まずはそのエントランスから。「なんだこの地味な門は?」と言うなかれ。これは桂離宮の北側にある表門で、賓客を迎える時にのみ開かれる、由緒正しい門なのだ。我々一般庶民は、ここから近づくことも許されない。実は、門からこちらまでの道のりは、少しずつだが広がっていて、入ってくると実際よりも短い距離に感じるのだとか。もちろん出て行く時はそれよりも長い距離に感じる。

これは、客人をお迎えするときは近く感じていただいて「おまちしておりました」という気持ちを表し、お送りするときは「お別れを名残り惜しく思います」という気持ちを表しているという解釈ができるのだとか。分かりにくっ! てなもんだがこれも日本人の奥ゆかしいおもてなしのこころか。

ここはトイレまでみやび。「外腰掛」の雪隠を覗く

ここはトイレまでみやび。「外腰掛」の雪隠を覗く
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表門から続く御幸門を出て左に向かうと、外腰掛という茅葺寄棟造りの風雅な建物がある。ここに腰を掛けると薩摩島津藩から献上されたという蘇鉄が植えられた築山を眺めることができる。

また、ここには、建物に向かって左方に雪隠(トイレ)がある。戸は閉じられているが、上部に隙間があるので内部の様子を覗うことができる。うーん、なるほどトイレだ。しかも風情がある。さすがに桂離宮である。

しかし案内の方の話では、実際に用を足すよりも、これから茶室に赴くにあたり身づくろいをする場所として使われることが主であったそうである。いわゆる化粧室というところか。ポジション的ににこういう設備を用意するというのも、細やかな気遣いが感じられる。

足元を照らす、隠れキャラ「燈籠」

足元を照らす、隠れキャラ「燈籠」
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書院や茶室など、建物が注目されがちであるが、見落としてはならないのが足元を照らす「燈籠」(とうろう)である。庭園内には30基足らずの燈籠が各所に配置されているが、一つとして同じ形状のものはない。

一般的な燈籠は、傘状になった上部の上に、さらに石が一つ乗っているのが普通であるが、ここの燈籠にはそれが無いものがある。これは雪が積もった時に美しく見せる為の工夫なのだとか。さらに明りのこぼれる窓の形も様々で我々の目を喜ばせる。多様な意匠を持ち、巧みに配置された「燈籠」を見逃してはもったいない!

ハッと目の覚めるサプライズな「松琴亭」にサービス精神を感じる

ハッと目の覚めるサプライズな「松琴亭」にサービス精神を感じる
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様々に工夫の凝らされた桂離宮であるが、全体としては簡素であり、これ見よがしの派手さはない。

しかしこの「松琴亭」は別である。一見すると他の茶室と変わらぬひなびた建物に見えるが、一の間に入った途端その印象は覆される。斬新にして大胆なこの藍色の市松模様はどうであろうか、写真では伝わりにくいかもしれないが、渋い色合いのものばかりを見てきた目に、その鮮やかさは絶大なインパクトを与える。

今は若干日に焼けて、いささか色合いもあせているようだが、これを初めて見た、いにしえの客人たちの驚きは如何ばかりであったかと容易に推察されるのである。
遊びごころ満載のサービス精神。おもてなしの真髄をここにも見ることができる。

参観が終わったら「中村軒」でちょこっと休憩

参観が終わったら「中村軒」でちょこっと休憩
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桂離宮の参観を終え、ふたたび北側から外に出る。右方へ進み桂川沿いの道を「桂垣」という生えている竹を中ほどから折り曲げ、それを編んで造っているという見事な生垣を眺めながら南に進むと、「中村軒」という風情のある茶屋がある。

団子や餅など、持ち帰りのものも様々に揃えられているが、ここはやはり趣のある店内でお茶を一服といきたいものだ。店頭で売られているものを頂くこともできるし、メニューを眺めて「あべかわ餅にしようか、ぜんざいにしようか」と悩んでみるのもまた楽しい。なにより、心地よい疲労に満たされた体にサービスのお茶が沁みわたる。

日本人の美意識とおもてなしのこころ

参観は全て、申込制。参観希望月の三カ月前の1日からである。参観者数の制限があるのでハイシーズンには抽選となる。インターネットでも申し込めるが、どうやら人数の枠が少ないらしくすぐに定員オーバーになってしまう。往復ハガキで申し込む方法もあるのでぜひ試されたい。書式は皇室の公式サイトに詳しく載っているのでそちらを参照のこと。

桂離宮の参観はおおよそ一時間余り。案内の方と皇室財産を守る監視の方の二名が同行する。いずれの方にも離宮に対する深い愛情と責任が感じられた。
とにかく再三注意されたのは、景色に気をとられて、池に落ちたり、足を捻ったりすることのないようにということ。飛び石などの不安定な場所も多いので、履物には気をつけて。行程は季節やその人の体力によってハードに感じられるかもしれない。山地水明をかたどった庭であるから、案外アップダウンがあるからだ。
桂離宮は一年を通して様々な顔を見せる。花の頃、紅葉の頃が良いのは無論であるが、それ以外の季節でもここの魅力は色褪せない。案内の方の「あくまで個人的な趣味ですが」という話だが、梅雨の時期の雨がそぼ降る庭園の苔が美しいことといったらないらしい。

いずれにしても一度訪れたらまた行きたくなる。歩き続けた疲れも忘れてしまう。ここはそんなさわやかな印象を残す、おもてなしごころ満載の癒しの空間である。

掲載内容は執筆時点のものです。 2014/01/16 訪問

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