路面電車一日乗り放題切符で大坂あきんどの足跡を辿る旅

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岡本 真紀のプロフィール写真 岡本 真紀

大阪は、海外から買い物目当てにやって来るほど商店が立ち並ぶ商人(あきんど)の町。その歴史は、大阪が「なにわ」と呼ばれた頃、商人が九州や北海道の遠方へ出向き、簡単に手に入らない産物を船で持ち帰って売りさばいたことに始まります。今日の大阪の活気は、当時の商人が作り上げたのです。
大阪の下町を走る路面電車でこの商人達の足跡をたどることができます。この商人達の足跡を、路面電車に乗ってたどりましょう。

なにわの路面電車で出発

なにわの路面電車で出発

写真:岡本 真紀

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出発駅は天王寺。今や日本一の高さを誇るあべのハルカスがあり、大阪有数の繁華街です。しかし、かつて飛鳥時代には寺社が建ち並んだ神聖な地域でした。
今回乗車する阪堺電車は、大阪市内と堺市内を結ぶ大阪で現在唯一の路面電車です。電車は電化されましたが、開通当時は馬車鉄道で、今なおゆっくり走る電車は味わいがあります。
一日乗り放題切符「TAKE TAKE(てくてく)チケット」は600円で、何回でも乗車できるので、沿線の名所を見に行くにはとってもお得です。

なにわの路面電車で出発

写真:岡本 真紀

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大阪唯一の路面電車は人気があって、路線の各ポイントで鉄道ファン達がレンズを向けています。特に、昔ながらのレンガ色がペイントされた年代物の車両が運行されています。時には、車内が居酒屋仕様の特別列車も走っています。
ゆったりとした速度、小柄な車体で道路上を走るので、アマチュアカメラマン達も臨場感のある電車写真を撮ることができます。外観を見るためだけに遠方からやって来る人も多いです。

なにわの路面電車で出発

写真:岡本 真紀

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今回おススメする旅は、最初に下町の街並みの景色を楽しんで終点の浜寺公園駅を下車して、日本の名松100選を見るところから始めてみます。浜寺公園駅へは天王寺から約50分。駅の真正面が公園の入口になります。
日本最古の公共公園となる浜寺公園。この公園の名松林は、18世紀に防風林として植えられたのがはじまりです。松林のすぐそばが海岸線で、商人達の船がそこまでやってきていたのです。
現在では、松林の向こうには泉州工業地帯があって、日本でも有数の工業地帯となっています。昔も今も産業の場所というのがわかります。

船の旅路を守る船待神社(御陵前駅)

船の旅路を守る船待神社(御陵前駅)

写真:岡本 真紀

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浜寺公園駅から天王寺方面に戻ること5駅。御陵前駅を下車して浜寺公園方向を線路沿いに約3分歩くと、右手に船待神社が現れます。この神社は、菅原道真が太宰府に下る際の船を待つ間、天穂日命を祀ったことから創建されました。
今では、菅原道真も祭神として祀られた天満宮です。海に近い事もあって、「湊の天神さん」として有名です。

船の旅路を守る船待神社(御陵前駅)

写真:岡本 真紀

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紀州街道沿いのこの神社は、紀州、四国、或いは全国を行き来する商人が通った場所。だから、旅の安全を参りに沢山の人が訪れました。菅原道真が船を待った場所であることから、特に船旅をする商人達が立ち寄ったのでしょう。
また、古くは周辺の村々の民の健康や豊かな生活を支えるためのに少名彦神社や稲荷神社も祀られています。そして、神社では珍しい水掛不動があります。大坂への入口となる街道沿いで、「なにわ」の賑わいを支えた神社の一つと言えます。

船の旅路を守る船待神社(御陵前駅)

写真:岡本 真紀

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もう一つご利益があるのは、菅原道真が腰をかけた石が残されています。お参りに来た人は、誰でも座れます。本殿に向かって座り、手を合わせると、天神さんのご利益がありますので、是非みなさんも。

商人の健康の守り神を祀る菅原神社(大小路駅)

商人の健康の守り神を祀る菅原神社(大小路駅)

写真:岡本 真紀

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御陵前駅から3つめの大小路駅を下車し、紀州街道沿いに天王寺方面へ歩いて、少し南に入った商店街沿いに菅原神社があります。産業、養蚕業の神様、天穂日命を祀ると共に、天神さんとして建てられました。
鳥居の奥の随身門(ずいしんもん)は、神社が焼失した際にも難を逃れて、今日大阪の有形文化財となっています。朱色の味わいある門は時代を感じさせます。

商人の健康の守り神を祀る菅原神社(大小路駅)

写真:岡本 真紀

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今から千年以上前に、大宰府から菅原道真が配流した木像が流れ着き、天台宗の僧侶がご神体として祀るために建立しました。菅原道真も祭神であるので、今や連歌や和歌の会も開かれていたり、受験生がお願いする天神さんでもあります。他に、境内には、商人が大切とする恵比寿さん、お稲荷さんもあります。
随身門は焼失を免れましたが、境内は大火と戦で二度の消失にあっています。その度に近隣の民によって立て直しがされ、商人や庶民の拠り所となる神社だったことがわかります。

商人の健康の守り神を祀る菅原神社(大小路駅)

写真:岡本 真紀

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天神さんだけでなく、少名彦の神も立派なお社もあります。この神様は、紀州街道の旅籠に祀られてていた薬祖神社を境内に移しました。11月23日には薬祖社例祭(神農祭)が行われて、青竹酒や長寿ぜんざいが振る舞われます。
薬商人や商人や町民達の健康を守る重要な神様であったと言えます。

なにわオリジナル、鉄砲鍛冶の為の高須神社(高須神社駅)

なにわオリジナル、鉄砲鍛冶の為の高須神社(高須神社駅)

写真:岡本 真紀

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大小路駅から5駅の高須神社駅近くの線路脇にあり、駅からは赤いこじんまりした鳥居が見えているのが高須神社。元は、稲荷神か始まりました。
この辺りは、大阪冬の陣以降に徳川家から拝領した土地で、大名芝辻氏が鉄砲刀鍛冶師たちの屋敷を建てて将来の戦に向けて備えていました。鉄砲が日本に伝来後、商人によって堺に持ち込まれてからは、主力の商売品として独自の品物が作られたのです。鉄砲刀鍛冶の守り神がこの神社に祀られています。

なにわオリジナル、鉄砲鍛冶の為の高須神社(高須神社駅)

写真:岡本 真紀

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摂社は、一列に並べたスタイリッシュなデザインのお社です。わかりやすく各摂社説明がつけられています。
天満宮をはじめ、天津神霊宮、萬願石宮・歓喜天宮・弁財天宮、淡島神宮・水児供養宮、白玉龍王宮、大地主宮・三輪明神宮、天白稲荷社・末廣稲荷社・御剱稲荷社が祀られています。

摂津国の一の宮、住吉大社(住吉大社鳥居前駅)

摂津国の一の宮、住吉大社(住吉大社鳥居前駅)

写真:岡本 真紀

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さらに5駅天王方面に戻ると、道路の真ん中の駅、住吉鳥居前駅です。大きな鳥居が駅の前に見えます。ここは、もう大阪市内で商業の中心地に入っています
摂津の国の一の宮として全国的に名高い住吉大社。この辺りは、かって海であった事から、航海の神様を祭神とします。また、この地を参られて三韓遠征に行かれた神功皇后が無事ご帰還されたので、神功皇后も鎮座されています。

摂津国の一の宮、住吉大社(住吉大社鳥居前駅)

写真:岡本 真紀

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海だけでなく、なにわの中心地にも近かかったこの地では、他業種の商人の為の神様が祀られています。その一つが、文学や和歌の神様。万葉集や古今和歌集にも詠まれた住吉さんには、柿本人麻呂も祀られています。
和歌の神様に肖って、江戸時代に大阪近隣の書籍商人達が「住吉御文庫」を作り、書籍を奉納しています。

摂津国の一の宮、住吉大社(住吉大社鳥居前駅)

写真:岡本 真紀

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また、祭神イザナギノミコトは禊祓の神であることから、「清め塩」が人気です。粗塩と精製塩があり、社務所で購入できます。
今だに、なにわの商人達も住吉さんのお清めの塩を使い、お店に置きあるいは食事に使うほど、商人に欠かせないものとなっています。

路面電車でラクラクと

昔は、徒歩か船で移動した商人達の辿った道を、今で路面電車でゆっくりと楽に移動できます。民家や道路の直ぐそばを走るので、大阪の町を歩いている感覚に近くて、とても新鮮ですよ。
かつて、なにわの繁栄の象徴であった路面電車で、あきんどが願掛けをした場所を巡って、なにわの活力をもらってみてはいかがでしょうか。

掲載内容は執筆時点のものです。 2017/12/16 訪問

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