まるで水墨画!高松市の本格山岳行場「五剣山」

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まるで水墨画!高松市の本格山岳行場「五剣山」

まるで水墨画!高松市の本格山岳行場「五剣山」

更新日:2017/12/25 21:04

春野 公比呂のプロフィール写真 春野 公比呂 歴史研究家、郷土文筆家、郷土登山家

香川県高松市屈指の観光地・屋島やその周辺から東方を見ると尖峰群がそびえ立っていますが、それは四国霊場・八栗寺の山号にもなっている五剣山です。寺付近から山を仰ぐと水墨画のような五つの峰になっており、各峰に弘法大師が剣を埋め、総高4mの磨崖仏を彫っています。修験の本格的行場道も通っているのですが、落差50m以上の垂直の梯子等がある反面、大展望を誇る箇所も複数あるので楽しく「修験登山」を体験できます。

弘法大師と天狗がお迎え

弘法大師と天狗がお迎え

写真:春野 公比呂

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五剣山の五峰は西から一の峰、二の峰と続き、五の峰までありますが、五の峰の山頂部は1707年の宝永地震によって崩壊し、平らになっています。最高所は標高375mの四の峰です。行場の順路は一の峰からで、登山口は中腹に建つ四国八十八ヶ所第85番札所・五剣山観自在院八栗寺境内にあります。

八栗寺には麓からレトロティックな八栗ケーブルが上がってきていますが、マイカー参拝客も多数おり、路駐しています。が、無料駐車場は有料駐車場の手前に整備されているので、そこに駐車するようにして下さい。
かつて八栗寺境内は展望が悪かったのですが、2010年頃、境内の南端に石像の「お迎え大師」と展望所が整備されたため、市街地の展望が広がるようになりました。しかし五剣山からの眺望には遠く及びません。

弘法大師と天狗がお迎え

写真:春野 公比呂

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本堂とお迎え大師とを繋ぐ参道からは恐ろしいまでに切り立った五剣山の山容を拝むことができます。

弘法大師と天狗がお迎え

写真:春野 公比呂

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五剣山への登り口は境内の中将坊堂北側。この堂は讃岐三大天狗の一つ、中将坊を祭っており、除災や招福、健脚を祈願する際、下駄を奉納します。下駄はいつの間にか土がついていることがありますが、これは中将坊が祈願を叶えるため、下駄を履いて山中を駆け巡ったからだと言われています。

尚、堂の南からの登山道は弘法大師が彫った磨崖仏への最短コースですが、落石の危険性があるため、フェンスで通行止めにされています。

弘法大師の「恋」を隠す大木?

弘法大師の「恋」を隠す大木?

写真:春野 公比呂

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登山口を始め、五剣山には一切、道標が設置されていません。それは軽装で安易に登ろうとする行楽客を避けるためでもあります。実際、2017年も転落死亡事故が起こっています。但し、この山は最大手の山岳図書出版社の登山ガイドブックにも掲載されているため、装備と慎重さがあれば行場巡りは難しいものではありません。

斜面の道が稜線に乗ると、前方には八栗寺境内から仰いだ山容とは全く異なる、究極に尖った鋭鋒として一の峰がその姿を現します。「あんな頂上に立つことができるのか」と疑問に思うかも知れませんが、行場道は極力登り易いルートを進んでいます。

弘法大師の「恋」を隠す大木?

写真:春野 公比呂

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岩盤の箇所からは急登になりますが、コースが最も東に振った地点にループ状に捻じれた大木があり、それをくぐった先の岩陰には彩色された弘法大師とその妻と伝わる石像が安置されています。当時の僧が妻帯することは禁じられていますが、まるでこの大木は二人の「関係」を隠しているかのよう。

弘法大師の「恋」を隠す大木?

写真:春野 公比呂

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短い梯子等はあるものの、難なく一の峰(366.1m)に登頂できます。山頂には八大龍王等の祠があるため、国土地理院も神様に遠慮してやや下方の山上の端に三角点を埋設しています。
ここからは胸のすく展望が広がっており、南北に長い屋島から瀬戸内海まで見渡すことができます。

足がすくむ落差50m以上の鉄梯子

足がすくむ落差50m以上の鉄梯子

写真:春野 公比呂

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二の峰から三の峰にかけては痩せ尾根で、展望はあまり良くないのですが、道の路盤が崩落した箇所の上に柵のような簡易橋を渡している所もあり、山の険しさが窺えます。

私的山岳会の登頂記念板は最高所とは違う所に建てられていますが、本当の最高所、つまり五剣山と総称される山の山頂部は、四の峰の山頂にあたるのです。そこには不動明王を祭った複数の祠がある他、「剱山頂」と刻字された小さな碑も立てかけられています。

足がすくむ落差50m以上の鉄梯子

写真:春野 公比呂

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四の峰山頂自体は展望がないものの、コースを先に進んで行くとナイフリッジ(両側が切れ落ちた超痩せ尾根)となった五の峰越しに志度湾から瀬戸内海までのパノラマが広がります。

足がすくむ落差50m以上の鉄梯子

写真:春野 公比呂

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四の峰南面の崖に到ると最大の難所、落差50m以上の鉄梯子が現れます。高所恐怖症でなくても足がすくみがちですが、下を見ず、一歩一歩降りて行きましょう。

巨大ナイフの刃の背に立つ

巨大ナイフの刃の背に立つ

写真:春野 公比呂

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梯子を下り切った所には女陰型の岩の裂け目があり、複数の不動明王石仏が安置されています。

巨大ナイフの刃の背に立つ

写真:春野 公比呂

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五の峰への上りもいくつか梯子がありますが、造作もなくナイフリッジに立つことができます。振り返れば四の峰の絶壁が。写真右寄りの下の方に茶色い梯子が見えると思いますが、こんな断崖を下りてきたのです。

巨大ナイフの刃の背に立つ

写真:春野 公比呂

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五の峰からは一の峰を凌ぐ絶景が広がっており、眼下には志度湾、大串岬、小串岬から瀬戸内海の多島美の素晴らしい景色が展開します。

一度は見たい四国屈指の巨大磨崖仏

一度は見たい四国屈指の巨大磨崖仏

写真:春野 公比呂

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五の峰には大地震による深い割れ目がありますが、その先には岩塔が崩れずに残っています。

一度は見たい四国屈指の巨大磨崖仏

写真:春野 公比呂

余力がある方は更に南の奇観峰(282m)を往復するといいでしょう。
弘法大師が彫った磨崖仏「岩越の大日」は四国屈指の規模ゆえ、一見の価値がありますが、道順がやや複雑。よってコースガイドとコース図は「関連MEMO」リンク(五剣山+奇観峰+空海の巨大磨崖仏)をご参照ください。

五剣山中腹にも幾筋かの石仏群が安置された道があるのですが、下部に石仏群が安置された凝灰岩の巨大岩盤の中に「岩越の大日」はあります。大日如来座像を彫ったものと思われますが、下部は大地震等で崩落した可能性があります。

一度は見たい四国屈指の巨大磨崖仏

写真:春野 公比呂

洞穴のような箇所に安置している石仏もあれば、何トンもあるドルメン(支石墓)型石組みの中に祠を祀っているものもあります。

身近な行場でも装備はしっかりと

険しい峰々を巡る行場は山奥に行かないと体験できない、と思っている方は多いと思いますが、高松市街地のすぐ側にある五剣山は気軽に修験行場巡りができ、且つ、複数の地で大パノラマを堪能することもできます。

もちろん「気軽に」というのは市街地からの距離的なことやコースタイム(2時間台)のことであり、実際に五剣山に登るには登山装備を要します。多くの梯子やロープもあるため、トレッキンググローブも必須です。逆にトレッキングポールは邪魔になり、危険を伴うため、持参すべきではありません。また、五の峰から逆コースを辿ることも厳禁です。

尚、この行場道は八栗寺が整備しているものと思っている方が少なくないのですが、実際は山伏の方々が整備しているので寺に照会しても分かり兼ねるかも知れません。山伏の中には「趣味の登山」を行っている方もいるため、もし山中で出会うことがあれば、県内の行場や山の情報について尋ねてみては如何でしょうか。

掲載内容は執筆時点のものです。 2013/12/01 訪問

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