近代文学発祥の坂道、東京・本郷の炭団坂と界隈坂道めぐり

| 東京都

| 旅の専門家がお届けする観光情報

近代文学発祥の坂道、東京・本郷の炭団坂と界隈坂道めぐり

近代文学発祥の坂道、東京・本郷の炭団坂と界隈坂道めぐり

更新日:2018/01/07 11:08

雲本 らてのプロフィール写真 雲本 らて ブロガー、坂道探検家

都営地下鉄・春日駅からすぐの場所であり、東京ドームと東京大学本郷キャンパスとの間に位置する本郷界隈は地形の起伏に富み、古くから人々が住んでいた地域ということもあり名前のつけられている坂道も多くあります。今回は数ある界隈の坂道の中でも変わった名前とともに近代文学発祥の地としても知る人ぞ知る場所でもある炭団坂を中心に、東京での防災の歴史を語る上でもはずせない本妙寺坂もあわせて紹介してみたいと思います。

炭団坂今昔

炭団坂今昔

写真:雲本 らて

地図を見る

「炭団(たどん)坂」は文京区本郷4丁目の高台でもある本郷台地から北に向かって下る急勾配の階段坂です。東京ドームからも徒歩圏内の場所にあります。江戸時代から存在する坂道で、坂名の由来は、このあたりに炭団(炭の粉末に粘結剤を加え団子状にして乾燥させた燃料)などを商売にする者が多かったからとか、かつては階段ではなく急な坂道だったこともあり、坂で転ぶと炭団のように転び落ちる者がいたからなどの説があります。

またこの坂は北側に向かって下る斜面のため、日常的にじめじめしており、今でこそ坂はきれいに整備され雰囲気のある階段坂となっていますが、昔はどろんこの急坂で、特に雨上がりなどは転ぶと炭団のように泥だらけになってしまうというエピソードもあったとか。

炭団坂の坂上こそ近代文学発祥の地だった?

炭団坂の坂上こそ近代文学発祥の地だった?

写真:雲本 らて

地図を見る

坂下あたりの本郷界隈に昔から残っている細い路地が特徴的な街並みに対して、炭団坂の坂上までやってくるとさっきまでの景色がうそのようにビルやマンションが立ち並ぶ近代的な街並みへと一変します。

また炭団坂の坂上からは、ちょうどこの場所が崖地になっていることもあり、坂下の本郷4丁目および5丁目界隈の古い街並みが残る景色が一望できます。ぜひ炭団坂を訪れたなら、坂道自体の雰囲気を楽しむだけでなく、坂上からの眺望も楽しんでみてください。

炭団坂の坂上こそ近代文学発祥の地だった?

写真:雲本 らて

地図を見る

崖地で眺望の良さもあってなのか、炭団坂の坂上には、小説家・評論家・教育家である坪内逍遥の旧居がかつてありました。坪内逍遥はこの地に住んでいた三年間に『小説神髄』、さらに『当世書生気質』を発表し、当時の近代文学に大きな影響を与えました。そんなことからもこの炭団坂は近代文学発祥の坂道とも呼ばれています。また、同地は逍遥が転居後に「常磐会」という寄宿舎になり、俳人の正岡子規も三年あまり暮らしていたことでも有名な場所です。

なお、坪内逍遥の旧居があった場所には、現在「坪内逍遥旧居・常磐会跡」という案内板が設置されています。炭団坂の西側にある大きなマンションの道路脇にあります。ぜひ探してみてください。

炭団坂の坂上こそ近代文学発祥の地だった?

写真:雲本 らて

地図を見る

さらに炭団坂の坂上の南側界隈には、文京区の歴史や文化財に関する資料を多く集め、展示している「文京ふるさと歴史館」もあります。入場料は100円と格安で、炭団坂界隈を歩いたあとに訪れるとさらに地域への理解が深まると思います。またそのほかにも、文京ふるさと歴史館に隣接して明治39年に建てられた諸井邸(秩父セメントを創設した諸井恒平氏が建てた住宅)もほとんど当時のままの状態で現存しています。

防災の歴史を語る上ではずせない本妙寺坂

防災の歴史を語る上ではずせない本妙寺坂

写真:雲本 らて

地図を見る

炭団坂の東向かいにある坂道が「本妙寺坂」です。文京ふるさと歴史館からなら徒歩1分くらいの距離です。こちらも地域の高台でもある本郷台地から北に向かって下る坂道です。この坂道も江戸時代から存在した道で、炭団坂と同じようにじめじめしがちな場所だったと予想されます。ただ坂下あたりに坂名の由来ともなった本妙寺があったことから、おそらく道自体もある程度は整備されていた可能性が高いため、本妙寺坂という名前が優先的につけられたのかもしれません。

なお、坂下にあった本妙寺は明治43年に豊島区巣鴨に移転し、現存していません。

防災の歴史を語る上ではずせない本妙寺坂

写真:雲本 らて

地図を見る

本妙寺坂の坂下にあった本妙寺は、明暦(明暦3年=1657年)の大火の火元として有名です。明暦の大火は江戸三大火とよばれ、江戸の街を壊滅状態に追い込むほどの被害を出したと言われています。そして、この大火をきっかけに、江戸の街は大きく姿を変え、防災を重視した町づくりが始まったのです。

また明暦の大火は「振袖火事」とも呼ばれる怪説のあった大火としても知られ、矢田挿雲や小泉八雲が、自著で取り上げたことでも知られています。

本郷界隈を散歩する時は坂道と歴史に注目

今回は、近代文学発祥の坂道ともいえる炭団坂に加えて、防災の歴史としてもはずせない本妙寺坂について取り上げてみました。こうしてみるとなんてことない階段や坂道ではありますが、実は有形無形さまざまな視点で歴史的な転換点の時に関係している場所でもあることがわかると思います。

そして炭団坂と大火の関係についてもすこし想像してみるといろいろな広がりがありそうです。ぜひ本郷界隈を散歩する時は坂道と歴史に注目して歩いてみてください、いつもとは違った景色が見えてくると思います。

<基本情報>
炭団坂
所在地:東京都文京区本郷4丁目
アクセス:都営地下鉄・春日駅より徒歩4分

本妙寺坂
所在地:東京都文京区本郷4丁目 
アクセス:都営地下鉄・本郷三丁目駅より徒歩4分

2018年1月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。

- PR -

条件を指定して検索

LINEトラベルjpで一緒に働きませんか?

- PR -

旅行ナビゲーター(在宅ライター)募集中!
この記事に関するお問い合わせ

- PR -