写真:林 ぶんこ
地図を見る節分の夜が明けた立春の朝、愛媛県の南端にある高知県との県境のまち、愛媛県愛南町の旧一本松町(地名でいうと広見、増田、中川あたり)を通ると、道の交差点の角に靴が置かれているという不思議な光景を目にします。
写真:林 ぶんこ
地図を見る節分といえば現代では豆まきをして恵方巻きを食べるのが一般的ですが、元々の旧暦においての節分は一年の終わりの日、つまり大晦日にあたり、大晦日の節分の日は邪気や災いを追い払って新年(立春)を迎えるための厄払いをする日でした。
愛南町の一本松地区では、厄年の人が節分の夜に他人に見られないようにひっそりと、四辻(交差点)に履き物と自分の年齢と同じだけの数の豆を置いて振り返らないで帰ってくる、という面白い厄落しの風習が今に残っています。
写真:林 ぶんこ
地図を見る"節分の夜に四辻にきたなき褌(ふんどし)、ほうろく(素焼きの土鍋)、火吹き竹など捨つるものあり”と、明治34年出版の「墨汁一滴」に愛媛県松山市出身の俳人正岡子規が記していることから、節分の日に四辻で厄を落とす風習は昔は愛媛で広く見られたようです。
ちなみに愛南町の東隣の高知県の宿毛市では、年齢の数の豆を人に見られないように四辻に置く、という愛南町の履き物がないバージョンで節分の厄落しをしているそうです。
写真:林 ぶんこ
地図を見る日本広しと言えども愛媛県愛南町だけに残る貴重な風習、四辻に置かれる節分の厄落し靴。そして、それが見られるのは一年のうちのたった一日、立春の朝の限られた時間のみ。
豆と一緒にきちんと揃えられた靴を見るなら、東の空がしらじらと明るくなる朝6時には一本松地区に着いているようにしたいものです。
写真:林 ぶんこ
地図を見る厄落しの靴は決まった場所ではなく、愛南町内旧一本松町の広見、増田、中川地区を通る道々の四つ角に置かれているので、それらの広いエリアを移動して厄落し靴を見つけていくにあたっては、車での移動が必要不可欠です。
また愛南町一本松地区への交通手段ですが、愛媛県の宇和島市あるいは高知県の宿毛市から一日に数本しか通らないバスを乗り継いで行かなければならず、なかなか不便ですので、松山市あるいは高知市からレンタカーで行くことをおすすめします。所要時間は松山ICから松山道、国道56号経由で約2時間、高知ICから高知道、国道56号経由で約2時間半のドライブです。
写真:林 ぶんこ
地図を見るですが、まだ夜も明けない暗い道を2時間も超えてドライブするのはなかなかしんどいもの。厄落し靴の見学には、なるべくなら愛南町あるいはお隣の宿毛市のホテルに前泊することをおすすめします。
アクセス便利なのは一本松地区にあり、厄落し靴が落ちているエリアまで歩いて行ける「ホテルセレクト愛媛愛南町」、または部屋から雄大な太平洋ビューが楽しめる宿毛市の温泉ホテル「宿毛リゾート椰子の湯」など(関連MEMO参照)。ちなみに宿毛リゾート椰子の湯から一本松地区へは車で約20分です。
写真:林 ぶんこ
地図を見る道の交差する角々に、スニーカーやパンプス、草履にクロックスなどの色々な種類の厄落し靴が豆の包みを中に入れたり、横に並べたりして置かれています。
また、道の角ではなく、まるで滑走路のような真っすぐで広い道の真ん中に置かれている靴もあります。
これは厄落しの靴は踏まれたり、蹴られたりするほどに厄が落ちると言われていることから、車に豪快に跳ね飛ばしてもらうか踏んづけてもらって厄を落としたい、という狙いのもと道の真ん中に置かれています。
写真:林 ぶんこ
地図を見るですので、時間が経ち車の通行量が増えるにつれ、揃えて置かれていた靴は、車に跳ねられたり、蹴とばされたりと、バラバラになっていきます。
写真:林 ぶんこ
地図を見る車に跳ね飛ばされた厄落しの靴。一瞬事故か?と思ってしまうようなシチュエーションですが、靴が跳ね飛ばされたり、踏まれたりするほどに靴の持ち主の厄が落ちるとされる、愛南町は一本松地区に残るユニークな節分の風習なのでビックリしないでくださいね。
なお、これらの厄落しの靴たちは役目を終えた後に、地区の方によって片付けられます。
2018年の節分は2月3日の土曜日、立春は日曜日になりますので、ぜひ前泊しながら愛媛県愛南町、一本松地区の厄落しの靴見物に行ってみましょう。なお、国道56号線を通って一本松地区に行くには、国道56号線沿い広見交差点にあるローソン愛南町一本松店が目印になります。
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(2024/3/19更新)
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