頼朝公ゆかり!合格祈願は東京・杉並「井草八幡宮」へ

頼朝公ゆかり!合格祈願は東京・杉並「井草八幡宮」へ

更新日:2018/01/13 18:09

井伊 たびをのプロフィール写真 井伊 たびを 社寺ナビゲーター、狛犬愛好家
鎌倉幕府を開いた源頼朝は、奥州征伐の途上、この地にかつてあった社に戦勝祈願をし、その願いが叶った。頼朝公はその社を、この地区の総鎮守に決め、当宮の実質的な創建者とされている。この武運が開けたとする故事から、当宮には“開運のご利益がある八幡宮”として、昔から多くの参拝者が訪れている。その戦勝の武運にあやかりたく、現代では「受験戦争に勝つ!」すなわち“合格祈願”に多くの受験生が訪れている。

「大灯篭」は「井草八幡宮」のランドマーク

「大灯篭」は「井草八幡宮」のランドマーク

写真:井伊 たびを

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「井草八幡宮」が鎮座するこの地は、かつて古代人の生活の場であった。境内の南に流れる“善福寺川”の源泉である“善福寺池”が、豊富な湧水であったからだろう。付近から縄文時代の住居跡や多くの土器・石器が発掘されており、中でも重要文化財に指定されている「顔面把手付釣手形土器」は、火を灯した痕跡があり、何らかの祭礼儀礼に用いたと想像されている。古代からこの辺りは、神聖な地であったことは間違いないようだ。

現在では「青梅街道」に面した高さ約9mある巨大な「大灯篭」が、「井草八幡宮」のランドマークとなっている。この大灯篭は、昭和42年(1967年)“別表神社”に列せられたのを記念して造られた。屋根は銅板葺きで八畳分の広さがある。ちなみに、別表神社とは神社本庁が定め、神社本庁が包括している一部の神社のことである。

「大灯篭」は「井草八幡宮」のランドマーク

写真:井伊 たびを

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「井草八幡宮」には、大鳥居が二つある。北大鳥居(井草八幡前交差点)に対して、こちらの東側にも大鳥居がある(いずれの鳥居も“青梅街道”に面している)。昭和33年(1958年)の建立で、高さ約9mである。

当宮は創建当時、「春日社」をお祀りしていたが、源頼朝公が奥州藤原泰衡征伐の際に、戦勝祈願をするために立ち寄ったと伝わっており、それ以来「八幡宮」を奉斎するようになった。源氏が八幡神を氏神として尊崇したことから武神の性格が強く、室町時代には石神井城の豊島氏征伐のため、扇ケ谷上杉家の執事・太田道灌が戦勝祈願をしたとも伝えられている。

また、江戸時代には、三代将軍徳川家光による六石余の朱印領 (将軍の朱印状によって領有を認められた土地)の給付、また寺社奉行井上正利に社殿造営をさせるなど、篤く崇敬されていた。

「大灯篭」は「井草八幡宮」のランドマーク

写真:井伊 たびを

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東の大鳥居をくぐれば、真っ直ぐ伸びる約200mある東参道が、1万坪あるとされる境内へ誘う。この東参道は、5年に一度行われる流鏑馬神事(やぶさめしんじ)の馬場となる。都内でもこれほど立派な馬場を持つ神社は珍しい。

主祭神は「八幡大神」である

主祭神は「八幡大神」である

写真:井伊 たびを

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長い参道を歩み来れば、こちらの「楼門(ろうもん)」が迎えてくれる。鉄筋コンクリート造りで、昭和46年(1971年)に造られ、随神が一対納められている。また左右両側は各町会の神輿庫になっている。

主祭神は「八幡大神」である

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御祭神は、「八幡大神(やはたのおおかみ)」である。八幡大神は、日本で信仰される神で、誉田別命(ほんだわけのみこと)とも呼ばれ、応神天皇と同一視されている。文武の神様であり、成功勝利、教育、悪病災難除け、子孫繁栄などのご利益がある。

主祭神は「八幡大神」である

写真:井伊 たびを

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昭和49年(1974年)築である、コンクリート造りの殿内には、寛文4年(1664年)に今川氏堯(いまがわ うじなり)が改築した、一間四方の朱塗の本殿がある。それは、杉並区最古の木造建築物である。

威風堂々たる「狛犬」一対で護る

威風堂々たる「狛犬」一対で護る

写真:井伊 たびを

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広い境内なのに「狛犬」は、こちらの一対のみである。だが、威風堂々として、厳粛な境内にあっても、けっして見劣りしない、どっしりとした存在感を発している。

威風堂々たる「狛犬」一対で護る

写真:井伊 たびを

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阿吽像とも全体的に丸みを帯びている。阿像の狛犬は全身筋肉質で、鼻の下の髭に威厳さえ感じる。また、揃えた太い前足に漲る頼もしさが、神門へ進む厳粛さをより引き締めている。

威風堂々たる「狛犬」一対で護る

写真:井伊 たびを

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嘉永6年(1853年)11月奉納。石工・九兵衛の作である。

合格祈願の絵馬が多い

合格祈願の絵馬が多い

写真:井伊 たびを

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境内には、「頼朝公御手植えの松」がある。源頼朝は、奥州藤原氏の征伐に向う前に、こちらに立ち寄り戦勝祈願し、無事平定に成功した“報賽”として、自らの手で2本の松を植えたと伝えられている。現在の松はその2代目で、以前の松の1本は明治時代に、もう1本は800年の間仰ぎ見られてきたが、昭和48年に枯れてしまった。それらは衝立に姿を変えて、回廊内に保管されている。

合格祈願の絵馬が多い

写真:井伊 たびを

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頼朝公の武運が開けたという故事から“開運のご利益”があると言われている「井草八幡宮」である。だが、現在の“武運”といったらなんだろう?さしずめ、受験戦争の合否のようだ。奉納された絵馬を見れば、その多くは入試突破の願い事が占めている。中には有名幼稚園の合格祈願まである。神様!仏様!八幡様!ということだろう。

井草八幡宮の基本情報

住所:東京都杉並区善福寺1-33-1
電話番号:03-3399-8123
アクセス:JR 中央線「西荻窪駅」から徒歩18分。駐車場が完備されているので、車での参拝がお勧めです。

2018年1月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

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掲載内容は執筆時点のものです。 2018/01/02 訪問

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