インド洋に面した都市コロンボは、埋め立てによって造られた港町です。中心街はフォートとペターの二つの地区。フォートは官庁街で銀行や航空会社のオフィスなどが並び、ペターは繁華街としてにぎわう商業地区となっています。このフォートとペターの南側に「スレイブ・アイランド」と呼ばれる地区があります。スレイブ(奴隷)という名前がついているのは、オランダ統治時代に奴隷を夜になるとここに移していたためです。現在はビジネス街の一部となっており、ベイラ湖はここに位置しています。
水の上に浮かぶように建っているのが、ジェフリー・バワが設計したシーマ・マラカヤ寺院です。青い屋根がひときわ目立ち、通りを歩いていてもはっとひきつけられます。
道路から湖面を渡ってまっすぐ、中央に金堂があります。靴をぬいで中に入ると、格子の隙間からさしこむ自然の光に包まれて三体の仏像が並んでいます。左からタイ、ミャンマー、日本の仏像です。壁のかわりに格子が囲み、風がお堂のなかを吹き抜け、自然と一体化したような空間になっています。とても小さなお堂であっというまに見終ってしまいますが、座ってくつろぐのも気持ちの良い場所です。
「島にあふれる美しさ、雨と太陽、刻々と変化する空と肥沃な大地。セイロン(スリランカ)の建物はこうした環境と一致し調和されるべき」とバワは『The architects’Journal』のなかで述べています。建物と自然との調和をはかるバワならではの独特な建築の特徴がうかがえます。
金堂の外に出ると、格子のまわりをぐるりと仏像が囲んでいます。ゆっくりと歩きながら、湖面も楽しめます。まるで水の上の宮殿のような寺院。北側には僧侶が正式な僧になるための儀式を行う「戒壇院」が位置し、南側には菩提樹を植樹した「菩提樹堂」があります。この建物構成は、スリランカや南インドの伝統的な配置となっています。一見、モダンでありながら、伝統がその根底にあります。このような建築設計をしたジェフリー・バワとはどのような人物だったのでしょうか。
建築家ジェフリー・バワは、多民族、多宗教のスリランカならでは、裕福なムスリムの弁護士とヨーロッパの血が入った母との間に生まれます。バワは、弁護士の道を歩ませられましたが自分には合わないとスリランカを飛び出し、世界旅行に出ます。イタリアのガルーダ湖畔を気に入るも住むことはかなわず、帰国。兄に自分のイタリア庭園をスリランカに造ることを勧められ、庭園造りをはじめます。その後、建築を本格的に学ぶためイギリスへ渡り、建築家の資格をとって、スリランカへ戻り様々な設計を手がけたのです。
このシーマ・マラカヤ寺院の設計に入る前に、バワは南インドで建築を学び設計を行い、この寺院建築に影響を与えたと言われています。
中央の金堂の南側に位置する「菩提樹堂」。名前の通り、菩提樹が植えられています。菩提樹の前には仏像が配置されています。スリランカでは古くから菩提樹は信仰の対象であり、菩提樹堂は重要な施設でした。スリランカの伝統とモダンの融合の形がここでも見られます。
平日は喧噪のコロンボも、休日になると道もすいてのどかになります。コロンボ散策は休日がおすすめです。フォートの南、海岸を走るゴール・ロード沿いに広がる芝生がゴール・フェイス・グリーンです。凧上げを楽しむ家族や、デートを楽しむカップルの姿が見られます。木陰がないため、傘をさしてベンチに座るカップルたちが目立ちます。海を眺めながらの散歩にはもってこいの場所です。夕暮れは素晴らしく、真っ赤な太陽がインド洋に沈むのを拝めます。
ベイラ湖畔のシーマ・マラカヤ寺院の北西部にあり、歩いていける距離なので一日の終わりにベンチで休みながら夕日を眺めるのもいいですね。
住所:Colombo, Beira Lake
営業時間:9:00〜20:00
入場料:なし
アクセス:コロンボフォート駅から101番バスに乗車、ガンガラーマ寺院下車すぐ
2018年1月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
- PR -
トラベルjpで250社の旅行をまとめて比較!
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
条件を指定して検索